はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
港区や渋谷、新宿など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が会計や税金、節税について解説します。
今回は、会計参与の計算関係書類作成に当たっての行動指針(個別事項-資産)について説明したいと思います。
会計参与
会計参与は、主として中小企業の計算関係書類の記載の正確さに対する信頼を高めるために、会計に関する専門家である公認会計士または税理士が、取締役と共同して計算関係書類を作成して、その計算関係書類を会社とは別に備置き、開示する職務等を担うものです。
会計参与の資格 | 会計参与-1
会計参与の職務 | 会計参与-2
会計参与の権限 | 会計参与-3
会計参与の責任 | 会計参与-4
会計参与の就任に当たっての行動指針 | 会計参与-5
会計参与の計算関係書類作成に当たっての行動指針(一般事項) | 会計参与-6
会計参与の計算関係書類作成に当たっての行動指針(個別事項-資産) | 会計参与-7
会計参与の計算関係書類作成に当たっての行動指針(個別事項-負債) | 会計参与-8
会計参与の計算関係書類作成に当たっての行動指針(個別事項-資産負債以外) | 会計参与-9
会計参与報告作成に当たっての行動指針 | 会計参与-10
備置き、開示に当たっての行動指針 | 会計参与-11
会計参与報告の記載例 | 会計参与-12
計算関係書類作成に当たっての行動指針(個別事項-資産)
会計参与は、取締役と共同して計算関係書類を作成しますが、その計算関係書類作成に際して会計参与が留意する個別事項は下記になります。
計算関係書類の勘定科目の残高が、総勘定元帳残高と一致することを取締役等に質問し、または総勘定元帳等を閲覧して確かめます。
資産については、重要な資産が実在しているか、回収可能性があるかなどを取締役等に質問して、期末残高の評価手続の妥当性を確かめます。
現金および預金
- 現金および預金の管理方法を取締役等に質問して、その妥当性を確かめます。
- 現金については、現金出納帳を閲覧して、現金出納帳残高と総勘定元帳残高および計算関係書類の勘定科目残高との整合性を確かめます。
- 預金については、取締役等が入手した銀行等の残高証明等と総勘定元帳残高および計算関係書類の勘定科目残高との整合性を確かめます。
金銭債権
- 売掛金などの金銭債権については、補助簿残高と総勘定元帳残高が一致していることを確かめます。
- また各債権先への債権残高の確認の状況について質問して、取締役等が実施している手続の結果が総勘定元帳残高に反映されており、計算関係書類の勘定科目残高と整合性を有していることを確かめます。
貸倒引当金
- 取立不能見込額の算定方法(引当金の計上基準を含む)について取締役等に質問します。
- 作成された資料を閲覧して、記載内容に異常性がないことを確かめて、その計算結果と関連する総勘定元帳残高および計算関係書類の勘定科目残高との整合性を確かめます。
有価証券
- 保有目的別の管理方法について取締役等に質問して、作成された資料を閲覧して、記載内容に異常性がないことを確かめます。
- 重要な場合には取締役等が入手した証券会社等からの資料を参考に残高を確かめます。
- 有価証券の減損や評価方法について、取締役等に質問して、その認識方法、計算方法、処理方法などの妥当性を確かめて、計算の基礎資料があれば閲覧して、記載内容に異常性がないことを確かめて、その計算結果と関連する総勘定元帳残高および計算関係書類の勘定科目残高との整合性を確かめます。
棚卸資産
- 棚卸資産の内容、管理方法、棚卸手続について取締役等に質問して、取締役等の実施する棚卸手続の妥当性を確かめます。
- 実施された棚卸結果と入手可能な棚卸資産の時価情報が棚卸残高に反映されているか取締役等に質問して確かめます。
- 取締役等に滞留品の有無およびその売却可能性などを質問して、その結果が棚卸残高に反映されているかを確かめます。
- 上記棚卸残高と関連する総勘定元帳残高および計算関係書類の勘定科目残高との整合性を確かめます。
経過勘定
- 継続的な役務提供契約の会計処理方針について取締役等に質問して、その妥当性について確かめます。
- 重要な経過勘定の発生が想定される場合には、内訳表等基礎資料を閲覧して記載内容に異常性がないことを確かめて、会計方針との整合性、関連する総勘定元帳残高および計算関係書類の勘定科目残高との整合性を確かめます。
固定資産
- 会社の保有する固定資産の内容・管理方法について取締役等に質問して、その妥当性を確かめます。
- 会社の採用する減価償却方法について取締役等に質問して、その妥当性を確かめます。
- 減価償却計算に関する基礎資料を閲覧して、償却が継続して規則的に実施されていることを確かめます。
- 会計参与制度導入初年度において償却不足がある場合には、過年度償却が行われており固定資産の総勘定元帳残高に反映されていることを確かめます。
- 固定資産の稼働状況の変化について取締役等に質問して、休止固定資産の有無、減損の兆候の有無および減損の必要性について必要であれば協議します。
- 適正な減価償却計算、必要な減損処理の実施後の金額と関連する総勘定元帳残高および計算関係書類の勘定科目残高との整合性を確かめます。
繰延資産
- 会社が計上している繰延資産の内容、管理方法について取締役等に質問して、関連資料を閲覧し、その残高と関連する総勘定元帳残高および計算関係書類の勘定科目残高との整合性を確かめます。
繰延税金資産・繰延税金負債
- 一時差異について取締役等に質問して、税効果の認識の必要性を確かめます。
- 繰延税金資産に該当する税効果が存在する場合には、その回収可能性の判断基準を質問して、その妥当性を確かめます。
- 繰延税金資産、繰延税金負債に関する基礎資料を閲覧して、記載内容に異常性がないことを確かめて、その計算結果と関連する総勘定元帳残高および計算関係書類の勘定科目残高との整合性について確かめます。
おわりに
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。