はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
株式会社を設立するにあたって、決算日はいつにすれば良いのでしょうか。
「会社の決算日?特に何も考えずに3月決算で決算日は3月31日にしようと思っていたけど・・・」
このようにお考えの起業家様も多いと思います。
しかし、よく考えて決算日を決めたほうが経営上好ましく、節税にもなります。
公認会計士・税理士として、港区、渋谷区、新宿区など東京23区の起業家様の支援をしてきた経験から、会社を設立するときポイントをお伝えしたいと思います。
今回は、会社設立時の決算日の決め方、何月決算にすれば良いのかについて説明します。
決算日はいつでもOKです
会社の決算日は、3月31日を決算日にして3月決算にする必要はありません。12月決算で12月31日を決算日にしてもいいですし、2月決算や8月決算でもOKです。
下記にあげるポイント参考に自分の会社に合った決算日を設定してください。
なお、20日など月末以外の日を決算日にしてもかまいませんが、法律の適用時期などがややこしくなります。決算月は何月でもいいですが、決算日は月末に設定するのが無難だと思います。
ちなみに、日本の上場会社では7割が3月決算、1割が12月決算になっています。3月決算が主流ですが、年々12月決算の会社が増えています。
上場会社に3月決算が多いのは、下記のような理由があげられます。
- 国や地方公共団体の会計年度(4月1日~3月31日)に合わせるため
- 予算を使い切るために3月の売上が増加、3月決算ならその売上を取り込むことができる。
- 総会屋対策
- 多くの会社が3月31日を決算日にして株主総会を6月の特定の日に集中させることで、総会屋が株主総会に出席しづらくする。
12月決算の上場会社が増えているのは、海外では12月決算が一般的であり、海外グループ会社と決算月を合わせるため、IFRS対応などによるものです。
お金に余裕がない月の2ヶ月前は避ける
決算の2ヶ月後には法人税や法人住民税、消費税といった税金を確定申告して納めなければいけません。
決算の6ヶ月後の2ヶ月後、つまり8ヶ月後には、税金の中間申告をして納めなければいけません。
そのため決算月を決めるときは、
- 売上の入金が少ない月(売り上げた月ではなく)
- 仕入れの支払いが多い月(仕入れた月ではなく)
- 従業員にボーナスを支払う月
といったような会社の入金が少なく支払いが多い、すなわち資金繰りが厳しい月に納税月がぶつからないようにしましょう。
お金に余裕がない月の2ヶ月前と8ヶ月前は避けた方がいいですね。
例えば冬のボーナスを支払う12月が資金繰り的に一番厳しいのであれば、12月の2ヶ月前にあたる10月決算と8ヶ月前にあたる4月決算は避けたほうがいいでしょう。
忙しい月は避ける
決算日から2ヶ月後の税金の申告にかけて、手間と時間がかかる決算業務があります。定常業務に合わせてこの決算業務を行わないといけないので、決算月を決めるときは、決算日から2ヶ月間の決算業務の時期が会社の忙しい月にかぶらないようにしましょう。
例えば会社の繁忙月が3月であるならば1月決算、2月決算は避けます。1月決算の場合の決算業務時期は2、3月、2月決算の場合の決算業務時期は3、4月になります。
棚卸資産・在庫が多い月は避ける
決算日には、材料や商品、製品といった棚卸資産・在庫について、その数量を数えるという棚卸(たなおろし)をしなければなりません。
この棚卸作業、在庫が多い小売業や卸業、製造業といった業種にとっては手間がかかる大変な仕事になります。
そのため、決算月を決めるときは、在庫が多くなる月は避けましょう。
消費税の納税義務の免除期間を長く取る
法人設立した時の資本金が1,000万円未満の会社は、設立して1期目と2期目の消費税の納税義務が免除されます。設立して2年間ではなく、設立して2期間というところがポイントです。
例えば設立1期目が
3月1日から3月31日の場合と、
4月1日から3月31日の場合とでは、
消費税の納税義務が免除される期間が、11ヶ月も違ってくることになります。
そのため、設立1期目がなるべく12ヶ月間に近づくように長く設定すると、免除の恩恵が大きくなります。
例えば10月に会社設立した場合は9月決算にすると設立1期目が長くなってお得になります。
なお消費税の納税義務の免税期間には「特定期間」といわれる制度があり、単純に設立してから2期間が免除されるとは限りません。会社設立時の消費税については気をつけるべきポイントが沢山あるので、税理士に相談することをオススメします。
儲かる月をアタマにもってくると節税対策がしやすい
決算日近くにできる節税は限られます。売上が多くて儲かる月を決算月に持ってくると、年間の利益が決算月まで予想しづらく、事業年度の途中で節税対策を立てにくくなってしまいます。
儲かる月を事業年度のアタマに持ってくることで、年間の利益の予測が立てやすくなり、その分、事業年度の途中での節税対策の幅が広がってきます。
おわりに
決算日を選ぶポイントがいっぱいあって迷ってしまいますよね。決算日はけっこう簡単に変更できるので、あまり神経質にならなくても大丈夫ですよ。迷ったら公認会計士や税理士にご相談くださいね。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。