はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
今回は、フリーランス、個人事業主、法人の方の少額減価償却資産の特例をつかった節税を紹介します。
少額減価償却資産の特例の概要
取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成15年4月1日から平成26年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を、その年の必要経費、損金にすることができます。
12月が決算月とすると、通常は12月に減価償却資産を購入しても、12月の1ヶ月分しか減価償却費の計上ができません。しかし、少額減価償却資産の特例をつかえば、30万円未満の少額減価償却資産を購入した場合、その全額を必要経費にすることができます。もちろん、節税になるからといって、いらないモノまで購入する必要はありません。もともと購入の予定があったモノであれば、前倒しで購入することで、利益が出すぎてしまった年の利益を減らして節税することができます。
少額減価償却資産の特例を受けることができるフリーランス・個人事業主、法人
青色申告をしているフリーランス、個人事業主、資本金1億円以下などの法人の方が少額減価償却資産の特例を受けることができます。
白色申告をしているフリーランス、個人事業主、法人の方はこの特例はつかえません。
平成26年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合
平成26年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合とは、購入しただけではダメで、実際に使い始めていないと、少額減価償却資産の特例はつかえないということです。12月末ギリギリに機械を買って、使わずに寝かせている場合などは対象外になってしまいます。パソコンを10台買って、そのうち6台については買った年から使用しているが、4台は使用していない場合、6台のみが少額減価償却資産の特例の対象になります。
なお、平成26年3月31日までとありますが、平成28年3月31日までに延長される予定です。
少額減価償却資産の特例の適用対象となる資産
取得価額が30万円未満の減価償却資産です。取得価額が30万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定します。構築物のうち例えば枕木、電柱など単体では機能を発揮できないものについては、社会通念上一の効用を有すると認められる単位ごとに判定します。
消費税の経理処理の方法によって、税込みで経理処理している場合は税込みで30万円未満かどうか判定して、税抜きで経理処理している場合は税抜きで30万円未満かどうか判定します。消費税の免税事業者の場合は、税込みで30万円未満かどうか判定します。
1年あたりの合計額が300万円に達するまでが、その年の限度です
その年において、複数の少額減価償却資産を取得してして事業の用に供した場合には、合計額が300万円に達するまでの分が、少額減価償却資産の特例の対象となります。
1年間で24万円のパソコンを14台買った場合、12台(24万円×12台=288万円)は、全額その年の必要経費になりますが、残りの2台については減価償却の手続きにより、そのうちの一部のみしか、その年の必要経費になりません。300万円までの全額が必要経費になるのではなく、300万円に達するまでの台数で計算します。
開業年など青色申告の月数が12か月より少ない場合は、300万円×(青色申告月数 / 12か月)が上限になります。
経理処理
経理処理については、消耗品費などで購入時に経費処理するのではなく、購入時はいったん資産として計上してから、決算で全額を減価償却費として計上しましょう。
忘れやすいポイントですが、少額減価償却資産の特例の適用を受けた資産は、その年に全額必要経費、損金になったとしても、地方税である償却資産税は課税されます。
10万円未満の少額減価償却資産として損金計上した場合や、一括償却資産として3年間で損金算入する方法を選択した場合には、償却資産税は課税されませんので、どの方法により損金算入するかの比較検討も必要となります。
少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表十六(七))を添付して申告(法人)
少額減価償却資産の特例を受けるためには、事業の用に供した事業年度において、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき損金経理するとともに、確定申告書等に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表十六(七))」を添付して申告することが必要です。
少額減価償却資産の明細書を提出(フリーランス、個人事業主)
少額減価償却資産の特例を受けるためには、確定申告の際に、「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を合わせて提出しなければなりません。しかし、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に次の事項を書いて提出して、かつ、この減価償却資産の明細を保管している場合は、「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」の提出を省略することができます。
- 取得価額30万円未満の減価償却資産について、措置法第28条の2第1項の規定を適用していること
- 適用した減価償却資産の取得価額の合計額
- 適用した減価償却資産の明細は、別途保管していること
その他の注意点
この特例は、研究開発税制を除き、租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳との重複適用はできません。
取得価額が10万円未満のものについては、この特例の適用はありません。この特例を使わなくても、そもそも必要経費、損金にすることができます。そして、10万円未満のものは、消耗品費などで処理してかまいません。
一括償却資産の損金算入制度の適用を受けるものについても、この特例の適用はありません。
この特例は取得価額が30万円未満の減価償却資産について適用されるので、器具及び備品、機械・装置等の有形減価償却資産のほか、ソフトウェア、特許権、商標権などの無形減価償却資産も対象になりますし、所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や、中古資産も対象となります。
まとめ
利益がいっぱい出ちゃいそうだなと思ったら、30万円未満の減価償却資産を購入して必要経費、損金に計上しましょう。ただし、買っただけではダメです。買った年に使い始めないといけません。
おわりに
最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。