領収書等がない支出の確認 | 政治資金監査の個別監査指針-5

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷、新宿など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が会計や税金、節税について解説します。

今回は、政治資金監査における領収書等がない支出の確認について説明したいと思います。

 

 

領収書等がない支出の確認

政治資金規正法では、政治資金監査における領収書等がない支出の取り扱いについて次のように定められています。

 

第19条の13第2項4号
領収書等を徴し難かつた支出の明細書等は、会計帳簿に基づいて記載されていること。

 

国会議員関係政治団体の会計責任者は、原則として、その国会議員関係政治団体のすべての支出について、領収書等を徴する必要があります。
しかし、領収書等を徴し難い事情があるときは、領収書等を徴することを要しません。

ただし、国会議員関係政治団体の会計責任者は、その国会議員関係政治団体が行った支出のうち、領収書等を徴し難い事情があった支出については、

  • その旨
  • 支出の目的
  • 金額
  • 年月日

を記載した領収書等を徴し難かった支出の明細書を作成しなければなりません。

 

政治資金監査においては、領収書等を徴し難かった支出の明細書等と会計帳簿とを突合して、記載不備がないかどうかを確認します。
なお、一度発行された領収書等をなくしてしまった場合は、領収書等を徴し難い事情には含まれません。

そして、領収書等を徴し難かった支出の明細書等に、上記の必要記載事項が記載されているかどうかも確認します。

 

 

領収書等を徴し難い事情の具体例

領収書等を徴し難い事情の具体例としては下記のような事情が考えられます。

 

香典や祝儀
領収書等を徴しないことが社会通念上、一般的なものとして認識されているためです。

 

金銭以外の支出
物品の無償提供等の金銭を伴わない支出については、領収書等を発行してもらうことが困難であるためです。

 

バス・電車等の交通機関の利用や、自動販売機での購入
自動券売機等による領収書等が発行されない形での利用や購入が想定されるためです。
ただし、定期券の購入など、領収書等が発行される形での利用や購入については、領収書等を徴し難い事情には該当しないので注意して下さい。

 

振込みの方法による支出
振込みの方法による支出については、支出の相手方が領収書等を発行しない場合が想定されるためです。
なお、金融機関の振込明細書(振込金受領証含む)がある場合は、振込明細書に係る支出目的書を作成することで、領収書等の写しに代えることができます。振込明細書に支出の目的が記載されている場合(会計責任者による追記含む)は、その振込明細書の写しの提出のみで足り、振込明細書に係る支出目的書を別様にて作成・提出することは不要です。

 

口座振替の利用
公共料金等の口座引落しの場合、支出の相手方によっては、領収書等が発行されない場合が想定されるためです。
なお、翌月分の請求書に前月分の口座引落しの案内が添付されているものについては、口座引落しの案内は前月分の領収書等に該当します。

 

 

登録政治資金監査人は、上記以外の場合であっても会計責任者等に対するヒアリングにおいて、領収書等を徴し難い事情と合理的に判断できる場合には、その支出を認めることができます。
ただし、ヒアリングしても合理的な判断がつかない場合は、政治資金適正化委員会に照会します。

 

 

おわりに

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。