カテゴリー: 国外財産調書制度

国外財産調書に記載する財産の価格 | 国外財産調書制度-4

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金や節税について解説します。

 

非永住者以外の居住者(日本にずっと住んでいる人など)で、その年の12月31日時点で5,000万円を超える国外財産を持っている人は、税務署に国外財産調書を提出して申告する必要があります。

国外財産調書制度の概要については下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産がある人は申告が必要 | 国外財産調書制度-1

国外財産調書を提出しない場合の罰則などについては下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産の申告にかかる罰則 | 国外財産調書制度-2

どのような有価証券や預貯金が国外財産に該当するのかについては下記ページを参照ください。
どのような有価証券や預貯金が国外財産になるのか | 国外財産調書制度-3

 

今回は、国外財産調書に記載する国外財産の価格について説明します。

 

 

国外財産調書に記載する国外財産の価格

国外財産調書に記載する国外財産の価額は、
その年の12月31日時点の「時価」または、
その年の12月31日時点の「見積価額」になります。

 

 

国外財産の時価とは

国外財産の「時価」とは、その年の12月31日時点の、不特定多数の当事者の間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額のことをいいます。

 

例えば、
上場している株式であれば、金融商品取引所が公表する、その年の12月31日における最終価格になります。
土地や建物などの不動産であれば、専門家による鑑定評価額になります。

 

 

国外財産の見積価格とは

国外財産の種類によっては、その年の12月31日時点の「時価」を算定することが難しい国外財産もあります。

例えば、海外にある土地について、毎年専門家の鑑定評価を入手するのは非常に手間と費用がかかります。

そこで、国外財産調書を提出する方の負担を減らすために、「時価」ではなく「見積価格」によって国外財産の価格を記載することも認められています。

 

「見積価格」とは、国外財産の種類によって、下記の方法で算定した価格になります。

  1. 事業所得の起因となる棚卸資産は、その年の12月31日の「棚卸資産の評価額」
  2. 事業所得・不動産所得・雑所得・山林所得にかかる減価償却資産は、その年の12月31日の「減価償却後の価格」
  3. 上記以外の国外財産は、その年の12月31日の「合理的な方法で算定した価格」

 

 

見積価格の合理的な算定方法とは

上記3の「合理的な方法で算定した価格」には、例えば下記のような算定方法があります。

種類 見積価額の合理的な算定方法の例
預貯金 その年の12月31日の預入額
土地 外国(外国の地方公共団体含む)で固定資産税に相当する税金が課される場合には、その年の12月31日が含まれる年中に課された当該税金の計算の基になった課税標準額
取得価額に合理的な価格変動率を乗じて、その年の12月31日における見積価額を算定。合理的な価格変動率とは、その国の統計機関が公表する不動産に関する統計指標等を参考にして求める。なお、統計機関は、様々な統計指標をインターネット上に公開しており、日本の総務省統計局のホームページ上に、外国政府の統計機関として、様々な国の統計機関のホームページへのリンクが掲載されているので参考にする。(http://www.stat.go.jp/info/link/5.htm
その年の翌年1月1日から国外財産調書の提出期限である3月15日までにその財産を譲渡した場合は、その譲渡価額
建物 外国(外国の地方公共団体含む)で固定資産税に相当する税金が課される場合には、その年の12月31日が含まれる年中に課された当該税金の計算の基になった課税標準額
取得価額に合理的な価格変動率を乗じて、その年の12月31日における見積価額を算定
その年の翌年1月1日から国外財産調書の提出期限である3月15日までにその財産を譲渡した場合は、その譲渡価額
業務用の資産以外の建物は、取得価額からその年の12月31日までの償却費を控除した金額

 

 

おわりに

上場有価証券など「時価」を容易に把握することができる国外財産はいいのですが、不動産など時価の算定が困難で「見積価格」によって価格を把握する国外財産の場合は手間がかかります。国外財産調書の期限直前になって慌てないように余裕を持って関係書類を準備してくださいね。

 

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最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

どのような有価証券や預貯金が国外財産になるのか | 国外財産調書制度-3

はじめに

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非永住者以外の居住者で、その年の12月31日時点で5,000万円を超える国外財産を持っている人は、税務署に国外財産調書を提出して申告する必要があります。

国外財産調書制度の概要については下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産がある人は申告が必要 | 国外財産調書制度-1
国外財産調書を提出しない場合の罰則などについては下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産の申告にかかる罰則 | 国外財産調書制度-2

 

今回は、この国外財産調書についてどのような有価証券や預貯金が国外財産調書に記載する対象になるのかについて説明します。

 

国外財産調書の対象になる有価証券

有価証券等(社債や株式など)が国外財産調書の対象になるかどうかは、
金融商品取引業者等(銀行や証券会社、保険会社など)の口座にある有価証券等については、
その口座が開設された金融商品取引業者等の営業所等がある場所がどこかによって判定されます。

 

有価証券等の判定を整理すると下表のようになります。

国内有価証券等 外国有価証券等
国内金融機関の口座で管理 国外財産調書の対象外 国外財産調書の対象外
国外金融機関の口座で管理 国外財産調書の対象 国外財産調書の対象
上記以外で管理 国外財産調書の対象外 国外財産調書の対象

 

 

「国内有価証券等」とは、本社(本店又は主たる事務所)が日本国内にある法人が発行する有価証券をいいます。
「外国有価証券等」とは、本社(本店又は主たる事務所)が日本国外にある法人が発行する有価証券をいいます。
「国内金融機関の口座」とは、国内にある金融商品取引業者等の営業所等に開設した口座をいいます。
「国外金融機関の口座」とは、国外にある金融商品取引業者等の営業所等に開設した口座をいいます。
「上記以外で管理」とは、例えば金融機関でない者に預けたり、家のタンスの中で管理しているようなものが該当します。

 

国内有価証券等であっても、国外金融機関の口座で管理しているものは、国外財産調書の対象になる国外財産に該当するので注意してください。

逆に、外国有価証券等であっても、国内金融機関の口座で管理しているものは、国外財産調書の対象になる国外財産には該当しません。

 

金融機関の口座にある有価証券等が国外財産に該当するかどうかは、「何を持っているか」ではなく「どこで持っているか(管理しているか)」で判定することになります。

 

 

国外財産調書の対象になる預貯金

預貯金が国外財産調書の対象になるかどうかは、
その預貯金を預け入れている金融機関の営業所や事業所がある場所がどこかによって判定されます。
円建ての預貯金、外貨建ての預貯金かどうかでは判定されません。

 

例えば、
外国の銀行の日本国内にある支店に開設した口座に預け入れている外貨預金は、国外財産調書の対象にはなりません。
日本の銀行の海外にある支店に開設した口座に預け入れている円建て預金は、国外財産調書の対象になります。

 

金融機関の口座に預け入れている預貯金が国外財産に該当するかどうかは、「円建て、外貨建て」ではなく、「どこに預け入れいているか」で判定することになります。

 

 

おわりに

有価証券等や預貯金の国外財産の判定は少しややこしいですよね。繰り返しになりますが、「何を持っているか」ではなく、「どこで持っているか」で判定して下さい。

 

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5,000万円超の海外資産の申告にかかる罰則 | 国外財産調書制度-2

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金や節税について解説します。

 

非永住者以外の居住者で、その年の12月31日時点で5,000万円を超える国外財産を持っている人は、税務署に国外財産調書を提出して申告する必要があります。

国外財産調書制度の概要については下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産がある人は申告が必要 | 国外財産調書制度-1

 

今回は、この国外財産調書を提出しない場合などに受ける5,000万円超の海外資産の申告にかかる罰則について説明します。

 

 

国外財産調書を期限内に提出した場合のメリット

国外財産調書を期限内に提出した場合は、次のようなメリット・インセンティブがあります。

 

国外財産調書を期限内に提出した場合は、
国外財産調書に記載されている国外財産についての所得税・復興特別所得税・相続税の申告漏れがあったときであっても、
その国外財産についての申告漏れにかかる部分の過少申告加算税・無申告加算税が5%減額されます。

 

過少申告加算税や無申告加算税について下記ページを参照ください。
附帯税-過少申告、無申告、延滞などのペナルティ・罰金

 

 

国外財産調書を期限内に提出しなかった場合のデメリット

国外財産調書を期限内に提出しなかった場合は、次のようなデメリット・ペナルティがあります。

 

国外財産調書を期限内に提出しなかった場合は、
その国外財産についての所得税・復興特別所得税の申告漏れがあったときは、その国外財産についての申告漏れにかかる部分の過少申告加算税・無申告加算税が5%加重されます。
( 相続税及びお亡くなりになった方の所得税・復興特別所得税については、過少申告加算税・無申告加算税の5%加重はありません。)

 

 

過少申告加算税や無申告加算税について下記ページを参照ください。
附帯税-過少申告、無申告、延滞などのペナルティ・罰金

 

 

期限内に提出した国外財産調書の記載が不十分の場合のデメリット

国外財産調書を期限内に提出した場合であっても、
提出された国外財産調書に記載しなければならない国外財産の記載がない場合や、
重要な事項の記載が不十分と認められる場合については、
上記の国外財産調書を期限内に提出しなかった場合と同様のデメリット・ペナルティがあります。

 

 

期限後に提出した国外財産調書の取り扱い

提出期限を過ぎた後に国外財産調書を提出した場合であっても、
その国外財産についての所得税・復興特別所得税・相続税について、
税務調査が入ることによって更正や決定があることを予想して提出されたものでないときは、
その提出期限を過ぎた後に提出された国外財産調書は提出期限内に提出したものとみなされます。

 

したがって、提出期限を過ぎた後に国外財産調書を提出した場合であっても、国外財産についての所得税・復興特別所得税・相続税にかかる申告漏れがあったときにおける過少申告加算税・無申告加算税の5%減額の優遇措置の適用を受けることができる場合があります。

 

税務調査が入るという連絡を受けてから慌てて国外財産調書を提出してもダメですが、税務調査が入ることを予想していない状態であるならば、提出期限が過ぎていても国外財産調書を提出すれば税金ペナルティが軽減される優遇措置を受けられる可能性があります。
うっかり提出を忘れていた人は、たとえ提出期限を過ぎていたとしても国外財産調書を提出してくださいね。

 

 

国外財産調書にかかる罰則

国外財産調書を提出しなかったり、国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合は、税金のペナルティだけでなく下記のような罰則もあります。

 

国外財産調書を提出しなかった場合の罰則

正当な理由がなく3月15日の提出期限内に国外財産調書を提出しなかった場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされています。

この罰則については、平成27年1月1日以後に提出すべき国外財産調書にかかる違反行為について適用されます。

ただし、情状により処罰する必要がないと認められるときには、刑を免除することができるとされています。

 

国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合の罰則

国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされています。

この罰則については、平成27年1月1日以後に提出すべき国外財産調書にかかる違反行為について適用されます。

なお、国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合は、国外財産調書を提出しなかった場合のような情状による刑の免除はありません。

 

 

おわりに

国外財産調書を提出しない場合のデメリットは大きいです。国外財産調書の提出は面倒ですがメリットもありますので、該当する方は忘れずに税務署に提出して申告してくださいね。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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今回は、5,000万円を超える海外資産がある人が税務署に申告する必要がある国外財産調書制度について説明します。

 

国外財産調書を提出しない場合の罰則などについては下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産の申告にかかる罰則 | 国外財産調書制度-2

どのような有価証券や預貯金が国外財産に該当するのかについては下記ページを参照ください。
どのような有価証券や預貯金が国外財産になるのか | 国外財産調書制度-3

国外財産調書に記載する国外財産の金額については下記ページを参照ください。
国外財産調書に記載する財産の価格 | 国外財産調書制度-4

 

 

なぜ国外財産を申告しなければならなのか

なぜ国外財産を申告しなければならないのかというと、所得税や相続税などを適正に課して、その税金をしっかりと徴収するためです。

昔に比べて国外財産の保有が年々増加しており、それら国外財産についての課税の適正化をすすめるために、一定の国外財産を持つ人にその内容を申告してもらうという国外財産調書制度が平成24年の税制改正で導入されました。

 

 

国外財産調書を提出する必要がある人

税務署に国外財産調書を提出する必要がある人は、
非永住者以外の居住者で、
その年の12月31日時点で5,000万円を超える国外財産を持っている人です。

 

なお、所得税の確定申告をしているかどうかは関係ありません。所得税の確定申告をしている人でも、していない人でも、上記に該当する人は国外財産調書を提出することになります。

 

居住者とは、その年の12月31日時点において、日本国内に住所がある人(または現在まで引き続き1年以上居所がある人)をいいます。

 

非永住者とは、上記の居住者のうち、日本国籍を持っていない人で、かつ過去10年以内に日本国内に住所(または居所)があった期間の合計が5年以下の人をいいます。

 

国外財産とは、国外にある財産のことをいいます。「国外にある」かどうかの判定は財産の種類ごとに行います。

  • 不動産なら、その不動産が所在する場所で判定します。
  • 預金なら、その預金の受け入れをした営業所などが所在する場所で判定します。
  • 株式なら、その株式の管理口座が開設された金融機関の営業所などが所在する場所で判定します。

 

 

国外財産調書の提出

国外財産調書を提出する税務署は、

  • 所得税の確定申告をする必要がある人は、その納税地を所轄する税務署
  • 所得税の確定申告をする必要がない人は、住所地を所轄する税務署

になります。

 

国外財産調書の提出期限は、その年の翌年の3月15日です。

 

 

国外財産の価格

国外財産調書を提出する必要がある人は、5,000万円を超える国外財産を持っている人になりますが、その国外財産の価格は次のように判定します。

  • その年の12月31日における時価または時価に準ずるものとして見積価格によります。
  • 国外資産の日本円への換算は、その年の12月31日の外国為替の売買相場になります。

 

 

国外財産調書に記載する事項

国外財産調書に記載する主な事項は

  • 国外財産調書を提出する人の氏名と住所、
  • 国外財産の種類、数量、価格、所在(国外財産は種類別、用途別、所在別に記載します)

などになります。

 

 

おわりに

5,000万円を超える海外資産をお持ちの方は、忘れずに国外財産調書を提出してくださいね。金額の記載などややこしいところも多いので、国外財産調書を提出する必要がある方は税理士に相談することをおすすめします。

 

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