カテゴリー: 資金調達

資本性ローン 創業期に有用な融資制度です

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷、新宿など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が、資金調達について解説します。

今回は、資本性ローンという創業期に有用な融資制度を紹介したいと思います。

 

 

資本性ローンとは

資本性ローン(挑戦支援資本強化特例制度)とは、政府系の金融機関である日本政策金融公庫の融資制度のひとつで、創業・新事業展開・海外展開・事業再生などに取り組む法人や個人事業主の財務体質強化を図るために資金を供給することを目的とした融資制度です。

日本政策金融公庫では、国民生活事業と中小企業事業において資本性ローンを取り扱っていますが、以下では国民生活事業の資本性ローンを紹介します。

 

 

資本性ローンの特徴

資本性ローンの特徴は、その名の通り、ローン(借入金)ではありますが、自己資本に近い性質を持っているところにあります。

  • 借入期間が5年1ヶ月~15年以内と長期である
  • 返済方法は分割返済ではなく借入期限に一括返済である(利息は毎月払い)
  • 融資限度額は4,000万円
  • 借入利率は直近決算の利益率によって変動するが、マイナス(赤字)の場合は年利0.9%と非常に低い
  • 無担保、無保証人である
  • 資本性ローンによる借入金については、金融期間の審査において自己資本とみなされるため、他の民間金融機関からの融資も受けやすくなる

 

 

資本性ローンの最大のメリット

資本性ローンは、上記のような自己資本に近い性質を持っていますが、あくまでも借入金です。そのため、株主の持分比率は変化しません。出資に近い資金調達を行えるにもかかわらず、創業者など既存株主の持分比率が下がらないことが、資本性ローンの最大のメリットであるといえます。

融資条件は厳しめですが、チャレンジしてみる価値は十分あると思います。

融資条件など詳細は日本政策金融公庫のホームページを参照下さい。
挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)

 

 

おわりに

港区や渋谷、新宿など東京23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や節税だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなたの事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

借入金と預金がある場合の借入実質金利 | 両建預金

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷、新宿など東京23区の法人や個人事業主のお客様の顧問として事業の支援をしている公認会計士・税理士が、税金や節税、資金調達などについて解説します。

今回は、借入金に対応する預金(両建預金)がある場合の借入実質金利について説明したいと思います。

 

 

両建預金とは

金融機関から借入を行うときに、借入金の一部を金融機関に預金させられるものを両建預金といいます。金融機関から借入を行うための条件として、この両建預金が半強制的に行われる場合があります。

両建預金は、定期預金や通知預金といった普通預金に比べて拘束性が高く、すぐに引き出せない預金で行われます。

 

 

銀行が両建預金をすすめる理由

銀行が両建預金をすすめる理由は、貸付金の担保にするためと、貸付金の実質金利を上げるためです。

次の例で考えてみます。

2,000万円(年利3%)を借り入れた
そのうち1,000万円(年利0.1%)を定期預金として預けた

この場合の実質金利を計算するとこうなります。

借入金として実際に使えるお金は
2,000万円 - 1,000万円 = 1,000万円

銀行に支払う1年間の借入金利息は
2,000万円 × 3% = 60万円

銀行から受け取る1年間の定期預金利息は
1,000万円 × 0.1% = 1万円

実質的な1年間の借入金利息は
60万円 - 1万円 = 59万円

実質的な借入金利は
59万円 ÷ 1,000万円 = 5.9%

年利3%で借りたと思ったら、実際は5.9%で借りたことになっているのです。

両建預金をお願いしてくる融資担当者は、この実質金利については説明してくれません。
ぜひ、両建預金による融資における実質金利の仕組みを理解して、金融機関と交渉してくださいね。

 

 

金融庁の監督指針

金融庁の「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」では、過当な両建預金の受入れは正常な取引慣行に反する不適切な取引にあたるとして、その発生をどのように防止しているかが「銀行監督上の評価項目」となっています。

両建預金がすでにある場合や、両建預金が借入の条件として暗に示されている場合などは、銀行の融資担当者に対して、上記の金融庁指針をチラつかせて交渉することも有効な手段といえます。

 

 

おわりに

繰り返しになりますが、金融機関から両建預金をお願いされた場合は、次の2つを交渉の材料にしてくださいね。

  • 実質金利の仕組み
  • 金融庁の監督指針

 

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自己資本比率 融資してもらえる決算書

はじめに

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港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が資金調達について解説します。

 

今回は、金融機関から融資してもらえる決算書として自己資本比率について説明したいと思います。

 

 

金融機関が融資したい会社

あなたがお金を貸すとしたら、どんな人にお金を貸したいですか。返済期限を守ってちゃんと返してくれる人ではないでしょうか。これは銀行など金融機関の融資担当者にももちろん当てはまります。

そこで、自分が「返済期限を守ってちゃんと返してくれる会社」であることを金融機関に説明する道具として、自己資本比率という財務指標が使われるのです。

この自己資本比率は、金融機関が一番重要視する数値といっても過言ではありません。

 

 

自己資本比率とは

自己資本比率とは総資本のうち自己資本が占める比率をいいます。
自己資本比率は会社の全財産に対して返済する必要がない自己資本がどのくらいあるのかを示し、自己資本比率が高いほど会社の財務的な安定性は高いといえます。

 

決算書の貸借対照表の項目から次のように計算します。

自己資本比率
= 純資産合計 ÷ 資産合計
= 純資産合計 ÷ ( 負債合計 + 純資産合計 )

 

 

自己資本比率は何%必要なのか

自己資本比率は業種にもよりますが、30%が平均的な値で、40%を超えると財務安定性が高い優良企業とみられます。

金融機関から融資してもらうためには、自己資本比率は最低でも30%、できれば40%は欲しいところです。

 

 

自己資本比率を高めるには

自己資本比率の計算式をもう一度見てみましょう。

自己資本比率
= 純資産合計 ÷ 資産合計
= 純資産合計 ÷ ( 負債合計 + 純資産合計 )

この式から、自己資本比率を高めるには次の3つの方法があることになります。

 

資産合計を減らす

  • 滞留している売掛金や不良債権を処理する
  • 余分な在庫を処分する
  • 不要な固定資産を処分する
  • 不要な投資を現金化する

 

純資産合計を増やす

  • 増資をして資本金を増やす
  • 儲けを出して内部留保(利益剰余金)を増やす

 

負債合計を減らす

  • 不要資産を処分したお金で借入金の返済をすすめる
  • 仕入債務(買掛気や支払手形)を減らせば(支払いイトを短くすれば)負債が減るが、資金繰りが悪化してしまうので注意

 

 

役員借入金がある場合

会社に役員からの借入金がある場合は、実質的には自己資本(純資産)として考慮される場合があります。特に中小企業などにおいては会社と社長は一体と考えられるためです。

とはいえ、役員借入金を資本金に変えてしまえば(デッドエクイティスワップ)、よりきれいな決算書になるのでご検討してみてください。

 

 

おわりに

自己資本比率を高めることは金融機関対策になるだけでなく、資金繰りがよくなるなど会社自身にとても良い影響をもたらします。自己資本比率の改善は容易ではありませんが、見返りも大きいのでぜひ実践してください。

 

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元利均等返済と元金均等返済の違い メリット・デメリット

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が資金調達について解説します。

今回は、借入金の返済方法である元利均等返済元金均等返済の違いと、それぞれのメリット・デメリットについて説明したいと思います。

 

 

借入金の返済方法

毎月の借入金の返済の際には、借入金の元金だけでなく利息も合わせて返済することになります。

この借入金の元金と利息の返済方法には、元利均等返済と元金均等返済という2通りの返済方法があります。

 

 

元利均等返済とは

元利均等返済とは、借入金の元金と利息の合わせた返済額合計が毎月一定となる返済方法をいいます。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した元利均等返済

 

メリット
毎月の返済額が一定であるため、返済計画が立てやすくなります。

 

デメリット
上記の元利均等返済のイメージ図をご覧のとおり、返済期間当初は、借入金の元金の返済分が少ないため、借入金の残高が減るのが遅くなります。そのためトータルで支払うことになる利息が大きくなってしまいます。

 

 

元金均等返済とは

元金均等返済とは、借入金の元金の返済額が毎月一定となる返済方法をいいます。返済期間の当初は元本返済の負担が大きいですが、利息の支払いは毎月減っていくので、毎月の元本と利息を合わせた返済額合計もだんだんと減っていきます。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した元金均等返済

 

メリット
借入金の元本の返済が早く進むので、トータルで支払うことになる利息は少なくて済みます。
借入金の元本の返済が一定額ずつ進むので借入金の残高管理がしやすくなります。
また、返済期間が進むにつれて返済負担がだんだん減っていきます。

 

デメリット
返済額合計が大きくなる返済期間当初の資金繰りが厳しくなってしまいます。

 

 

元利均等返済と元金均等返済の具体的数値例

元利均等返済と元金均等返済ではどのくらい差が生じるのか、下記条件における具体的な数値で見てみましょう。

借入金額:1千万円
借入期間:10年
利率:年3%

 

元利均等払の場合

元利均等返済における返済スケジュール
借入金額1千万円、借入期間10年、利率年3%
返済額の合計 うち利息分 うち元金返済分 借入金残高
借入年度 10,000,000
1年目 1,158,729 288,094 870,635 9,129,365
2年目 1,158,729 261,612 897,117 8,232,248
3年目 1,158,729 234,326 924,403 7,307,845
4年目 1,158,729 206,209 952,520 6,355,325
5年目 1,158,729 177,237 981,492 5,373,833
6年目 1,158,729 147,384 1,011,345 4,362,488
7年目 1,158,729 116,623 1,042,106 3,320,383
8年目 1,158,729 84,927 1,073,802 2,246,580
9年目 1,158,729 52,266 1,106,463 1,140,117
10年目 1,158,729 18,612 1,140,117 0
合計 11,587,290 1,587,290 10,000,000

 

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した元利均等返済の返済額推移

 

 

元金均等払の場合

元金均等返済における返済スケジュール
借入金額1千万円、借入期間10年、利率年3%
返済額の合計 うち利息分 うち元金返済分 借入金残高
借入年度 10,000,000
1年目 1,286,250 286,250 1,000,000 9,000,000
2年目 1,256,250 256,250 1,000,000 8,000,000
3年目 1,226,250 226,250 1,000,000 7,000,000
4年目 1,196,250 196,250 1,000,000 6,000,000
5年目 1,166,250 166,250 1,000,000 5,000,000
6年目 1,136,250 136,250 1,000,000 4,000,000
7年目 1,106,250 106,250 1,000,000 3,000,000
8年目 1,076,250 76,250 1,000,000 2,000,000
9年目 1,046,250 46,250 1,000,000 1,000,000
10年目 1,016,250 16,250 1,000,000 0
合計 11,512,500 1,512,500 10,000,000

 

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した元金均等返済の返済額推移

 

 

おわりに

元利均等返済と元金均等返済のどちらの返済方法を選ぶのかについては、財務状態と事業計画に照らし合わせて上記のメリット・デメリットを考慮して決定して下さいね。

 

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運転資金と設備資金 資金調達の種類

はじめに

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港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が資金調達について解説します。

 

今回は、運転資金設備資金の違いについて説明したいと思います。

 

 

運転資金とは

運転資金とは、事業を行う上で日常的に必要になる資金のことをいいます。

運転資金の例としては次のようなものがあります。

  • 仕入代金の決済
  • 従業員に支払う給料やパート・アルバイト代
  • 事務所家賃やテナント料
  • 水道光熱費

 

毎月のように支払いが発生するもので、その金額はある程度一定であるか、売上などに連動して増減します。また、設備資金と比べるとその金額は小さくなります。

運転資金は、短期間で回転する(毎月の売上代金を毎月の運転資金に充てるということを繰り返しぐるぐる回転させる)という性質を持つ資金です。逆に言えば、毎月の売上代金の入金が、毎月の運転資金の支払いを上回るような事業でないと会社は存続できません。

ただ、事業を始めたばかりの時期や、急激な売上増加、売上代金の入金遅れなどで一時的に運転資金が不足する場合があります。そのような時は金融機関から短期で資金調達することになります。

 

 

設備資金とは

設備資金とは、事業を行う上で必要となる設備を導入するための資金、設備投資のための資金のことをいいます。

設備資金の例としては次のようなものがあります。

  • 土地や建物など不動産の購入
  • 不動産賃貸にかかる敷金・保証金
  • 製品製造のための機械装置の購入
  • 店舗改装工事費用
  • 情報システム導入費用

 

運転資金に比べると金額は大きくなります。

短期間で回転する運転資金と異なり、設備資金を回収するまでには長期間かかることになります。そのため、設備資金を金融機関から調達する場合は、回収期間に合わせて長期で調達する必要があります。

 

 

おわりに

資金調達を行う場合はもちろん、日々の資金管理の際も、資金を運転資金と設備資金に分けて考えてくださいね。

 

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