はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
フリーランス・個人事業主の方については年末年始前後の取引、株式会社などは決算日前後の取引について、その取引にかかる消費税がどの年度の消費税になるのかで、その年に納める消費税の額が変わってきます。
今回は、そんな消費税を納める義務が成立する日について説明したいと思います。
日本国内の取引における消費税の納税義務が成立する時期
日本国内の取引の場合は、課税資産の譲渡、課税資産の貸付け、役務の提供をした時に、消費税を納める義務が成立します。課税資産の譲渡、課税資産の貸付け、役務の提供をした時とは、その取引の種類に応じて、資産の引渡しの時、役務の提供の時になります。
法人税や所得税における収益の計上する日とほぼ同じ取り扱いになるなので、基本的には普段の会計処理を行っている日と、消費税の成立の日を分ける必要はありません。
なお、消費税の納税義務は取引ごとに成立しますが、消費税の申告や納付は課税期間ごとに行います。
消費税の納税義務が成立する具体的な日
日本国内の取引の消費税の納税義務が成立する日を、取引の種類別に具体的に例示すると下記のようになります。
取引の種類 | 納税義務が成立する日 | |
資産の譲渡 | 棚卸資産の販売 | 引渡しのあった日 |
固定資産の譲渡 | 引渡しのあった日 | |
資産の貸付け | 使用料などの支払日が定められているもの | 定められている支払日 |
使用料などの支払日が定められていないもの | 実際に支払いを受けた日 | |
役務の提供 | モノの引渡しが必要となる請負契約 | モノのすべてを完成して引き渡した日 |
モノの引渡しが必要ない請負契約 | 役務のすべての提供を完了した日 | |
請負を除いた人的役務の提供 | 人的役務のすべての提供を完了した日 |
長期割賦販売などで延払基準を適用している場合、工事の請負などで工事進行基準を適用している場合は、それらの基準によって売上計上する日を、消費税の納税義務が成立する日にすることができます。
課税資産の引渡しや役務の提供が行われる前の段階で前受金を受け取る場合には、前受金を受け取る日ではなく、実際に課税資産の引渡しや役務の提供等をした日が、課税資産の譲渡等をした日、すなわち消費税の納税義務が成立する日になります。
未収金についても代金を決済する日に関係なく、課税資産の引渡しや役務の提供をした日が、税資産の譲渡等をした日、すなわち消費税の納税義務が成立する日になります。
ただし、青色申告者で所得税法における現金主義の適用を受けている小規模事業者は、上記の前受金と未収金にかかわらず、対価であるお金を受け取った日を、消費税の納税義務が成立する日にすることができます。
繰り返しになりますが、基本的には売上計上の時期と消費税の納税義務が成立する時期は同じになるので、消費税の納税義務の成立の時期についてあまり細かく考える必要はありません。
輸入取引における消費税の納税義務が成立する時期
輸入取引の場合、保税地域から引き取られる課税貨物に係る消費税の納税義務は、課税貨物を保税地域から引き取る時に成立します。
おわりに
消費税は税金のプロである税理士でも間違えることがある厄介な税金です。フリーランス・個人事業主として新規に開業したら、起業や法人成りで株式会社などの法人を設立したら、税理士に相談して消費税で損をしないようにしましょう。
最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。
東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。