税務調査-概要-2

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

前回の税務調査-概要-1に引き続き、色々な税務調査についてご説明します。
今回は現況調査と無予告現況調査についてです。

 

現況調査

現況調査とは、調査官が調査室から出て、金庫の中や書類の保管場所を確認することをいいます。場合によってデスクやロッカーの中を調査することもあります。現況調査においてはプライバシーを侵害されトラブルになることも少なくありません。調査官は言葉巧みにプライベートなものまで確認しようとしますが、任意調査である以上、納税者の合意がなくては、プライバシーに踏み込むことはできません。

調査官と納税者のやりとり調査官「このカバンに何が入っているか確認させてください」

納税者「カバンの中はプライベートなもので、税務調査には無関係なものしか入っていません」

調査官「調査に関係あるかどうかは我々調査官が確認します」

納税者「プライベートなものなのでお断りします」

納税者「令状なしに強制調査のようなことをするのは違法ではないですか」

このように拒否すれば調査官も引き下がるでしょう。明確に拒否しないと、明確な否定が無かったので調査官の現況調査に承諾(黙示の承諾)したと言われかねなせん。現況調査はプライベートなものであるなど明確な理由があれば拒否できます。納税者側の承諾無しで行うことは違法であると覚えておきましょう。

 

無予告現況調査

任意調査の一種で、現金商売の飲食店など、ありのままの姿を調査する必要がある場合には、事前連絡なく抜き打ちで調査することがあり、これを無予告現況調査と言います。任意調査の10~20%が無予告現況調査となります。

強制捜査ではないため、業務に支障がある場合など、調査の延期をしてもらうことは、建前としてはできます。事前の通知なしに、あえて現況の調査にきたという調査官を納得させるほどの理由がない場合は延期できません。多少業務に支障がある程度ではダメでしょう。突然の調査で不快になるのはもちろん分かりますが、ここは感情を押さえ、やましいことはないのでどうぞ調べて下さい、と冷静に対応して調査官の信用を得ます。

また態度や目線、目配せ、不審な動きといったソフト面も調査官はしっかり見ています。私物の検査やプライベートな質問には、業務に関係ない理由を言って拒否します。

調査官が怪しいと疑う事が発見されたときは、その疑いを解くために説明しなければなりませんが、調査官が不当と思われる見解を持っているときは、その撤回を要求します。

代表者が不在の場合は、日を改めてもらいまます。しかし調査官も、ハイそうします、とはなりません。できる限りの調査を行うようにするでしょう。調査官は質問検査権を持っています。その範囲は法人税法の場合「法人に質問」するものと規定されており、所得税法の場合も、法人税法の場合と同様、家族、従業員も当然含めての対象になります。しかし代表者が不在では開けることができない金庫や机の引出等を開けたり、代表者でなければ見ることのできない帳簿書類等を見せたりする必要はありません。代表者不在の場合でも従業員は落ち着いて対応して、よく分からないことについて想像で答えたり、できない約束をしないように気をつけます。

調査官がまず確認するのは現金残高と現金出納帳が合っているかどうかです。また金庫や机の中などの開示も求められます。昨日までの売上が正確に帳簿に反映されていれば問題ありませんが、そうでない場合、調査はどんどん長引いてしまいます。

 

 

税務調査の関連ページ

税務調査につきましては、下記の関連ページも参照ください。

 

 

 

おわりに

税務調査-概要-3に続きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。