はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
港区・渋谷区・新宿区など東京都23区のベンチャー企業やスタートアップ起業を支援する公認会計士・税理士が、金融・ファイナンスについて解説します。
お金に余裕が出てくると、銀行や証券会社などの金融機関を始めとしていろんなところから儲け話が舞い込んできます。私の顧問先のお客様のところにも様々な投資話が持ち込まれていますが、顧問先支援の一環として、それらの内容についてわかりやすく説明するといったこともやっています。
今回は、金融商品のなかでも特に分かりにくいデリバティブについて、その概要を説明したいと思います。
デリバティブとは
デリバティブという言葉を聞いたことがある方はいても、その中身について知っている方は少ないかもしれません。
デリバティブ(derivatives)は、日本語では金融派生商品といいます。
英単語のderivativeには、派生物という意味があります。
デリバティブとは、株式や債券、金利、為替、コモディティ(穀物や金属、非鉄金属といった商品)などから”派生”した取引のことをいいます。
なお、株式や債券、金利、為替、コモディティなどデリバティブの元になるモノのことを原資産といいます。
デリバティブとは、一言で言うと将来に行う取引を現時点で予約する取引です。
デリバティブの例
デリバティブを簡単な例で説明します。
太郎さんと花子さんは次のような約束をしました。
現在のA株式の株価は1万円です。なお、太郎さんも花子さんも現時点ではA株式を持っていません。
- 太郎さんは花子さんに半年後にA株式を1万円で売る約束をしました(太郎さん目線)。
- 花子さんは太郎さんから半年後にA株式を1万円で買う約束をしました(花子さん目線)。
半年後のA株式の株価が1万5千円になった場合
- 太郎さんは株式市場でA株式を1万5千円で購入して花子さんに1万円で売ります。太郎さんは5千円の損になります。
- 花子さんは太郎さんからA株式を1万円で購入して株式市場に1万5千円で売ります。花子さんは5千円の得になります。
半年後のA株式の株価が5千円になった場合
- 太郎さんは株式市場でA株式を5千円で購入して花子さんに1万円で売ります。太郎さんは5千円の得になります。
- 花子さんは太郎さんからA株式を1万円で購入して株式市場に1万5千円で売ります。花子さんは5千円の得になります。
デリバティブでは、実際にA株式の売買をするのではなく、A株式の株価の現在と半年後の差額のやりとりだけすることになります。よって上記の太郎さんと花子さんの約束は、デリバティブでは下記のような約束になります。
- 半年後のA株式が1万円より高くなったら、太郎さんから花子さんに、半年後のA株式の株価と現在のA株式の株価1万円の差額を支払う。
- 半年後のA株式が1万円より安くなったら、花子さんから太郎さんに、現在のA株式の株価1万円と半年後のA株式の株価の差額を支払う。
このようにデリバティブには次のような特徴があります。
- 現物の取引ではなく差額だけによる取引を行う
- 買う約束だけでなく売る約束もできる
デリバティブの種類
デリバティブの代表的な取引としては、先物取引、スワップ取引、オプション取引があります。また、これらの取引を組み合わせたものなどデリバティブには様々な種類があります。
先物取引
先物取引とは、将来の定められた日に、定められた商品について、定められた数量を、定められた価格で売買することを約束する取引をいいます。
スワップ取引
スワップ取引とは、定められた条件で、キャッシュフローを交換する取引をいいます。
交換するキャッシュフローには金利(変動金利と固定金利など)や通貨(円とドルなど)があります。
オプション取引
オプション取引とは、定められた日や定められた期間に、定められた商品について、定められた価格やレートで取引する権利を売買する取引をいいます。権利を売買することに特徴があります。
デリバティブの利用目的
デリバティブの利用目的にはリスクヘッジ、アービトラージ、スペキュレーションなどがあります。
リスクヘッジ
リスクとは不確実性のことをいいます。
リスクヘッジ(risk hedge)とは、将来の不確実性を減らしたり回避することをいいます。
アービトラージ
アービトラージ(arbitrage)とは、価格の差を利用して利ざやを稼ぐことをいいます。裁定取引ともいいます。
スペキュレーション
スペキュレーション(speculation)とは、相場変動のリスクを負って利益獲得を目指すことをいいます。投機取引ともいいます。
おわりに
デリバティブ自体が悪なのではありません。むしろ正しく使えば有用なものです。ただし、金融機関が販売するデリバティブが組み込まれた金融商品を理解せずして購入することは控えてください。デリバティブによって一流と言われる企業や大学、地方自治体などが多額の損を被っている現状があります。
持ち込まれる儲け話にうまい話なんてありません。うまい話は自分で見つけるか、自分で編み出してくださいね。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。