法定実効税率-会社の儲けにかかる税金は意外と安い

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

株式会社など法人の儲けに対して、どれくらい税金がかかるのかご存じですか?
「汗水たらして稼いだのに、儲けの半分も税金で持っていかれてはやってられない」というのは昔の話です。税率はかなり下がっているのです。
今回は、そんな会社の儲けにかかる税金の税率、法定実効税率について解説したいと思います。

 

会社の儲けにかかる税金の種類

会社の儲けにかかる税金は、国税である法人税と地方法人特別税、地方税である法人住民税と法人事業税の計4つあります。各税金の税率と法定実効税率は下表のようになります。

税金の種類 所得のうち
400万円以下 400万円超 800万円超
800万円以下
の部分 の部分 の部分
法人税 19.00% 19.00% 25.50%
地方法人特別税 2.19% 3.24% 4.29%
法人住民税 3.29% 3.29% 4.41%
法人事業税 2.70% 4.00% 5.30%
27.18% 29.53% 39.50%
法定実効税率 25.91% 27.53% 36.05%

上の表は下記にあてはまる法人を前提としています。

  • 2015年4月1日以後開始する事業年度
  • 東京23区に事務所がある
  • 事務所は1つ
  • 資本金が1億円以下
  • 法人税の額が1,000万円以下
  • 所得が2,500万円以下

法定実効税率とは、会社の儲けに対する税金の負担割合を意味します。
各税金の税率の合計と法定実効税率に差があるのは、損金にできる税金があるためですが、詳しい説明は省略します。

会社の儲けに対しては、法定実効税率だけ税金がかかると覚えてください。

 

法定実効税率は意外に低い

上の表のとおり、法定実効率は意外に低くなっています。中小企業の場合は、400万円までの儲けについては約26%、400万円~800万円までの儲けについては約28%、800万円を超える儲けについては約36%の税金が発生することになります。儲けの半分を税金でもっていかれていた時代に比べたら、かなり低くなっていますね。

 

節税するときは法定実効税率を考慮

節税するときは、儲けに対する税金の負担割合である法定実効税率を考えて実行しましょう。税金を払うくらいなら経費を払ってしまえ、とお考えの経営者の方もいると思います。そんなときは、ぜひ法定実効税率を思い出してください。

例えば・・・

儲けが400万円あったとします。節税のために400万円の経費の支出をした場合、節税される額は400万円×26%=104万円です。手もとに残るお金は400万円-400万円のゼロ円です。

経費の支出をしないで、400万円の儲けに対して税金を払った場合、手もとに残るお金は400万円-104万円=296万円です。

節税のための400万円の経費の支出について、本来なら400万円かかるものが26%割引の296万円で済んだといえます。確かにお得ですが、本当に必要な支出でしょうか。必要なものであれば問題ありませんが、必要なものではなく単に節税のために支出したものであるならもったいないです。

節税のために経費の支出をする場合は、法定実効税率だけ割引された額を考えて必要な経費なのかどうか検討ください。法定実効税率だけ割引されても必要ない経費であれば、節税になるとしても支出しない方がいいですよ。

 

おわりに

税率が下がっているということは、相対的に節税の効果も小さくなっていることを意味します。税理士の腕の見せどころも、節税の比重が下がり、その他のサービスの比重が上がってくることになります。節税だけを売りにしている税理士さんには厳しい時代になってきたのかもしれません。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。