不動産投資は物件数が増えると節税メリット大 | 不動産所得の事業的規模

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷、新宿など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が、会計や税金節税などについて解説します。

今回は、不動産投資の物件数が増えると節税メリットが大きくなる不動産所得の事業的規模について説明したいと思います。

 

 

不動産所得の事業的規模

マンションなど不動産を貸して得た家賃収入から必要経費を差し引いて残った儲け分は不動産所得になります。
不動産所得は、その不動産の貸付けの規模が事業として行われているかどうかによって、 必要経費や所得控除することができる金額が異なってきます。

不動産の貸付けの規模が事業として行われている(事業的規模)とみなされると、必要経費や所得控除できる金額が増えます。
必要経費や所得控除が増えれば、その分だけ不動産所得を圧縮することができるので、節税になります。

そのため、不動産所得が事業的規模になるかどうかは、不動産投資を行う上で大きなポイントになってくるのです。

 

 

事業的規模の判断基準

不動産の貸付が事業的規模になるかどうかは、原則として、社会の一般的な常識で考えて事業といわれる程度の規模で行われているかどうかで、実質的に判断されます。

しかしこれでは曖昧なので、いわゆる「5棟10室基準」に当てはまれば、原則として事業的規模として取り扱われます。

 

5棟10室基準(事業的規模の形式的判断)

5棟10室基準とは、所有している収益物件が次のどちらかに当てはまる場合は、不動産所得を事業的規模と形式的に判断される、客観的な基準になります。

  • 独立家屋数(一軒家、戸建ての住宅)が5棟以上
  • 独立部屋数(マンション、アパート)が10室以上

なお、
駐車場は5台分でマンション1室に換算、
マンションは2室で一軒家1棟に換算して判断されます。

例えば、
マンション7部屋と一軒家2棟を賃貸している場合は、独立家屋数で換算すると5.5棟(7部屋÷2+2)になるので、事業的規模になります。

 

事業的規模の実質判断

上記の「5棟10室基準」を満たさない場合であっても、不動産賃貸の状況によって実質的に事業的規模と判断される場合があります。

各税務署の判断により異なりますが、例えば、次のような場合は事業的規模とみなされる可能性があります。

  • サラリーマンなど給与所得者ではなく、個人事業主として事業所得がある場合
  • 不動産の賃貸収入以外に収入がない場合、すなわち不動産の賃貸収入のみで生活している場合
  • 1室当たりの賃料が高いため、不動産所得が多額になる場合

 

 

事業的規模のメリット

不動産所得が事業的規模とみなされると、次のような税務上のメリットを受けることができます。

 

青色申告特別控除65万円

事業的規模であれば、一定の要件を満たす場合、最高で65万円の青色申告特別控除ができます。
事業的規模でない場合は、最高でも10万円の青色申告特別控除となります。

 

事業専従者

事業的規模であれば、青色申告の事業専従者給与または白色申告の事業専従者控除の適用を受けることができます。
事業的規模でない場合は、適用がありません。

 

回収不能賃料を必要経費

家賃などが回収できなくなった場合、
事業的規模であれば、回収不能となった年度において、回収できなかった金額を必要経費にすることができます。
事業的規模でない場合は、収入に計上した年度までさかのぼって、その回収できなかった金額だけ所得がなかったものとして、所得金額の計算をやり直さなければなりません。

 

資産損失を全額必要経費

賃貸用固定資産の取壊しや除却などで資産損失が発生した場合、
事業的規模であれば、その資産損失の全額を必要経費にすることができます。
事業的規模でない場合は、その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額までしか資産損失を必要経費にすることができません。

 

 

事業的規模のデメリット

不動産所得が事業的規模になると、ほとんどの場合は事業税がかかってしまうことがデメリットとして挙げられます。

事業税は、次のように計算します。

(青色申告特別控除をする前の所得 - 290万円 ) × 5%

 

例えば、次の場合の事業税を計算すると8.5万円になります。

マンション賃貸収入 780万円
必要経費 320万円
青色申告特別控除 65万円
差引 不動産所得 395万円

( 395万円 + 65万円 - 290万円 ) × 5% = 8.5万円

 

 

おわりに

港区や渋谷、新宿など東京23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や節税だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなたの事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。