はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
今回は、新宿区の融資紹介制度について説明したいと思います。新宿区で事業を営んでいるフリーランス・個人事業主、会社経営者の方の参考になれば幸いです。
新宿区の中小企業向けの融資制度
新宿区の中小企業向けの制度融資は、新宿区内にある中小企業の方が、低利で融資を受けられるように、金融機関に対して融資を紹介する制度です。融資をするかどうかは、最終的に金融機関が決めます。金融機関の審査が通って融資が決定した場合に、新宿区が利息や信用保証料の支払いについて補助をしてくれます。
新宿区の中小企業向け融資制度の対象となる方
新宿区の中小企業向け融資制度の対象となる方は下記のとおりです。
個人
フリーランス・個人事業主など個人の方については、下記の全てに当てはまる方が新宿区の中小企業向け融資制度の対象となります。
- 新宿区内に営業の本拠となる主たる事業所がある(新宿区内に在住1年以上の場合は、東京都内であれば新宿区内に営業の本拠がなくてもよい)
- 新宿区内において同一の事業を引き続き1年以上営業している
- 確定申告を1期以上行っている。
- 東京都信用保証協会の保証対象となる業種を営んでいる
- 住民税や事業税を滞納していない(分割で払っている場合もダメ)
法人
株式会社など法人の方については、下記の全てに当てはまる方が新宿区の中小企業向け融資制度の対象となります。
- 新宿区内に営業の本拠となる本店がある
- 新宿区内において同一の事業を引き続き1年以上営業している
- 本店登記を新宿区内において1年以上している
- 営業の本拠となる本店と登記上の本店が新宿区内の同一の所在地にある
- 確定申告を1期以上行っている。
- 東京都信用保証協会の保証対象となる業種を営んでいる
- 住民税や事業税を滞納していない(分割で払っている場合もダメ)
創業資金については別途要件があります。
新宿区の中小企業向け融資制度の種類
新宿区の中小企業向け融資制度にはいくつかの種類があります。主要なものを表形式でまとめましたので下表を参照ください。
種類 | 融資の対象者 | 使途 | 貸付額 | 最高利率A+B | A本人負担率分 | B新宿区負担分 | 貸付期間(据置期間) |
商工業資金(運転資金) | 基本要件に該当する中小企業者 | 運転資金及び区商工業運転資金既存債務返済(既存債務返済のみは不可) | 1,500万円以下 | 2.1% | 2.1% | 無し | 7年以内(6か月以内) |
商工業資金(設備資金) | 基本要件に該当する中小企業者 | 設備資金及び区商工業設備資金既存債務返済(既存債務返済のみは不可) | 2,000万円以下 | 2.1% | 2.1% | 無し | 9年以内(6か月以内) |
商工業資金(運転及び設備資金) | 基本要件に該当する中小企業者 | 運転資金と設備資金の併用及び区商工業運転設備資金既存債務返済(既存債務返済のみは不可) | 2,000万円以下 | 2.1% | 2.1% | 無し | 7年以内(6か月以内) |
小規模企業資金 | 基本要件に該当し、かつ、下のいずれかに該当すること。
常時使用する従業員が20 人(卸売業・小売業・サービス業は5 人)以下である中小企業者 保証協会の保証対象事業を営む事業協同小組合、又はその組合員の3 分の2 以上が信用保証協会の保証対象事業を営む事業協同小組合 組合員の数が20 人以下である企業組合 常時使用する従業員の数が20 人以下の協業組合 常時使用する従業員の数が20 人以以下の医療法人など |
運転、設備資金及び区小規模企業資金既存債務返済(既存債務返済のみは不可) | 750万円以下 | 2.1% | 0.7% | 1.4% | 6年以内(6か月以内) |
小規模企業特例資金(小口) | 基本要件に該当し、今回申請する資金額の保証を含め、全国の信用保証協会の保証合計残高が1,250万円以下であること。さらに下のいずれかに該当すること。
常時使用する従業員が20 人(卸売業・小売業・サービス業は5 人)以下である中小企業者 保証協会の保証対象事業を営む事業協同小組合、又はその組合員の3 分の2 以上が信用保証協会の保証対象事業を営む事業協同小組合 組合員の数が20 人以下である企業組合 常時使用する従業員の数が20 人以下の協業組合 常時使用する従業員の数が20 人以下の医療法人など |
運転、設備資金及び区小規模企業特例資金既存債務返済(既存債務返済のみは不可) | 1,250万円以下 | 2.1% | 1.1% | 1.1% | 6年以内(6か月以内) |
経営応援資金 | 基本要件に該当し、かつ最近3か月または6か月における売上または営業利益が前年同期と比較して減少している中小企業者 | 運転及び設備資金 | 500万円以下 | 2.1% | 1.1% | 1.1% | 5年以内(6か月以内) |
情報技術活用促進資金 | 基本要件に該当する中小企業者 | IT化のための情報関連機器等の運転資金(導入時に一時的に必要となる資金に限る)及び設備資金 | 500万円以下 | 2.1% | 0.7% | 1.4% | 5年以内(6か月以内) |
創業資金 | 融資実行のとき、次のいずれかの条件を満たし、区内で東京信用保証協会の保証対象業種の事業を創業しようとする者で、住民税を滞納していないこと(法人創業の場合は、本店(営業の本拠)と本店登記を区内の同一所在地に置いて創業する予定であること、または本店(営業の本拠)と本店登記を区内の同一所在地に有していること)
(個人創業で区内在住1年以上の場合は東京都内創業でも可) (1)現在、事業主ではなく、個人または法人で創業しようとする者 (2)分社化しようとする者 (3)個人または法人で創業し、5年未満の者 (4)分社化により創業し、5年未満の者 |
創業時に必要な運転及び設備資金 | (1)1,000万円以下
(2)1,500万円以下 (3)(4)2,000万円以下 |
2.1% | 0.7% | 1.4% | 7年以内(12か月以内) |
新宿区の中小企業向け融資制度の申込みから融資まで
新宿区の中小企業向け融資制度を利用するためには、まずは新宿区役所の産業振興課にて面談を受ける必要があります。
申込みから融資までの流れは下記のようになります。
- 新宿区役所などで申込書などを受け取って記入して、その他の必要書類をそろえます
- 新宿区役所の産業振興課に電話で面談の予約をします
- 必要書類を全て持って面談を受けます
- 面談が終わったら、金融機関への紹介状を受け取ります
- 受け取った紹介状を持って、融資を希望する金融機関に行って借入の申込み相談をします。
- 金融機関は審査を行い、必要に応じて東京信用保証協会へ信用保証を依頼します。
- 東京信用保証協会は信用保証をするかどうかを審査して、金融機関に通知します。
- 金融機関は融資をするかどうか決定して、申込者に通知します。
- 融資の実行となります
- 新宿区役所の産業振興課窓口で補助を受ける手続きを行います。
必要となる書類はたくさんあって用意するのに時間がかかりますので、余裕をもって準備してくださいね。詳しくは新宿区役所の産業振興課にお問合せください。
新宿区の中小企業向け融資制度の注意ポイント
新宿区内に店舗や工場、倉庫などがあっても本店の登記が新宿区にない場合は対象外となります。
本店の登記は新宿区内にあって税金も新宿区に納めている場合であっても、実際の営業の本拠が新宿区にない場合は対象外となります。
本店の登記は新宿区内にあって、営業の本拠も新宿区内にあっても、それぞれ新宿区内の別の場所の場合は対象外となります。
必要書類である事業税の納税証明書は都税事務所で発行してくれます。税務署では発行してくれません。
金融機関は新宿区と契約しているところに限られます。
おわりに
揃えなくてはいけない書類はたくさんあって、面談も受けないといけないため、新宿区の融資補助を受けるには手続きが大変ですが、その手間をはるかに超えた恩恵を受けることができます。資金を必要としている方はこの制度を検討してみてください。
最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。