借入金と預金がある場合の借入実質金利 | 両建預金

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷、新宿など東京23区の法人や個人事業主のお客様の顧問として事業の支援をしている公認会計士・税理士が、税金や節税、資金調達などについて解説します。

今回は、借入金に対応する預金(両建預金)がある場合の借入実質金利について説明したいと思います。

 

 

両建預金とは

金融機関から借入を行うときに、借入金の一部を金融機関に預金させられるものを両建預金といいます。金融機関から借入を行うための条件として、この両建預金が半強制的に行われる場合があります。

両建預金は、定期預金や通知預金といった普通預金に比べて拘束性が高く、すぐに引き出せない預金で行われます。

 

 

銀行が両建預金をすすめる理由

銀行が両建預金をすすめる理由は、貸付金の担保にするためと、貸付金の実質金利を上げるためです。

次の例で考えてみます。

2,000万円(年利3%)を借り入れた
そのうち1,000万円(年利0.1%)を定期預金として預けた

この場合の実質金利を計算するとこうなります。

借入金として実際に使えるお金は
2,000万円 - 1,000万円 = 1,000万円

銀行に支払う1年間の借入金利息は
2,000万円 × 3% = 60万円

銀行から受け取る1年間の定期預金利息は
1,000万円 × 0.1% = 1万円

実質的な1年間の借入金利息は
60万円 - 1万円 = 59万円

実質的な借入金利は
59万円 ÷ 1,000万円 = 5.9%

年利3%で借りたと思ったら、実際は5.9%で借りたことになっているのです。

両建預金をお願いしてくる融資担当者は、この実質金利については説明してくれません。
ぜひ、両建預金による融資における実質金利の仕組みを理解して、金融機関と交渉してくださいね。

 

 

金融庁の監督指針

金融庁の「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」では、過当な両建預金の受入れは正常な取引慣行に反する不適切な取引にあたるとして、その発生をどのように防止しているかが「銀行監督上の評価項目」となっています。

両建預金がすでにある場合や、両建預金が借入の条件として暗に示されている場合などは、銀行の融資担当者に対して、上記の金融庁指針をチラつかせて交渉することも有効な手段といえます。

 

 

おわりに

繰り返しになりますが、金融機関から両建預金をお願いされた場合は、次の2つを交渉の材料にしてくださいね。

  • 実質金利の仕組み
  • 金融庁の監督指針

 

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。