はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
港区や渋谷、新宿など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が、給与計算について解説します。
今回は、給与計算における税金や保険料などの控除額について説明したいと思います。
給与計算とは
給与計算とは、従業員やパート・アルバイトなどに支払う毎月の給料の金額を計算する事務手続きです。
給与計算の基本は、次の式になります。
給与計算とは、上の式のとおり、支給額を集計して、そこから控除するものをすべて差し引いて、差引支給額を計算することなのです。
控除額とは
支給額から控除する主なものとして、次のような税金や社会保険料があります。
- 所得税(源泉徴収)
- 住民税(特別徴収)
- 健康保険料(従業員負担分)
- (介護保険料(従業員負担分))
- 厚生年金保険料(従業員負担分)
- 雇用保険料(従業員負担分)
上記以外にも、財形貯蓄や団体保険料、組合費といった会社独自の控除項目がある場合があります。
これらの控除するものをすべて合計して給料の支給額から差し引きます。
所得税
所得税は国に納める税金です。
会社が給料を支払う場合、毎月の給料から所得税を天引きして、天引きした所得税を従業員の代わりに会社が税務署に納めるという源泉徴収を行わなければなりません。
源泉徴収する金額は、国税庁の「給与所得の源泉徴収表」に社会保険料を差し引いた後の給料の金額を当てはめて求めます。
源泉徴収は概算で所得税を徴収するもので、1年間の給料が確定しないと所得税の金額も確定しません。源泉徴収した所得税を正しい所得税の金額に調整する手続きが年末調整になります。この年末調整も給与計算における重要な手続きになります。
住民税
住民税は都道府県と市区町村に納める税金です。
所得税と同じように、毎月の給料から住民税を天引きし、天引きした住民税を従業員の代わりに会社が各市区町村に納めるという特別徴収という制度があります。
特別徴収する金額については各市区町村から通知されるので、所得税と異なって会社で計算する必要はありません。通知された金額を給料から天引きして各自治体に納めます。
企業から各自治体へ納付する「特別徴収」が法律で定められています。住民税額は、前年の所得に基づいて自治体側が計算し、企業には納入通知書が送られてきます。そのため、企業では税額の計算は不要ですが、控除の手続きと納付業務は必要になります。
健康保険料(介護保険料)
健康保険料は会社と従業員が半分ずつ負担します。
会社は給料を支払う際に、従業員負担分の健康保険料を給料から差し引いて、会社負担分の健康保険料と合わせて納めます。
40歳以上65歳未満の場合は、健康保険料に合わせて介護保険料も納めます。
健康保険料の金額は、標準報酬月額(4月、5月、6月の3ヶ月の給料の平均額)に健康保険料額表を当てはめて求めます。
協会けんぽの場合は、ホームページに年度別都道府県別の保険料額表がありますので、そこに標準月額報酬を当てはめて従業員負担分と会社負担分の健康保険料を求めます。
厚生年金保険料
厚生年金保険料は、健康保険料と同様に会社と従業員が半分ずつ負担します。
会社は給料を支払う際に、従業員負担分の厚生年金保険料を給料から差し引いて、会社負担分の厚生年金保険料と合わせて納めます。
厚生年金保険料の金額は、標準報酬月額(4月、5月、6月の3ヶ月の給料の平均額)に厚生年金保険料額表を当てはめて求めます。
日本年金機構のホームページに年度別の厚生年金保険料額表がありますので、そこに標準月額報酬を当てはめて従業員負担分と会社負担分の厚生年金保険料を求めます。
雇用保険料
雇用保険料は、従業員が約4割、会社が約6割を負担します。
会社は給料を支払う際に、従業員負担分の雇用保険料を給料から差し引いて、会社負担分の雇用保険料と合わせて納めます。
雇用保険料の金額は、厚生労働省のホームページにある各年度別の雇用保険料率表を用いて、支給額(税金が非課税になる通勤手当も含める)に雇用保険料率表の労働者負担分の料率を乗じて計算します。
なお、雇用保険と労災保険を合わせて労働保険と呼びますが、労災保険料は全額が会社負担になりますので、給料から差し引くものはありません。
おわりに
給与計算における控除項目は種類も多く計算も面倒なものが多いですが、計算間違いが起こらないように1つずつ丁寧に処理してください。特に給料が変動した時や人員が変動した時は注意してくださいね。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。