はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
従業員に支払う給料から源泉徴収した所得税と復興特別所得税、毎月税務署に納めるのは結構手間がかかりますよね。
毎月しなければいけない源泉所得税の納付について、従業員が9人以下なら、7月と1月の年2回、半年分をまとめて納めることができますよ。
今回は、そんな源泉所得税と復興特別所得税の納期の特例について説明したいと思います。
源泉徴収した所得税と復興特別所得税の通常の納付期限
従業員などに支払う給与等から源泉徴収した所得税と復興特別所得税は、給与を支払った月の翌月10日までに納める必要があります。
例えば、4月25日に4月の給料を支払った場合、その給料から源泉徴収した所得税と復興特別所得税は、5月10日までに納めます。
うっかり忘れてしまったなどで納付が遅れてしまったら、原則として、不納付加算税や延滞税といったペナルティを支払わければいけません。
源泉徴収した所得税と復興特別所得税の納期の特例
上記のとおり、原則として、源泉徴収した所得税と復興特別所得税は毎月納めることになります。
しかし、給与を支払う従業員などが常に10人未満(つまり9人以下、9人はOK)である場合は、源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を、半年分まとめて納めることができます。これを納期の特例といいます。
毎年納めないといけない源泉所得税が年2回で済むとなると、事務の手間をかなり減らせますね。
源泉徴収した所得税と復興特別所得税の納期の特例を受けた場合の納付期限
源泉徴収した所得税と復興特別所得税の納期の特例を受けた場合は、
その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税と復興特別所得税については7月10日、
その年の7月から12月までに源泉徴収した所得税と復興特別所得税については、翌年1月20日が、
納付期限になります。
源泉徴収した所得税と復興特別所得税の納期の特例を受けるためには
源泉徴収した所得税と復興特別所得税の納期の特例を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出する必要があります。
株式会社など法人を設立した方が「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する場合の具体的な記載例については、
「税務署に提出する「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の書き方記載例-法人の場合」
を参照ください。
フリーランス・個人事業主の方が「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する場合の記載例については、
「税務署に提出する「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の書き方記載例-個人事業主の場合」
を参照ください。
源泉徴収した所得税と復興特別所得税の納期の特例の注意点-資金繰り
納期の特例によって、源泉所得税を納付する手間が年12回から年2回に減るのはありがたいですよね。
しかし納期の特例には注意してほしいポイントがあります。
年12回に分けて納めていたものを、年2回に減らすわけですから、1回で納める金額は半年分になります。毎月納めていたときに比べて6倍になるので、けっこう大きな金額になる場合があります。半年分の源泉所得税の納付を考慮して1月と7月の資金繰りを考える必要があります。
従業員の給与から源泉徴収した所得税と復興特別所得税は、あくまでも従業員から預かったものです。お金がないから払えませんでは許されません。
源泉徴収した所得税と復興特別所得税の納期の特例の注意点-対象が限られています
源泉徴収した所得税と復興特別所得税の納期の特例を受けたからといって、源泉徴収した所得税と復興特別所得税のすべてが対象になるわけではありません。
納期の特例の対象となるものは、下記の2つに限られます。
- 給与や退職金から源泉徴収した所得税と復興特別所得税
- 税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収した所得税と復興特別所得税
この2つ以外のものは、原則どおりの納付期限になるので、源泉徴収した翌月の10日までに納なければいけないので注意してください。
例えば、下記のものは納期の特例の対象になりません
- フリーランス・個人事業主などの個人に支払った原稿料、講演料、デザイン料、コンサルタント料
- 芸能人やモデル個人に支払った報酬や料金
※法人に対して支払うものは、そもそも源泉徴収の対象外です。個人に対して支払うものが源泉徴収の対象になります。
おわりに
源泉所得税は、納期の特例以外にも間違いやすいポイントが沢山あります。少しでも迷ったら税理士に相談してみてくださいね。
最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。