カテゴリー: 税金と節税

医療費控除のやり方-1-概要 | 確定申告

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区を中心とした東京都23区の個人のお客様の所得税の確定申告のお手伝いをしている公認会計士・税理士が確定申告について解説します。

今回は、確定申告における医療費控除のやり方について説明したいと思います。

 

 

医療費控除の概要

医療費控除とは、

自分自身と、
自分自身と生計を一にする(同じ家計のお財布で生活のやりくりをしている)配偶者や家族その他の親族
のために1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費について、下の式で計算した金額を医療費控除として所得から差し引くことができる制度をいいます。

 

 

医療費控除の計算式

医療費控除

 

所得の合計額が200万円までの方は、10万円の代わりに所得の合計額の5%の金額を控除します。
医療費控除の金額は最大200万円になります。

実際に支払った医療費が医療費控除の対象になるので、12月31日時点で未払いになっている医療費については実際に支払った年の医療費控除の対象になります。

 

 

医療費控除の対象になる医療費

医療費控除の対象になる主な医療費には次のようなものがあります。

医療費控除の対象になる医療費 医療費控除の対象に含まれる例 医療費控除の対象に含まれない例
医師、歯科医師に支払った診療代や治療代
あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などに支払った治療のための施術代
助産師に支払った分べんの介助代金
医師などに支払った一定の特定保健指導の代金
介護福祉士などに支払った喀痰吸引等にかかる代金
医師等による診療等を受けるために直接的に必要になる下記のような費用・通院するための交通費
・医師等の送迎費
・入院の対価として支払う部屋代や食事代
・医療用器具の購入代金やレンタル代
・義手、義足、松葉づえや義歯等の購入代金
・身体障害者福祉法などの規定により、都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師等の診療費用などに当たるもの
・6か月以上の寝たきりの人のおむつ代(その人の治療をしている医師が発行した証明書「おむつ使用証明書」のあるものに限る)
介護保険制度によって提供される施設・居宅サービスの代金
美容整形など、美化や容ぼうを変えることを目的とした整形手術代健康診断の費用
自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車料金
治療を受けるために直接必要としない、近視や遠視のための眼鏡等の購入費用
保健師や看護師、准看護師に支払った療養上の世話の対価 左記以外で、療養のための世話を受けるために特に依頼した人に支払う療養上の世話代 親族に支払う療養のための世話代
治療や療養に必要な医薬品の購入代金 かぜの治療のために使用した一般的な医薬品の購入代金医師等の処方や指示により医師等による診療等を受けるため直接必要なものとして購入する医薬品の購入費用 ビタミン剤など疾病予防や健康増進を目的としたものの購入代金
病院、診療所又は助産所などへ収容されるための人的役務の提供の対価 病状からみて急を要する場合に病院に収容されるための費用 親族などから人的役務の提供を受けたことに対し支払う謝礼

 

 

医療費控除の範囲については下記ページも合わせてご参照下さい。
医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです1
医療費控除とは?医療費の範囲はけっこう広いです2

 

 

保険金などで補塡される金額

保険金などで補塡される金額として支払った医療費から差し引くものとして、次のようなものがあります。

  • 生命保険や損害保険から支払われた医療保険金や入院費給付金、傷害費用保険金
  • 健康保険法の規定により支給を受ける療養費や出産育児一時金、家族出産育児一時金、家族療養費、高額療養費、高額介護合算療養費
  • 損害賠償金(医療費の補塡を目的として受け取るもの)
  • 任意の互助組織から医療費の補塡を目的として支払を受ける給付金

 

保険金などで補塡される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。
例えば、がんの治療にかかった医療費が90万円、その他の治療にかかった医療費が25万円、がん保険から100万円の保険金を受けとったとします。
この場合は、
90万円-90万円+25万円=25万円が医療費控除の対象になる医療費になります。
(90万円-100万円+25万円=15万円が医療費控除の対象になる医療費になるわけではありません。)

 

確定申告書を提出するときまでに、保険金などの金額が確定していない場合には、保険金などの受け取り見込額を支払った医療費から差し引きます。
そして後日、保険金などを受け取ったときに、実際に受取った金額が確定申告時の見込額と異なる場合には、修正申告(見込額より実際に受取った金額の方が多い場合)、または更正の請求(見込額より実際に受取った金額の方が少ない場合)を行って訂正することになります。

 

 

おわりに

次に続きます。
医療費控除のやり方-2-医療費の明細書の書き方・記載例 | 確定申告

 

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最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

パート・アルバイト収入103万円の壁 妻と夫の所得税

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士がビジネスや税金・節税などについて解説します。

 

今回は、パート・アルバイト収入103万円の壁と妻・夫の所得税の関係について説明したいと思います。

以下では、夫の収入がメイン、妻のパート・アルバイト代がサブとして家計を支えている場合を想定します。
妻の収入がメインで夫のパート・アルバイト代がサブの場合は、夫と妻を逆にして読み進めてくださいね。

 

 

パート・アルバイト収入で気をつけるべきポイント

妻の収入がパート代やアルバイト代といったお給料だけで、他に副業収入などがない場合、所得税については下記の3つが気をつけるべきポイントになります。

  • 妻に所得税がかかるのかどうか
  • 夫は所得税の配偶者控除を受けられるかどうか
  • 夫は所得税の配偶者特別控除を受けられるかどうか

 

 

妻に所得税がかかるのかどうか

妻にパート・アルバイト代がある場合、妻自身に所得税がかかるのかどうかが第1の問題になります。

パート代やアルバイト代は、基本的に給与所得という所得の区分に分類されます(まれに給与所得にならない場合もあるので注意してください。)。

この給与所得の金額は、パート・アルバイト代の額面金額ではなく、パート・アルバイト代の額面金額から給与所得控除額というものをマイナスした金額になります。給与所得控除額はパート・アルバイト代の増加に従って増えますが、最低金額は65万円です。

妻の所得 =
パート・アルバイト代103万円 - 給与所得控除額65万円 - 所得税の基礎控除額38万円
= ゼロ円

 

妻の1月から12月までの1年間のパート・アルバイト代の合計が103万円以下で、他に所得がない場合、所得がゼロ円になるので、妻自身に所得税はかかりません。

 

 

夫は所得税の配偶者控除を受けられるかどうか

妻にパート・アルバイト代がある場合、夫は所得税の配偶者控除を受けられるかどうかが第2の問題になります。

夫が所得税の配偶者控除を受けるためには、妻の合計所得金額を38万円以下にする必要があります。

 

妻の収入がパート・アルバイト代しかない場合、妻のパート・アルバイト代が103万円以下であれば給与所得控除額の65万円をマイナスすると合計所得金額は38万円以下になりますので、夫は所得税の配偶者控除を受けられることになります。

 

 

夫は所得税の配偶者特別控除を受けられるかどうか

妻のパート・アルバイト代が103万円を超えると、夫は所得税の配偶者控除を受けることができなくなります。しかし、配偶者特別控除は受けられる可能性があります。

そこで、妻に103万円を超えるパート・アルバイト代がある場合、夫は所得税の配偶者特別控除を受けられるかどうかが第3の問題になります。

夫が所得税の配偶者特別控除を受けるためには、次の条件を2つとも満たす必要があります。

  1. 夫の合計所得金額が1千万円以下である
  2. 妻の合計所得金額が38万円超76万円未満である

 

夫が1の条件を満たす場合、
妻のパート・アルバイト代が、103万円(38万円+給与所得控除額65万円)超、141万円(76万円+給与所得控除額65万円)未満で、パート・アルバイト代の他に所得がなければ、夫は所得税の配偶者特別控除を受けられることになります。

なお、夫が受けられる配偶者特別控除の金額は、妻のパート・アルバイト代によって異なります。
妻のパート・アルバイト代が増えるに従って、最大38万円から少なくなっていきます。

 

 

まとめ

妻の収入がパート代やアルバイト代といったお給料だけで、他に副業収入などがない場合、

  • 妻のパート・アルバイト代が103万円以下であれば、妻の所得税はかかりません。
  • 妻のパート・アルバイト代が103万円以下であれば、夫は所得税の配偶者控除を受けることができます。
  • 妻のパート・アルバイト代が103万円超141万円未満であれば、夫は所得税の配偶者特別控除を受けることができます。(夫の合計所得金額が1千万円以下の場合)

 

今回は、パート・アルバイト収入103万円の壁と妻・夫の所得税についてのお話でしたが、
パート・アルバイト代については所得税以外にも、住民税や社会保険も考慮する必要があります。合わせて下記ページもご参照ください。
配偶者控除、配偶者特別控除とは?2-いろんな壁があります

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

新聞・ニュース等で使われる「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」の違い

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士がビジネスや税金・節税などについて解説します。

 

今回は、新聞やニュースなどマスコミで使われる「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」の違いについて説明したいと思います。

 

 

「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」を使い分けるマスコミ

「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」、似ているようで異なるこの3つの用語を、新聞やニュースなどでたびたび見聞きすることがあると思います。

マスコミは、「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」をどのように使い分けているのでしょうか。

 

 

申告納税制度

サラリーマンや会社員など会社勤めの方の多くの場合は、会社が毎月の源泉徴収(給料からの天引き)と年末調整による精算をしてくれるので、自ら税金の金額を計算して納める必要はありません。

 

一方、自営業者やフリーランスなどの個人事業主や株式会社などの法人の場合は、所得(もうけ)などをもとに自分で税金の金額を計算して税務署に申告して税額を納める、という申告納税制度がとられています。

 

 

「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」の違い

所得税や法人税などの税金計算の基本は、「所得(もうけ) × 税率」です。
所得が多ければ税金も多くなり、所得が少なければ税金も少なくなります。

 

自分で申告して納めた税金が、税務署の税務調査によって、所得が正しく計上されておらず、本来納めるべきであった税金よりも少ないと指摘されることがあります。

 

申告漏れ

税務調査で税務署から指摘された事項が、
単なるうっかりミスや計算間違いなどが原因で、
所得と税金を少なく申告したのが”意図的ではない”
と税務署が判断した場合は、「申告漏れ」という用語が使われます。

 

「申告がうっかり漏れちゃった、わざとじゃないよ」というイメージです。

この場合に追加で納めることになる税金は、本来であれば納めるべきであった税金に加えて、ペナルティとして過少申告加算税(10~15%)や無申告加算税(15~20%)などを納めることになります。

 

 

所得隠し

税務調査で税務署から指摘された事項が、
架空の経費を計上したり売上を除外したりして、
所得と税金を少なく申告したのが”意図的である”
と税務署が判断した場合は、「所得隠し」という用語が使われます。

 

「故意に所得を隠していた」というイメージです。

この場合に追加で納めることになる税金は、本来であれば納めるべきであった税金に加えて、ペナルティとして重加算税(35~40%)などを納めることになります。

 

 

脱税

通常の税務調査は「任意調査」であり、たてまえとしては調査は任意となっています。
しかし、裁判所の令状を取って行われる「強制調査」(マルサ)というものがあります。

所得隠しのうち悪質で大規模なものと疑われる場合に、この「強制調査」が行われ、調査の結果、検察官に告発されると、新聞やニュースでは「脱税」という用語が使われることになります。

なお、脱税が確定するのは、裁判の判決が出てからになります。

 

 

おわりに

新聞やニュースで「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」という用語が出てきたら、その違いを意識してみてくださいね。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

経費で落ちる 経費になる とは何を意味するのか

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士がビジネスや税金・節税などについて解説します。

今回は、「経費で落ちる・経費になる」とは何を意味するのかについて説明したいと思います。

 

 

「経費で落ちる・経費になる」とは

「経費で落ちる・経費になる」という言葉には、なんとなく得するようなイメージを持たれるのではないでしょうか。

 

「経費で落ちる・経費になる」とは、
税金を計算するうえでの経費として計上することができる、
ということを意味しています。

 

下記では、サラリーマンなどの会社員の場合と自営業者などの個人事業主の場合に分けてご説明します。

 

 

サラリーマン・会社員にとっての「経費で落ちる・経費になる」とは

サラリーマン・会社員や会社役員など会社勤めの方にとっての「経費で落ちる・経費になる」とは、
ある支出について自分のお金で支払うのではなく会社が代わりに払ってくれる、
ということを意味します。

例えば、仕事関係の取引先との飲食代や業務で使う備品代・書籍代などが該当します。

 

会社員は得するけど会社にとっては損になる、なんでそんなこと会社はしてくれるのか、と疑問を持たれるかもしれません。

しかし、仕事・業務に直接関係のある支出を、会社の経費として会社が負担するのあたりまえのことなのです。
ただ、何でも会社が負担してくるわけではもちろんありません。会社が会社員の代わりに支払ってくれるのは、あくまで仕事・業務に直接関係のある支出だけになります。友達との飲み代など、仕事・業務に直接関係のない支出については、会社が支払うことはありません。

 

会社は、会社員の代わりに負担した支払いを、会社の経費にします。
会社が支払う法人税などは、会社の利益(所得)に対してかかります。
利益(所得) = 売上(益金) - 経費(損金)
経費が増えれば利益が減ります。利益が減れば税金も減ることになります。

 

なお、サラリーマン・会社員には、仕事に関する支出が一定の金額を超えた場合に、その金額を所得から控除できる(つまり節税することができる)という「給与所得者の特定支出控除」という制度もありますが、利用基準が厳しいため利用できる方はほとんどいません。

 

 

個人事業主にとっての「経費で落ちる・経費になる」とは

自営業者やフリーランスといった個人事業主にとっての「経費で落ちる・経費になる」とは、
ある支出を自分の事業の必要経費にすることができる
ということを意味します。

 

個人事業主が支払う所得税などは、事業の利益(所得)に対してかかります。
利益(所得) = 売上(収入) - 経費(必要経費)
経費が増えれば利益が減ります。利益が減れば税金も減ることになります。

 

個人事業主にとって、「経費で落ちる・経費になる」と節税になるのです。

 

節税になる分だけ、割引で購入できるイメージです。
プライベートで5万円支払ったら、5万円だけ現金が出ていって終わりです。
しかし、その5万円の支払いを経費にすることができれば、いったん5万円の現金が出ていきますが、税金を支払う段階で5万円×税率分だけ節税になります。
税率が30%であるとしたら、5万円×30%=1万5千円だけ税金が安くなるため、結果として支払いは5万円-1万5千円=3万5千円で済むことになります。

 

個人事業主だからといって、なんでもかんでも「経費で落ちる・経費になる」わけではありません。事業に直接関係のある支出は経費にすることができますが、プライベートな支出は経費になりません。

 

例えば、「車を買って経費で落とした」といった場合は、100%事業に使う車であれば全額が経費になりますが、私用でも使う場合は、私用分は経費になりません。
仮に、500万円の車を買っても、仕事で50%、私用で50%使う場合は、500万円×50%=250万円しか(減価償却を経て)経費になりません。

 

いくら「経費で落ちる・経費になる」と節税になるからといって、不要なものまで支出しては、手元に残るお金が減ってしまいます。
事業の目的は、節税することではなく、手元現金を増やすことであるはずです。本当に必要なものにだけ支出するよう心がけてくださいね。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

住民税の特別徴収とは? 給料支払時に住民税を差し引き事業主が納める制度

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として港区や渋谷区、新宿区など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援してきた経験から、株式会社などの法人の方、フリーランス・個人事業主などの個人の方の税金や節税について解説します。

 

従業員に給料を支払うときは所得税や住民税、社会保険料など様々なものを差し引く(天引きする)必要があります。

給料をもらう側からすると、「給料の額面はこんなにあったのに、よく分からないものがたくさん差し引かれて手取りになると結局これだけしか残らなくて嫌になっちゃう。」、こんな風に感じている人も多いのではないのでしょうか。

給料を支払う事業主の側からすると、「せっかく給料を支払っても、色々差し引かなきゃならないから従業員から文句を言われる。給料から差し引くものが多すぎて面倒」、こう思っているかもしれません。

今回は、そんな給料から差し引くもののひとつ、個人住民税の特別徴収という制度について説明したいと思います。

 

 

住民税

住民税とは、地方公共団体が行う様々な行政サービスについて、その費用をまかなうために、その地域に住んで行政サービスを受けることになる住人(個人と法人)に広く負担してもらうための税金です。都道府県民税と市町村民税を合わせて住民税と呼ばれています。

個人の住民税の概要については下記ページを参照ください。
個人住民税の基本

 

 

個人住民税の特別徴収とは

個人住民税の特別徴収とは、
給与を支払う事業主(株式会社などの法人や個人事業主など)が、
(所得税の源泉徴収と同じように)
給与を受け取る従業員に代わって、
毎月の給与支払い時に給料から個人住民税を差し引いて(給料天引きして)、
区市町村に納める制度です。

所得税にも事業主が従業員に代わって給与から所得税を差し引いて税務署に納めるという源泉徴収制度があります。詳細は下記ページを参照ください。
源泉徴収制度とは | 源泉所得税・源泉徴収

 

 

個人住民税の特別徴収を行う場合

前年に従業員が給与を受け取っていて、かつ当年の4月1日時点においても給与を受け取っている場合、事業主は原則として特別徴収する必要があります。
原則として、アルバイトやパート、役員などを含む全ての従業員から特別徴収します。

 

 

特別徴収した個人住民税の納付

事業主が特別徴収した個人住民税は、
徴収した月の翌月10日までに(年12回)
従業員の住む区市町村ごとにそれぞれ納めます。

ただし、従業員の数が常時10人未満の場合は、従業員が住む区市町村に「特別徴収税額の納期の特例に関する申請書」を提出して承認を受けると、年2回(6月~11月分を12月10日までに、12月~5月分を6月10日までに)にまとめて納めることができる納期の特例という制度があります。

 

 

個人住民税の特別徴収の流れ

個人住民税の特別徴収の流れは下記のようになります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した個人住民税の特別徴収の流れ

 

① 給与支払報告書の提出

毎年1月1日時点で給与を支払っている事業主のうち、所得税の源泉徴収をする義務のある事業主は、
1月1日時点において従業員が住んでいる区市町村に、
1月31日までに給与支払報告書を提出します。

 

②③ 特別徴収税額の通知

毎年5月31日までに、従業員が住んでいる区市町村から特別徴収税額決定通知書が事業者に送られてきます。

 

④ 毎月の給与から特別徴収

②の特別徴収税額決定通知書には、従業員の毎月(6月から翌年5月まで)の個人住民税の金額が記載されているので、この金額に従って毎月の給与から個人住民税を差し引きます。

 

⑤ 個人住民税の納入

④で特別徴収した個人住民税は翌月10日までに区市町村に納入します。納入は区市町村から送られてくる納入書を使います。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で起業された方、または起業をお考えの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や節税だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

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