カテゴリー: IT企業

ソフトウェアの減価償却費 | IT企業に強い税理士が解説

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

ITやインターネット、ソフトウェア関連企業に強い公認会計士・税理士が、業界に特有な会計処理や経理、税金について解説します。

今回は、ソフトウェアの開発などを行っている会社に欠かせない、ソフトウェアの減価償却費、減価償却の方法について説明したいと思います。

 

 

ソフトウェアの減価償却費

会計上のソフトウェアとは、コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラムなどのことをいいます。プログラムの他にも、システム仕様書やフローチャートなどの関連する文章も会計上のソフトウェアに含まれます。

ソフトウェアは、その目的に応じて次の3つに分けて会計処理されます。

  • 受注制作のソフトウェア
  • 市場販売目的のソフトウェア
  • 自社利用のソフトウェア

 

このうち、

  • 市場販売目的のソフトウェア
  • 自社利用のソフトウェア

については、無形固定資産として計上される場合があります。無形固定資産として計上されたソフトウェアは減価償却費となって少しずつ費用化されます。

IT企業に強い東京都港区の税理士法人インテグリティが作成したソフトウェアの減価償却

 

なお、受注制作のソフトウェアについても資産計上される場合がありますが、それは無形固定資産ではなく棚卸資産になります。棚卸資産は、顧客への引渡しなどによって原価に振り替えられることで費用化されるので、減価償却は必要ありません。

 

 

市場販売目的のソフトウェアの減価償却費

会計上の市場販売目的のソフトウェアの減価償却費は、下の2つの方法で計算された減価償却費のうち大きい方の金額になります。

  • 原則3年以内の見込販売数量(または見込販売収益)に基づく方法
  • 原則3年以内の残存有効期間に基づく均等配分の方法

税務上の市場販売目的のソフトウェアの減価償却費は、耐用年数3年の定額法になります。

 

 

自社利用のソフトウェアの減価償却費

会計上の自社利用のソフトウェアの減価償却費は、見込利用期間による定額法によって計算します。見込利用期間については一般的に5年を使いますが、毎年見直す必要があります。

税務上の自社利用のソフトウェアの減価償却費は、耐用年数5年の定額法になります。ただし、研究開発用のソフトウェアについては耐用年数3年の定額法になります。

 

 

会計上と税務上のソフトウェアの減価償却費のまとめ

下表は会計上と税務上のソフトウェアの減価償却費についてまとめたものです。

ソフトウェアの減価償却費の計算方法
ソフトウエアの目的 会計上 税務上
市場販売目的 見込販売数量(収益)に基づく方法 耐用年数3年の定額法
自社利用 5年以内の定額法 耐用年数5年の定額法
作成 : IT企業に強い東京都港区の税理士法人インテグリティ

 

 

ソフトウェアにかかる会計・経理処理

ソフトウェアにかかる会計・経理処理につきましては、下記ページも参照ください。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で、ITやソフトウェア関連で起業した方、または起業をお考えの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ITやビジネス、ファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの事業の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

ソフトウェアと研究開発費の違い | IT企業に強い税理士が解説

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

ITやインターネット、ソフトウェア関連企業に強い公認会計士・税理士が、業界に特有な会計処理や経理、税金について解説します。

今回は、ソフトウェアの開発などを行っている会社に欠かせない、ソフトウェアと研究開発費の違いについて説明したいと思います。

 

 

会計上の研究開発のためのソフトウェアの位置づけ

会計上の研究開発のソフトウェアの位置づけは、下表のようになります。

IT企業に強い東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した研究開発のためのソフトウェア

 

このように会計上のソフトウェアは、研究開発のためのソフトウェアと研究開発以外のソフトウェアの2つに大きく分けられます。

 

 

ソフトウェアとは

会計上のソフトウェアとは、コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラムなどのことをいいます。プログラムの他にも、システム仕様書やフローチャートなどの関連する文章も会計上のソフトウェアに含まれます。

ソフトウェアは、その目的に応じて次の3つに分けて会計処理されます。

  • 受注制作のソフトウェア
  • 市場販売目的のソフトウェア
  • 自社利用のソフトウェア

 

 

研究開発費とは

会計上、試験研究費は発生時に費用として計上します。

 

研究とは、
新しい知識の発見を目的として計画的に行う調査・探究活動のことをいいます。

 

開発とは、
新しい製品・サービス・生産方法(製品等)などについての計画や設計、
既存の製品等を著しく改良するための計画や設計として、
研究の成果を具体化することをいいます。

 

研究・開発を行っている段階では、将来の収益獲得や将来の費用削減につながるかどうかは不明であるといえます。また研究・開発のステージが進んで、将来の収益獲得や将来の費用削減の可能性が高くなってきた場合であっても、まだその効果が確実とはいえません。
効果が確実といえないもの(資産とはいえないもの)を貸借対照表の資産として計上することはできません。
そのため会計上は、研究開発にかかった費用(研究開発費)は、そのすべてを発生した会計年度に費用として計上することになります。

 

特定の研究開発の目的にだけ使用されて、他の目的には使用できない機械装置や設備、特許権などを取得した場合も研究開発費として計上します。つまり、機械装置などを購入した場合であっても、固定資産として計上するのではなく、購入したときに全額を費用として計上することになります。

 

 

研究開発のためのソフトウェア

研究開発のためのソフトウェアを制作する費用は、研究開発費になるので発生時に費用として計上します。

 

市場販売目的のソフトウェアについて、
最初に製品化された製品マスターの完成までに発生した費用と
製品マスターや購入したソフトウェアに著しい改良をするために発生した費用は、
研究開発費になるので発生時に費用として計上します。
詳細は、「市場販売目的のソフトウェアの会計・経理処理 | IT企業に強い税理士が解説」を参照ください。

 

 

税務上の試験研究費

細かい話で恐縮ですが税務上は研究開発費ではなく試験研究費という言葉を使います。

税務上、試験研究費は原則として製造原価として計上することになります。製造原価として計上するということは、製品として売れるまでは棚卸資産として計上しなければならないことを意味します。

会計上は、研究開発費のすべてが発生時に費用として計上されるのに対して、
税務上は、試験研究費は製品として売れるまで棚卸資産(資産)として計上されることになります。

 

特定の研究開発の目的にだけ使用されて、他の目的には使用できない機械装置や設備、特許権などを取得した場合も、
会計上のように全額を即時費用として計上するのではなく、
特別扱いはせずに通常の資産を買った場合と同様に固定資産として計上して、減価償却手続きによって徐々に費用化されます。

 

会計上は、将来の効果が分からないものは、なるべく資産として計上したくない、
税務上は、将来の効果が分からないものは、なるべく費用として計上したくない、
という立場の違いがあります。

 

税務上もそれでは厳しすぎるということで、試験研究費のうち、次の費用は製造原価に含めなくてもいいとされています。

  • 基礎研究
  • 応用研究
  • 工業化研究に該当することが明らかでないもの

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で、ITやソフトウェア関連で起業した方、または起業をお考えの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ITやビジネス、ファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの事業の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

自社利用のソフトウェアの会計・経理処理 | IT企業に強い税理士が解説

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

ITやインターネット、ソフトウェア関連企業に強い公認会計士・税理士が、業界に特有な会計処理や経理、税金について解説します。

今回は、ソフトウェアの開発などを行っている会社に欠かせない、自社利用のソフトウェアの会計・経理処理について説明したいと思います。

 

 

会計上の自社利用のソフトウェアの位置づけ

会計上の自社利用のソフトウェアの位置づけは、下表のようになります。

IT企業に強い東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した自社利用のソフトウェア
研究開発目的以外のソフトウェアのうち、顧客に提供するのではなく、自社で利用するためのソフトウェアになります。

 

 

自社利用のソフトウェアの会計・経理処理

自社利用のソフトウェアは、そのソフトウェアの利用することによって、将来の収益獲得または将来の費用削減が確実であることが認められるかどうかによって、会計・経理処理の方法が区別されます。

  • 将来の収益獲得または将来の費用削減が確実であることが認められる場合は、無形固定資産のソフトウェアとして資産計上します。
  • 将来の収益獲得または将来の費用削減が確実であることが認められない場合や、確実であるかどうか不明な場合は、費用として計上します。

 

 

将来の収益獲得または将来の費用削減が確実であることが認められる場合

将来の収益獲得または将来の費用削減が確実であることが認められる場合の例です。

通信ソフトウェアや第三者への業務処理サービスの提供に用いるソフトウェアなどを利用して、会社(ソフトウェアを利用した情報処理サービスの提供者)が、契約に基づいて情報等の提供を行い、情報等の提供を受けた受益者からその料金を会社に支払ってもらう場合

自社で利用するためにソフトウェアを制作して、当初より予定していた使途に継続して利用することによって、このソフトウェアを利用する前と比較して会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的効果的に遂行することができると明確に認められる場合
具体的には

  • このソフトウェアを利用することによって利用する前に比べて、間接部門の人員を削減することができ、人件費を削減する効果が確実に見込まれる場合
  • 複数の業務を統合するシステムを導入することで入力業務等の効率化が図れる場合
  • 従来なかったデータベース・ネットワークを構築することによって、今後の業務を効率的効果的に行える場合
  • などが考えられ、ソフトウェアを制作する決定をした段階からソフトウェア制作の意図・効果が明確になっている場合

市場で販売しているソフトウェアを購入して、その購入したソフトウェアを予定した使途に継続して利用することで、会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると認められる場合

 

 

自社利用のソフトウェアの資産計上の開始時点と終了時点

自社利用のソフトウェアの資産計上の開始時点は、将来の収益獲得や将来の費用削減が確実であると認められる状況になった時点になります。その開始時点を証明するために、ソフトウェア制作が承認された稟議書やソフトウェア制作費を集計するための管理台帳などを証拠として保管します。

自社利用のソフトウェアの資産計上の終了時点は、ソフトウェアが完了した時点になります。その終了時点を証明するために、ソフトウェア完了報告書、最終テスト報告書などを証拠として保管します。

 

 

自社利用のソフトウェアの法人税法上の処理

自社利用のソフトウェアについて法人税法上は、将来の収益獲得または将来の費用削減が確実であることが認められる場合や確実であるかどうか不明な場合は、無形固定資産のソフトウェアとして資産計上します。

将来の収益獲得または将来の費用削減が認められないことが明らかな場合のみ、費用として計上することになります。

 

 

会計上の処理と法人税法上の処理の違い

会計上の処理と法人税法上の処理の違いは、簡単にいうと下記のようになります。

  • 会計上は、将来の効果が確実にある場合だけ資産計上、それ以外は費用計上
  • 法人税法上は、将来の効果がないことが明らかな場合だけ費用計上、それ以外は資産計上

会計上はなるべく資産計上させたくない、法人税法上はなるべく費用計上させたくないというスタンスになっています。

 

 

自社利用のソフトウェアのまとめ

自社利用のソフトウェアの会計・経理処理、法人税法上の処理をまとめると下記のようになります。

自社利用のソフトウェアの処理方法
将来の収益獲得or費用削減 会計上 法人税法上
確実に見込める 資産 資産
確実とは言えない 費用 資産
分からない 費用 資産
確実に見込めない 費用 費用
作成 : IT企業に強い東京都港区の税理士法人インテグリティ

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で、ITやソフトウェア関連で起業した方、または起業をお考えの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ITやビジネス、ファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの事業の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

市場販売目的のソフトウェアの会計・経理処理 | IT企業に強い税理士が解説

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

ITやインターネット、ソフトウェア関連企業に強い公認会計士・税理士が、業界に特有な会計処理や経理、税金について解説します。

今回は、ソフトウェアの開発などを行っている会社に欠かせない、市場販売目的のソフトウェアの会計・経理処理について説明したいと思います。

 

 

 

会計上の市場販売目的のソフトウェアの位置づけ

会計上の市場販売目的のソフトウェアの位置づけは、下表のようになります。

IT企業に強い東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した市場販売目的のソフトウェア
研究開発目的以外のソフトウェアのうち、顧客に提供する目的のソフトウェアで不特定多数の顧客に広く販売するソフトウェアになります。

 

 

市場販売目的のソフトウェアの会計・経理処理

不特定多数の顧客に広く販売することが予定される市場販売目的のソフトウェアは、製造業における製品開発とその量産品の製造と大きく変わりません。しかし、その対象がカタチあるモノではなく目に見えないソフトウェアであることから会計上は特別な処理が必要になります。

市場販売目的のソフトウェアについて、会計上はその制作費を2つの工程に分けて次のように処理します。

  • 「最初に製品化された製品マスター」の完成時点までのソフトウェアの制作費は、研究開発費として、発生した会計年度において費用として計上します。
  • 「最初に製品化された製品マスター」の完成後のソフトウェアの制作費は、その内容によって、無形固定資産のソフトウェア、研究開発費、発生時の費用、売上原価、棚卸資産として計上されます。

IT企業に強い東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した市場販売目的のソフトウェアの区分

 

 

「最初に製品化された製品マスター」の完成時点までの制作費

市場販売目的のソフトウェアについて、「最初に製品化された製品マスター」の完成時点までの制作費は、研究開発費として発生した会計年度において費用として計上します。

「最初に製品化された製品マスター」の完成時点とは、次の2つの要件が満たされた場合をいいます。

  • 製品番号をつける、カタログやホームページに載せるなどの方法で、市場で販売する意思を明確に確認することができるようになった時点
  • 機能評価版(β版)に重要なバグ取りや一部機能変更などが終了して、製品が市場で受け入れられるかどうか、他社の製品と比較して競争力があるかなどの検討を行うことができる程度のプロトタイプが完成した時点

 

 

「最初に製品化された製品マスター」の完成後の制作費

「最初に製品化された製品マスター」の完成後のソフトウェアの制作費は、その内容によって売上原価、棚卸資産、無形固定資産のソフトウェア、研究開発費、発生時の費用として計上されます。

 

製品としてのソフトウェアの制作原価

下記のような製品としてのソフトウェアの制作原価は、ソフトウェアの製造原価になります。そのため無形固定資産のソフトウェアではなく、販売した際に売上原価として計上して、在庫については棚卸資産として計上します。

  • ソフトウェアを保存する媒体の費用
    製品マスターの複写に必要なコンピュータ利用などの費用
    製品利用マニュアルや使用説明書などを制作のための費用
    複写した製品マスターを販売用とするための製品表示や包装のための費用
    最初に製品化された製品マスターの完成以降の制作に携わった従業員の人件費

 

製品マスターの機能の改良や強化するための費用

ソフトウェアの操作性の向上など、製品マスターの機能の改良や強化のための費用は、製品マスターの取得原価になるので、無形固定資産のソフトウェアとして計上します。その後減価償却費として徐々に費用化されます。
なお、著しい改良や強化は研究開発費になります。

 

製品マスターの機能の著しい改良や強化のための制作費

いままでの製品マスターとは別の新しいマスターの制作のためのコストとみなされるような著しい改良や強化のための制作費は、研究開発活動とみなされるため、無形固定資産のソフトウェアとして計上するのではなく、研究開発費として費用計上します。

 

ソフトウェアの機能維持のための費用

バグ取りやウィルス防止など、修繕や維持保全のための費用は、無形固定資産のソフトウェアとして計上するのではなく、発生時の費用として計上します。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で、ITやソフトウェア関連で起業した方、または起業をお考えの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ITやビジネス、ファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの事業の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

受注制作のソフトウェアの会計・経理処理 | IT企業に強い税理士が解説

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

ITやインターネット、ソフトウェア関連企業に強い公認会計士・税理士が、業界に特有な会計処理や経理、税金について解説します。

今回は、ソフトウェアの開発などを行っている会社に欠かせない、受注制作のソフトウェアの会計・経理処理について説明したいと思います。

ソフトウェアにかかる会計・経理処理の概要につきましては、
ソフトウェアの会計・経理処理の概要 | IT企業に強い税理士が解説
を参照ください。

 

 

会計上の受注制作のソフトウェアの位置づけ

会計上の受注制作のソフトウェアの位置づけは、下表のようになります。

IT企業に強い東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した受注制作のソフトウェア
研究開発目的以外のソフトウェアのうち、顧客に提供する目的のソフトウェアで受注制作するソフトウェアが該当します。

 

 

受注制作のソフトウェアの会計・経理処理

特定の顧客ごとに開発する受注制作のソフトウェアは、建設業における請負工事と似た性質もっていることから、工事契約会計基準を適用して会計・経理処理を行うことになります。
この受注制作のソフトウェアの会計・経理処理は、「工事進行基準」と「工事完成基準」の2つの方法があります。

  • 工事進行基準とは、ソフトウェアの開発途中段階であっても、開発の進捗(進み具合)に応じて、分割して売上と原価を計上する方法をいいます。
  • 工事完成基準とは、ソフトウェアが完成して顧客に引き渡した時点で、まとめて売上と原価を計上する方法をいいます。

 

 

工事進行基準と工事完成基準のどちらを使うのか

工事進行基準と工事完成基準のどちらを使うのかというと、会計上の原則は工事進行基準を使います。

しかし工事進行基準を使うためには、契約金額 ( 売上総額 ) 、原価総額、開発の進み具合の3つを正確に見積もることができないといけません。

そのため、公認会計士の会計監査が義務付けられている会社や上場を目指している会社など以外の会社の場合は、法人税法上で工事進行基準を使うことが強制されるプロジェクトを除いて、一般的には工事完成基準を使っているのが現状です。

 

なお法人税法においては、

  • ソフトウェアの開発期間が1年以上
  • 受注(請負)金額が10億円以上

この2つ両方に該当するプロジェクトのみが、工事進行基準の適用が強制されます。
それ以外のプロジェクトについては工事進行基準と工事完成基準の好きな方を選ぶことができます。

 

 

受注制作のソフトウェアの工事進行基準

受注制作のソフトウェアについて、工事進行基準を使って当期の売上を計算する方法は、このようになります。

IT企業に強い東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した進捗度

工事進行基準は、
決算日における進捗度 ( プロジェクトの開発の進み具合 ) を原価比例法 ( 見積もった原価の総額のうち、決算日までに発生している原価 ( 個別原価計算で集計します ) の割合によって開発の進み具合を計算する方法 ) などの方法によって見積って、
この進捗度に契約 ( 請負 ) 金額総額 ( 見積った売上の総額 ) を乗じることによって
当期の売上を計算します。

この計算式から分かるように、契約金額、原価総額、開発の進み具合の3つを正確に見積もることができないと、工事進行基準による売上の計算はできないことになります。

 

 

受注制作のソフトウェアの工事完成基準

受注制作のソフトウェアの工事完成基準は、ソフトウェアの開発が終了して完成したものを顧客に引き渡した時点で、売上と原価をまとめて計上する方法です。

ソフトウェアの開発が完成するまでは、発生した原価を棚卸資産の仕掛品として計上して、完成引き渡しのタイミングで、仕掛品から原価に振り替えることになります。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で、ITやソフトウェア関連で起業した方、または起業をお考えの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ITやビジネス、ファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの事業の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。