消費税の税務調査 簡易課税の場合

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として港区や渋谷区、新宿区など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援してきた経験から、株式会社などの法人の方、フリーランス・個人事業主などの個人の方の税金や節税について解説します。

 

今回は、消費税の計算を簡易課税で行っている場合の税務調査について説明したいと思います。

 

 

消費税の簡易課税とは

消費税の納税額の計算は、原則として原則課税という方式で行います。この原則課税は非常に手間がかかり事務的負担が大きくなってしまいます。そこで、そこまで規模が大きくない事業者(個人と法人)に対しては、事務的負担を減らしてもう少し簡単に消費税が計算できるように簡易課税という方式が用意されています。

 

消費税の簡易課税とは、
売上高(正確には基準期間の課税売上高)が5,000万円以下の事業者で、
税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を事前に提出している場合に認められる、
消費税の納税額の計算を簡便的に行うことができる制度をいいます。

 

簡易課税では、下記の計算式で消費税の納税額を計算します。

売上高(税抜き課税売上高) × 8% - 売上高(税抜き課税売上高) × みなし仕入率× 8%

みなし仕入率は業種によって定められています。

 

 

消費税の税務調査

消費税の税務調査は、簡易課税であっても原則課税であっても原則的には、法人税や所得税の税務調査と同時に行われます。しかし、消費税の還付申告を行った場合や、赤字であった場合などは、消費税だけが調査されることもあります。

消費税の税務調査では、特に簡易課税ではなく原則課税の場合は、必ずと言っていいほど誤りを指摘されてしまいます。消費税はキチンと計算するのがなかなか難しい税金であるといえます。

 

 

簡易課税の税務調査

消費税を簡易課税で計算している場合は、税務調査において次のようなポイントを中心に調べられます。

簡易課税の税務調査は、仕入れや経費についての消費税を調査しなくていいので、原則課税の税務調査に比べるとボリュームが少なくなります。

 

簡易課税の適用

そもそも簡易課税を適用できるのかどうかを調査されます。

  • 基準期間の課税売上高(ざっくり言うと、2年前の売上のうち消費税がかかる売上の税抜き売上)が5,000万円以下かどうか
  • 「消費税簡易課税制度選択届出書」を期限内に提出しているかどうか

 

課税売上高

課税売上高がもれなく集計されているかどうかが調査されます。
売上高だけでなく、受取賃料など営業外利益や特別利益に含まれるものについても課税取引に該当するものは課税売上高に含めなければなりません。
また、車や備品など資産を売った場合の収入も課税売上高になります。下取りがある場合は、その下取り価格が課税売上高になるので注意してください。

 

みなし仕入率

簡易課税で用いる「みなし仕入率」は、業種によってその割合が異なり、また複数の業種を営んでいる場合は特殊な計算が必要になります。そこで、正しい「みなし仕入率」を使っているかどうかを調査されます。

 

 

おわりに

消費税は税金のプロである税理士でも間違うことが多い税金です。消費税について迷ったり困ったことがあったら、ぜひ税理士に相談してみてくださいね。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。