はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
フリーランス・個人事業主の方に比べて、株式会社など法人の場合は、税務上の経費(損金といいます)として認められる交際費の金額には一定の制限があります。
そのため、いっけん交際費として処理しなければいけないと思われる経費についても、交際費ではなく他の経費として処理できれば、それだけ節税につながります。
今回は、そんな交際費と間違いやすい経費のひとつである広告宣伝費について、交際費との違いを説明したいと思います。
交際費と福利厚生費の違いについては「交際費と福利厚生費の違い」を参照ください。
交際費と広告宣伝費の違いについては「交際費と寄付金の違い」を参照ください。
交際費
取引先など事業に関係のある会社や個人に対する
→ 得意先や仕入先、外注先といった取引先だけでなく、自分の会社の役員や従業員、株主なども含まれます。
接待
→ 飲食店などでもてなすことです。
贈答
→ 品物などをわたすことで、お中元やお歳暮などが該当します。
供応
→ 接待とほぼ同じ意味です。
慰安
→ 労をねぎらうことで、新年会や忘年会などの行事ごとなどが該当します。
などの費用をいいます。
広告宣伝費
対して広告宣伝費とは、こちら側では特定できない一般消費者などの不特定多数の者に対する宣伝のための費用をいいます。
例えば、下記のような場合は交際費ではなく広告宣伝費になります。
- 製造業者や卸売業者が、抽選で選ばれた一般消費者に対して金品をプレゼントしたり、旅行やコンサートなどに招待するための費用
- 製造業者や卸売業者が、おまけや金品引換券をつけて商品販売するための費用
- 製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して商品のモニターやアンケートを依頼した場合に渡す謝礼
- 小売業者が、商品を購入した一般消費者に対して景品などをプレゼントするための費用
- (特定の事業関係者ではなく)一般の工場見学者などに製品の試飲や試食をさせるための費用
ただし下記のような場合は一般消費者を対象としたものには該当しないので広告宣伝費でなく交際費になるので注意してください。
- 医薬品メーカーや医薬品販売業者が、医師や病院を対象とする場合
- 化粧品メーカーや化粧品販売業者が、美容院などを対象とする場合
- 建材製造業者や建材販売業者が、大工や左官などの建築業者を対象とする場合
- 機械や工具の製造業者や販売業者が、鉄工業者を対象とする場合
不特定多数の者ではなく特定の取引先などに対する宣伝のための費用は、原則として広告宣伝費ではなく交際費になります。
しかし例外として、
- 取引先などに、見本品や試用品を提供するために通常要する費用
- 取引先などに、宣伝のために社名の入ったカレンダーや手帳などをプレゼントするために通常要する費用
は広告宣伝費になります。
おわりに
交際費と広告宣伝費の違いは、特定の者に対するものなのか不特定多数の者に対するものなのかがポイントになります。広告宣伝費として交際費から除くことができる経費があれば、しっかり区別して節税してくださいね。
広告宣伝費については、「広告宣伝費で節税-でも交際費にならないように注意」も参照ください。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。