財務会計と税務会計の違い | 考え方

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として港区や渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業やスタートアップ起業を支援しておりますが、その業務を通じてよく質問を受ける項目について解説します。

今回は、財務会計税務会計の違いについて、細かい論点ではなく根底にある考え方を説明したいと思います。

 

 

財務会計とは

財務会計とは、株主や債権者、投資家、取引先、国などの会社外部の利害関係者に対して、会社の活動の成果を報告することを目的とした会計です。

会社外部の利害関係者への報告が目的なので、自由なルールで好き勝手に報告されては困ってしまいます。そのため、財務会計では会計基準などの一定のルールを守って行われます。

 

管理会計とは

財務会計に対して管理会計というものがあります。管理会計とは、会社内部の意思決定や業績管理を目的とした会計です。外部に報告するのが目的ではなく、あくまで会社内部で利用するものであるため、その会社独自のルールが採用されます。

 

 

税務会計とは

税務会計とは、会社の活動の成果をもとに税金の金額を計算して、国や地方公共団体に申告することを目的とした会計です。この税務会計も、国や地方公共団体といった会社外部の利害関係者に会社の活動の成果を報告することを目的としており、財務会計の一種であると言えます。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した管理会計、財務会計、税務会計のベン図

 

 

財務会計と税務会計の考え方の違い

税務会計は財務会計の一種であると申しましたが、その考え方には大きな違いがあります。

 

財務会計の立場

財務会計は粉飾(利益を多く見せること)を防ぎたい会計であるといえます。
会社は、株主などの外部利害関係者に対して、業績をよく見せたいという誘引に駆られる可能性があります。そのため財務会計は、利益の計上には厳しい立場をとっています。

  • 不確実な売上や利益は計上しちゃダメ
  • 費用や損失は、前もって保守的に計上して欲しい
  • 会社の業績を知りたい、そして他社と比較したい

という考え方が根底にあります。

 

税務会計の立場

税務会計は逆粉飾(利益を少なく見せること)を防ぎたい会計であるといえます。
会社は、国(税務署)や地方公共団体に対して、利益を少なく見せたい(そうすれば税金を減らすことができる)という誘引に駆られる可能性があります。そのため、税務会計は、利益はしっかりと計上してもらいたいという立場をとっています。

  • 売上や利益の除外は許さない
  • 余計な費用や損失は計上して欲しくない
  • 会社の業績把握よりも、税金をしっかりと徴収したい

という考え方が根底にあります。

 

 

まとめ

このように、財務会計と税務会計では立ち位置が真逆になっているのです。

  • 財務会計は売上計上と費用除外に厳しい
  • 税務会計は売上除外と費用計上に厳しい

細かい制度の違いよりも、まずはこの考え方を理解することが、財務会計と税務会計の違いを理解する第一歩になります。

 

 

おわりに

中小企業においては税務会計を重視する場合が多いと思います。しかし、会社の成長を考えているならば、財務会計重視へのシフトも検討してみてくださいね。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で起業された方、または起業をお考えの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

高すぎるのはアウト 役員に支払う退職金の適正額 | 役員退職金 | 法人税

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として、港区や渋谷区、新宿区といった東京23区のベンチャー企業や若い企業を支援してきた経験から、株式会社などの法人が納める税金や節税について解説します。

今回は、取締役や監査役など役員に支払う退職金について、法人税における役員退職金の適正な金額について説明したいと思います。

 

 

役員退職金

会社が取締役や監査役などの役員に支払う退職金のうち、高すぎたりしない適正な金額のものは、会社の損金 ( 法人税などを計算するうえで会社の費用として認められるもの ) になります。

なお、法人税における役員には、会社法における取締役や監査役などの役員だけでなく、みなし役員と言われる実質的に会社の経営にタッチしている人も含まれるので注意してください。

法人税における役員の範囲については下記ページを参照ください。
法人税法上の役員の範囲 | 役員給与(報酬給料賞与ボーナス等) | 法人税

 

 

法人税法上の適正な金額の役員退職金

法人税法において会社の損金になる役員退職金は適正な金額なものに限られています。そのため、高すぎる役員退職金は会社の損金にはなりません。

それでは、いくらまでの役員退職金なら適正な金額として認めてもらえるのかがポイントになります。しかし、法人税法などでは、具体的にこの金額までならOKという基準が定められていません。

抽象的ではありますが、

  1. 役員が退職した事情
  2. 役員として会社の業務に従事した期間
  3. 職務内容や会社への貢献の程度
  4. 同業他社でかつ規模も同じくらいの会社における役員退職金の支払い状況

などを総合的に検討して判定されます。

実務上は、役員退職金を計算するのに功績倍率法という計算方法を採用して、役員退職金規程などで定めている会社が多いです。

 

 

功績倍率法

功績倍率法では、役員退職金を下記の式で計算します。

東京都港区の税理士法人インテグリティ作成の功績倍率法による役員退職金の計算

  • 退職時の報酬月額 : 退職する直前における月額の報酬金額です。
  • 勤続年数 : 役員として会社の業務に従事した年数です。従業員として従事した年数は含めません。
  • 功績倍率 : 役員退職金規程などで1~3倍として定めている会社が多いです。

 

退職時の報酬月額と勤続年数については迷うことはありませんが、功績倍率を何倍にするかが問題になります。会社の現況にもよるので、何倍までなら税務調査でも指摘されないとう具体的な数字はありませんが、一般的には、役職に応じて1~3倍程度に定めている会社が多いです。4倍ではダメなのか、というとそういうわけではありません。例えば創業社長など会社の礎を築いた人物に対する退職金であれば4倍という功績倍率もあり得るかもしれません。貢献度や他社の支給状況を考えれば4倍でも決して高くないという根拠を説明できれば認められる可能性は十分あります。

 

数値例

退職したのは代表取締役社長
退職する直前における月額の報酬金額は120万円
役員として会社の業務に従事した年数は35年
役員退職金規程には代表取締役の功績倍率は3倍と定められている

役員退職金 = 120万円 × 35年 × 3 = 1億2,600万円

 

 

おわりに

取締役など会社役員に支払う退職金は、税務調査においてもチェックされる可能性が高い項目です。損金になる時期や、そもそも法人税法上認められる金額なのかなど、役員退職金は論点が多い項目なので、支給を検討している場合は顧問の税理士に相談することをおすすめします。

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で、法人の設立をお考えの方や会社設立して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の持続的な成長のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

会社設立後の個人事業主当時からの従業員への退職金 | 従業員給与 | 法人と個人

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として、港区や渋谷区、新宿区といった東京23区のベンチャー企業や若い会社などの法人、個人事業主・フリーランスなどの個人のお客様を支援してきた経験から、税金や節税について解説します。

今回は、個人事業主から法人成りして会社を設立した後に、個人事業主の時からの従業員に対して退職金を支払った場合の取り扱いについて説明したいと思います。

 

 

従業員への退職金

フリーランス・個人事業主の方が、従業員に退職金を支払った場合、その退職金は事業の必要経費 ( 所得税を計算するうえで費用として認められるもの ) になります。ただし、白色申告者の事業専従者や青色事業専従者への退職金は必要経費になりません。

株式会社など法人の方が、従業員に退職金を支払った場合、その退職金は会社の損金 ( 法人税を計算するうえで費用として認められるもの ) になります。

 

 

会社設立後の個人事業主当時からの従業員への退職金

フリーランス・個人事業主として事業をスタートして、事業規模が大きくなってきたので法人成りして株式会社になりました。その後、個人事業当時から在籍していた従業員が退職することになり、その従業員に退職金を支払うことになりました。この退職金を計算する際に使用する勤務期間は、個人事業時の勤務期間と株式会社になった後の勤務期間の合計になっています。

 

この退職金は、全額を会社の損金にしてもいいのでしょうか?

 

原則として、この退職金の全額を会社の損金にすることはできません。会社の損金にすることができるのは、会社になった後の勤務期間の分のみになります。

個人事業時の勤務期間の分の退職金は、会社の損金ではなく、個人事業の最終年度の必要経費になります。個人事業の最終年度の必要経費が増えることになるので、その分所得が減って税金も減ることになります。よって、個人事業の最終年度の所得税について更生の請求を行って、税金を還付してもらいます。

 

ただし、個人事業時に白色申告者の事業専従者や青色事業専従者だった人への退職金については、上記のとおり個人事業時の勤務期間の分は必要経費になりません。なお、会社になった後の勤務期間の分は会社の損金になります。

 

 

会社設立してから相当の期間が過ぎた場合

個人事業の時からの従業員への退職金は、原則として個人事業の時の勤務期間分は個人事業の必要経費に、会社設立後の勤務期間分は会社の損金になります。

しかし、その退職が会社設立後相当の期間が経過した後である場合は、その退職金の全額が会社の損金にすることができます。個人事業主の分、会社の分に分ける必要はありません。

この場合、相当の期間というものが法律や通達などに書かれていないため、具体的にはどのくらいの期間なのかが問題になります。個人事業の時の勤務期間にもよりますが、会社を設立して5年程度経過している場合は、相当の期間になるといわれています。

会社を設立してから相当の期間が過ぎた場合であっても、個人事業時に白色申告者の事業専従者や青色事業専従者だった人への退職金のうち、個人事業時の勤務期間の分は会社の損金にすることができないので注意してください。

繰り返しで恐縮ですが、個人事業時に白色申告者の事業専従者や青色事業専従者だった人について、個人事業の時の勤務期間の分の退職金は、個人事業の必要経費にも、会社の損金にもならないと覚えておいてください。

 

 

個人事業主が法人成りの新規設立会社に支払う退職金相当額

個人事業主が退職金規程などを整備して退職金の計算が適正に行われている場合、個人事業主が法人成りの新規設立会社に支払う退職金相当額 ( 個人事業から新規設立会社に引き継ぐ従業員にかかるもの ) は、個人事業の必要経費にすることができます。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で、法人の設立をお考えの方や会社設立して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の持続的な成長のお手伝いをさせて頂きます。

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執行役員とは? 取締役との違い | 執行役員と税金

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として、港区や渋谷区、新宿区といった東京23区のベンチャー企業や若い企業を支援してきた経験から、株式会社などの法人が納める税金や節税について解説します。

今回は、役員(取締役)と似ているようで違う執行役員について説明したいと思います。

 

 

執行役員とは

執行役員とは、会社経営には参加しないで、業務の執行に専念する人をいいます。その立ち位置は会社にもよりますが、平取締役のすぐ下の役員クラスという場合が多いようです。

大きな会社を中心として、経営と業務執行を分ける執行役員制度が導入されています。経営を行う取締役と業務執行を行う執行役員に分けることで、経営意思決定のスピードを上げるとともに意思決定された事項の実践をスムーズに行うことが可能になると言われています。また経営と業務執行を分けることで、その権限と責任が明確になりコーポレート・ガバナンスの強化にもなります。

 

 

取締役と執行役員の違い

取締役と執行役員は似ているようで違います。

 

取締役は、会社の方針など重要な意思決定を行うといった経営を行います。
執行役員は、経営には参加しないで、決定された事項についてその業務の執行に専念します。

 

取締役は、会社の機関として会社法上に明確な根拠があります。
執行役員は、法律の規定がありません。その運用は会社によって様々です。立場は役員クラスであっても会社法における会社の機関としての役員ではありません。(実務上は取締役と執行役員を兼務することも多くありますが。)

 

取締役と会社の契約関係は、委任契約にあります。会社と雇用契約している従業員ではありません。従業員であった人が取締役に就任するためには、いったん会社を退職して雇用契約を解消、その後会社と委任契約を結ぶことになります。
執行役員と会社の契約関係は、委任契約の場合もあれば雇用契約の場合もあります。取締役とは異なり、従業員としての雇用契約を維持したまま執行役員に就任することもあります。

 

 

執行役とは

補足です。

執行役とは、委員会設置会社において業務執行を行う役員のことをいいます。執行役員と異なり、この執行役は取締役などと同様に会社法における役員になります。

執行役は会社法上の役員です。
執行役員は会社法上の役員ではありません。

 

 

おわりに

取締役と似ているようで異なる執行役員についてお分かり頂けたでしょうか。執行役というのもあってややこしいですよね。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で、法人の設立をお考えの方や会社設立して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の持続的な成長のお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

毎日10分の筋トレで細マッチョ!?

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、インターネットで見かけた魅力的な広告 「 あなたも毎日たったの10分の筋トレで細マッチョになれます 」 の正体について書きたいと思います。

ジムに通っている東京都港区の税理士です

 

 

毎日10分の筋トレで細マッチョ

この◯◯メソッドを使えば、あなたも 「 毎日10分の筋トレで細マッチョ 」 まずはクリックして資料請求を!

これが本当であるならばとても魅力的です。毎回スポーツジムでのトレーニングに1時間以上かかってしまう自分としては、正直すぐにでもクリックしたいと思ってしまいます。

 

しかし、

  • この世の中においしい話なんて1つもない
  • あったとしても、自分にわざわざ教えてくれる人なんていない
  • あるとするならば、自分で思いついたものだけである

このように考えている公認会計士・税理士としては、この◯◯メソッドも疑ってみないといけません。

ここで騙されてしまっては、日頃から顧問先のお客様に持ち込まれる様々の怪しげな儲け話を制止する説得力もなくなってしまいます。

 

 

毎日10分の筋トレで細マッチョは本当だけど・・・

調べてみた結果、毎日10分の筋トレで細マッチョは本当のようです。
しかし、そこには簡単な言葉のカラクリがありました。

 

この10分とはトレーニング時間全体を言っているのではなく、筋肉に大きな負荷をかけている時間のトータルが10分ということを言っているのです。これが毎日できれば、それは細マッチョになれることでしょう。

 

大げさに例えるならば、100mを10秒で走る短距離ランナーが、毎日100mを全力に近いスピードで50セット(10分÷12秒)走るようなものです。こんなのは無理です。

 

どんなトレーニングをするかについては有料の◯◯メソッドに詳しく書いてあるようですが、その中身の詳細までは知ることはできません。ただ、この10分を確保するためには、トレーニング時間を1~2時間は確保しなければなりません。

やはりおいしい話なんてありませんでした。残念ですが、これからも粛々と1時間かけてトレーニングに勤しもうと思います。

 

 

おわりに

危うく高いお金を払って◯◯メソッドを購入するところでした。皆さんもおいしい話があったらまず疑ってみてくださいね。

 

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。今回は、ビジネスに関係する話題ではありませんでしたが、税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

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