はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
税務調査における個別の調査項目について具体的に説明します。
今回は人件費の調査についてです。
人件費
役員給与、従業員給与など人件費については現金渡しではなく、振込にして口座に履歴(証拠)を残します。現金払いでは支給額を増減させていないかと調査の際に疑われてしまいます。
役員給与
役員給与については、その他の支給方法もありますが、基本的に毎月の支給額が同額である定期同額給与でないと損金にできません。
定期同額給与は期首から3ヶ月以内に改定を行わないと、全額損金として認められません。
3か月以内でなくても、業績の悪化などによる減額は認めらますが、業績が良かったからと言って増額改定することは認められていません。安易な改定は全額が損金として認められなくなる可能性がありますので注意します。
- 金額が過大ではないか
株主総会の議事録によって、支給限度内に収まっていることを説明します。支給限度内に収まっていたとしても、同業他社との比較や会社の現況からみて過大となっていないかも調査されます。利益操作につかわれていないか厳しくチェックされます。
- 臨時の支給、期中での増額、さかのぼっての支給がないか
臨時に支払われたものは役員賞与となりますし、期中に増減があると、利益操作のための変更と見られますから特に注意が必要です。
- 使用人のなかに実質的には役員・使用人兼務役員とみなされる者はいないか
取締役会議事録、株式名簿などが調査されます。
- 現物給与とみなされる経済的利益を与えていないか
低利な貸付、低額家賃による社宅などが調査されます。金銭消費貸借契約書、社宅の賃借契約書などがを調査して経済的利益にあたるものがないかチェックします。
- 長期間未払いとなっているものはないか
これは否認の対象となるので理由を明確にしておきます。期末までに払えない場合は、所得税を源泉徴収・納付して、借入金として、未払金の状態は精算します。
役員賞与
- 役員賞与が損金になっていないか
役員賞与は損金にできません。
- 賞与とみなされる経済的利益を与えていないか
交際費や海外渡航費など、経済的利益として賞与に該当すべきものはないか調査されます。
- 使用人兼務役員の使用人分の賞与計算に誤りはないか
役員賞与は損金にできませんが、使用人兼務役員の使用人分の賞与についてだけは損金算入できます。一般社員と比較して金額は適当か、また、支給日が一般社員と同じ日かなどが調査されます。
役員退職金
- 金額が過大ではないか
役員退職金は、株主総会か、株主総会の一任で取締役会が決定するので議事録の記載が重要です。金額の妥当性は、その役員の在職年数、功績、退職理由、同業同規模他社との比較によって総合的に判定されます。
- 損金にした時期は妥当か
役員退職金は、退職日ではなく株式総会などで具体的に額が決まった年度の損金として計上する必要があります。
従業員の給料
- 架空の人件費が計上されていないか
給与規程、出勤簿やタイムカード、パートタイマーやアルバイトなど時給の管理状況も調査されます
- 賃金台帳は整理されているか
- 給与計算に誤りはないか
各種手当て、社会保険料に対する個人と会社負担分の処理をチェックします。通勤費が非課税の限度内におさまっているかを細かく調べられることもあります。
- 源泉徴収していない社員はいないか
給与計算ソフトなどを活用して源泉所得税の計算を正確に行います。給与以外の従業員に対する支出で源泉徴収の対象となるものがないか、従業員以外にも、個人に対する手数料や外注費などの支払についての源泉徴収が漏れていないかも調べます。
- 年末調整に誤りはないか
計算過程だけでなく保険料の証明書などが添付されているかもチェックされます。
- 「扶養控除等(異動)申告書」や「所得税源泉徴収簿」といった源泉所得税関係の書類は整備されているか
- 定額家賃の社宅や低利の貸付など経済的利益を与えていないか
税務調査の関連ページ
税務調査につきましては、下記の関連ページも参照ください。
税務調査-概要-1
税務調査-概要-2
税務調査-概要-3
税務調査-流れ
税務調査-調査結果
税務調査-延滞税と加算税
税務調査-心構え
税務調査-税務署はこんな納税者が好き
税務調査-概況、現金、預金の調査
税務調査-受取手形、支払手形、売掛金、買掛金、貸倒損失、在庫、棚卸資産
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税務調査-人件費,役員給与,役員賞与,役員退職金,従業員給料
税務調査-会社とオーナーの取引,交際費,消費税など
税務調査-調査対象の決め方,目をつけられる会社-1
税務調査-調査対象の決め方,目をつけられる会社-2
税務調査-対応の仕方
おわりに
人件費は税務調査で関心を持たれる項目です。特に役員の給与、賞与、退職金には目を光らせていますのでご注意ください。
最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。