カテゴリー: 法人の保険

解約返戻金を受け取った場合 | 法人が加入する保険の経理と税金

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷、新宿など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が、会計や税金節税などについて解説します。

 

今回は、法人契約の保険で解約返戻金を受け取った場合の経理処理と税金について説明したいと思います。

 

 

解約返戻金とは

保険契約によっては、保険契約を保険期間の途中で解約したときに、今まで払い込んだ保険料の一部が戻ってくる場合があります。この払い戻されるお金のことを解約返戻金といいます。

今まで払い込んだ保険料のうち、どれだけのお金が戻ってくるかを表す数値が、解約返戻金の返戻率になります。

解約返戻金の返戻率 = 解約返戻金 ÷ 払い込んだ保険料の総額

解約返戻金の返戻率は、保険の種類や契約内容によって異なりますし、同じ保険契約であっても、解約する時期によって異なってきます。

 

 

解約返戻金の出口戦略

節税などを目的として法人契約の保険に加入する場合は、この解約返戻金をいつ受け取るかが重要なポイントになることがあります。

保険料を払っている期間は節税になったとしても、保険契約を解約して解約返戻金を受け取ったことが、多額の利益となって税金が増えてしまったら元も子もありません。

多額の退職金を支払うタイミングに解約返戻金の受け取り時期を合わせるなどといった出口戦略を、保険を契約する前に念入りに検討する必要があります。

 

 

解約返戻金を受け取った場合

解約返戻金を受け取ったときの会計処理は、次の2つに分けられます。

  • 保険料積立金など資産として計上されている支払い保険料がない場合
  • 保険料積立金など資産として計上されている支払い保険料がない場合

 

 

保険料積立金などがない場合

保険料積立金など資産として計上されている支払い保険料がない場合、すなわち支払った保険料が全て損金(税金計算上の経費)として計上されている場合は、

受け取った解約返戻金は、その全額を雑収入として益金(税金計算上の収益)にします。

この雑収入は消費税の不課税取引になります。会計ソフトに入力する際は消費税区分にご注意ください。

 

保険を解約して解約返戻金2,000万円を受け取った。

借方 貸方
現金預金  20,000,000円 雑収入  20,000,000円

 

 

保険料積立金などがある場合

保険料積立金など資産として計上されている支払い保険料がある場合、すなわち支払った保険料の一部または全部が損金(税金計算上の経費)にならなかった場合は、

資産計上されている保険料を取り崩して、受け取った解約返戻金との差額は、

  • 保険料積立金 < 解約返戻金の場合は、雑収入として益金計上します。
  • 保険料積立金 > 解約返戻金の場合は、雑損失として損金計上します。

 

保険を解約して解約返戻金2,000万円を受け取った。
なお、保険料積立金として1,200万円計上されている。

借方 貸方
現金預金 20,000,000円 保険料積立金 ( 資産 ) 12,000,000円
雑収入 8,000,000円

 

 

おわりに

港区や渋谷、新宿など東京23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や節税だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなたの事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

保険の配当金を受け取った場合 | 法人が加入する保険の経理と税金

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷、新宿など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が、会計や税金節税などについて解説します。

 

今回は、法人契約の保険で保険配当金を受け取った場合の経理処理と税金について説明したいと思います。

 

 

 

保険の配当金とは

保険の契約をすると、保険会社に保険料を支払って、イザという時に保険金を受け取ります。

そして、保険の種類、契約内容によっては、保険会社から保険金の他に配当金というものを受け取る場合があります。

保険会社に支払うもの : 保険料
保険会社から受け取るもの : 保険金、配当金

保険会社に支払う保険料は、予定死亡率、予定利率、予定事業費率という3つの将来の予測をもとに決められます。

この3つの将来の予測は、あくまで予測であるため、実際の結果とは差がでてきます。
将来の予測と実際の結果の差から生じた余剰金が、配当金として保険の契約者に分配されるのです。

 

 

保険の配当金を現金で受け取った場合

保険の配当金を現金で受け取った場合は、雑収入として計上します。

この雑収入は消費税の不課税取引になります。会計ソフトに入力する際は消費税区分にご注意ください。

 

保険配当金1万円を現金で受け取った。

借方 貸方
現金 10,000円 雑収入(営業外収益) 10,000円

 

 

保険の配当金を積立方式で受け取った場合

保険の配当金を現金で受け取らずに、保険会社に積み立てておく方式があります。積み立てた配当金には利息がつき、保険金を受け取るときに、「保険金+配当金+配当金利息」を合わせて受け取ることになります。保険金を受け取る前に引き出すこともできます。

保険の配当金をこの積立方式で受け取った場合も、雑収入として計上しますが、現金で受け取っていないので、代わりに「配当金積立金」という資産の勘定科目を使います。

なお、消費税区分は次のようになります。

  • 配当金に相当する部分は不課税取引
  • 積み立てた配当金についた利息部分に相当する部分は非課税取引

 

保険配当金を新たに1万円積み立てて、すでに積み立ててある配当金に利息1千円がついたとの通知を受けた。

借方 貸方
配当金積立金(資産) 11,000円 雑収入(営業外収益) 10,000円
雑収入(営業外収益) 1,000円

 

 

おわりに

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保険金を受け取った場合 | 法人が加入する保険の経理と税金

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷、新宿など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が、会計や税金節税などについて解説します。

 

今回は、法人契約の保険で保険金(死亡保険金や満期保険金)を受け取った場合の経理処理と税金について説明したいと思います。

 

 

 

法人契約の保険から保険金を受け取った場合

法人契約の保険から保険金を受け取った場合の経理処理は、保険金の受取人が

  • 法人であるのか
  • 被保険者(役員や従業員)の遺族であるのか

によって区分されます。

 

 

保険金の受取人が法人の場合

保険金の受取人が法人の場合の保険金受け取り時の経理処理は、さらに次の2つに区分されます。

  • 会社の資産として、保険料積立金または配当金積立金のどちらか、もしくは両方が計上されている場合
  • 会社の資産として、保険料積立金、配当金積立金のどちらも計上されていない場合

 

 

保険料積立金や配当金積立金がある場合

保険金の受取人が法人で、会社の資産として保険料積立金または配当金積立金のどちらか、もしくは両方が計上されている場合は、資産計上されている保険料積立金、配当金積立金を取り崩して、取り崩した保険料積立金・配当金積立金と、受取った保険金との差額を、雑収入として計上します。この雑収入は益金(税務上の収益)になります。

 

経理処理例
保険会社から保険金として2,000万円を法人が受け取った。この時点で保険料積立金950万円、配当金積立金80万円が会社の資産として計上されていた。

借方 貸方
現金預金 ( 資産 ) 20,000,000円 保険料積立金 ( 資産 ) 9,500,000円
配当金積立金 ( 資産 ) 800,000円
雑収入 (営業外収益 ) 9,700,000円

なお、受取った保険金よりも、取り崩した保険料積立金・配当金積立金の方が大きい場合は、差額を雑損失として計上します。この雑損失は損金(税務上の経費)になります。

 

 

保険料積立金や配当金積立金がない場合

保険金の受取人が法人で、会社の資産として保険料積立金、配当金積立金のどちらも計上されていない場合は、受け取った保険金の全額を雑収入として計上します。この雑収入は益金(税務上の収益)になります。

 

経理処理例
保険会社から保険金として1,000万円を法人が受け取った。なお会社の資産として計上されている保険料積立金、配当金積立金はない。

借方 貸方
現金預金 ( 資産 ) 10,000,000円 雑収入 (営業外収益 ) 10,000,000円

 

 

保険金の受取人が被保険者の遺族の場合

保険金の受取人が被保険者(役員や従業員)の遺族の場合の保険金受け取り時の経理処理も、次の2つに区分されます。

  • 会社の資産として、保険料積立金または配当金積立金のどちらか、もしくは両方が計上されている場合
  • 会社の資産として、保険料積立金、配当金積立金のどちらも計上されていない場合

 

 

保険料積立金や配当金積立金がある場合

保険金の受取人が被保険者の遺族で、会社の資産として保険料積立金または配当金積立金のどちらか、もしくは両方が計上されている場合は、資産計上されている保険料積立金、配当金積立金を取り崩して、取り崩した全額を雑損失に振り替えます。この雑損失は損金(税務上の経費)になります。

 

経理処理例
保険会社から保険金として2,000万円を被保険者の遺族が受け取った。この時点で保険料積立金950万円、配当金積立金80万円が会社の資産として計上されていた。

借方 貸方
雑損失 ( 営業外費用 ) 10,300,000円 保険料積立金 ( 資産 ) 9,500,000円
配当金積立金 ( 資産 ) 800,000円

 

 

保険料積立金や配当金積立金がない場合

保険金の受取人が被保険者の遺族で、会社の資産として保険料積立金、配当金積立金のどちらも計上されていない場合は、会社が行う経理処理はありません。

 

経理処理例
保険会社から保険金として1,000万円を被保険者の遺族が受け取った。なお会社の資産として計上されている保険料積立金、配当金積立金はない。

借方 貸方
仕訳なし 仕訳なし

 

 

おわりに

港区や渋谷、新宿など東京23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や節税だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなたの事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

逓増定期保険 | 法人が加入する保険の経理と税金

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷、新宿など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が、会計や税金節税などについて解説します。

 

今回は、株式会社などの法人が加入する逓増定期保険に関する経理処理と税金について説明したいと思います。

 

 

 

逓増定期保険とは

定期保険とは、一定の保険期間内に被保険者がお亡くなりになった場合にだけ死亡保険金を受け取ることができる生命保険のことをいいます。

逓増定期保険とは、死亡保険金の額が増えていく定期保険のことをいいます。「逓増」とは、「数量がしだいに増えていく」ことです。

 

 

法人が加入する逓増定期保険とは

株式会社などの法人が加入する逓増定期保険とは、
法人が契約者になって、社長などの会社役員や従業員を被保険者とする逓増定期保険のことをいいます。

解約返戻率 ( 解約返戻金 ÷ 支払った保険料の総額 ) が高いことから、社長など会社役員の退職金に充てるためなどに利用されます。

 

 

法人が逓増定期保険に加入する目的

法人が逓増定期保険に加入する主な目的として次のようなものが挙げられます。

 

役員退職金に充てるため
経営者などの退職時期に、解約返戻率( 解約返戻金 ÷ 支払った保険料の総額 )のピークがくるように、逓増定期保険を設計することで、解約返戻金を役員退職金に充てることができます。

長期平準定期保険などに比べて、早い時期に解約返戻率のピークがきます。役員退職金に充当する保険としてどちらに加入するのかは、被保険者の年齢や保険加入期間などに応じて検討することになります。

 

節税のため
税法上の逓増定期保険に該当するように保険設計すれば、支払った保険料の一部が損金(税金を計算する上で経費として認めてもらえること)になるので節税にも利用できます。

 

その他
保険の本来の目的である万が一の事態に備えるという死亡保障によって、資金繰りや事業承継などに備えることができます。

 

 

税務上の逓増定期保険

税務上の逓増定期保険とは、
保険期間の経過により保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険のうち、
その保険期間満了の時における被保険者の年齢が45歳を超える
保険をいいます。

 

 

逓増定期保険の税務上の取扱いと経理処理

法人が加入する逓増定期保険の税務上の取扱いと経理処理は、保険金の受取人が法人の場合、保険契約の内容によって次の3つに区分されます。

 

逓増定期保険タイプA

保険期間満了の時における被保険者の年齢 > 80歳、
かつ、
保険加入時の被保険者の年齢 + 保険期間 × 2 > 120

 

保険期間の前半の6割の期間(保険期間が40年であれば前半の24年)
支払った保険料の「3/4」を、前払保険料として資産に計上します。
支払った保険料の残りの「1/4」を、支払保険料として損金(経費)に計上します。

 

保険期間の後半の4割の期間(保険期間が40年であれば後半の16年)
支払った保険料の全額を損金(経費)に計上します。
保険期間の前半6割の期間に前払保険料として資産計上していたものを、保険期間の経過に応じて損金(経費)に振り替えます。

 

逓増定期保険タイプAの経理処理の例

保険契約者・・・法人
保険金受取人・・・法人
被保険者・・・代表取締役
被保険者の保険加入時の年齢・・・45歳
保険期間・・・40年(保険期間満了時の被保険者の年齢・・・85歳)
年間の支払い保険料・・・1,000,000円

保険期間満了の時における被保険者の年齢「85歳」 > 80歳
かつ、
保険加入時の被保険者の年齢「45歳」 + 保険期間「40年」 × 2 > 120
よって逓増定期保険タイプAに該当

 

保険期間の前半の6割の期間(加入時から24年目までの24年間)

年間の支払い保険料1,000,000円のうち
「3/4」の750,000円は前払保険料(資産)になります。
残りの「1/4」の250,000円は支払保険料(経費)になります。

 

保険期間の後半の4割の期間(25年目から40年目までの16年間)

年間の支払保険料1,000,000円は、その全額が支払保険料(経費)になります。
保険期間の前半6割の期間で前払保険料(資産)として計上されていた18,000,000円(750,000円×24年間)を、年間1,125,000円(18,000,000円÷16年間)ずつ支払保険料(経費)に振り替えていきます。

 

 

逓増定期保険タイプB

保険期間満了の時における被保険者の年齢 > 70歳、
かつ、
保険加入時の被保険者の年齢 + 保険期間 × 2 > 95
ただし、上記のタイプAに該当するものは除く

 

保険期間の前半の6割の期間(保険期間が30年であれば前半の18年)
支払った保険料の「2/3」を、前払保険料として資産に計上します。
支払った保険料の残りの「1/3」を、支払保険料として損金(経費)に計上します。

 

保険期間の後半の4割の期間(保険期間が30年であれば後半の12年)
支払った保険料の全額を損金(経費)に計上します。
保険期間の前半6割の期間に前払保険料として資産計上していたものを、保険期間の経過に応じて損金(経費)に振り替えます。

 

逓増定期保険タイプBの経理処理の例

保険契約者・・・法人
保険金受取人・・・法人
被保険者・・・代表取締役
被保険者の保険加入時の年齢・・・45歳
保険期間・・・30年(保険期間満了時の被保険者の年齢・・・75歳)
年間の支払い保険料・・・900,000円

保険期間満了の時における被保険者の年齢「75歳」 > 70歳
かつ、
保険加入時の被保険者の年齢「45歳」 + 保険期間「30年」 × 2 > 95
よって逓増定期保険タイプBに該当(タイプAには該当しない)

 

保険期間の前半の6割の期間(加入時から18年目までの18年間)

年間の支払い保険料900,000円のうち
「2/3」の600,000円は前払保険料(資産)になります。
残りの「1/3」の300,000円は支払保険料(経費)になります。

 

保険期間の後半の4割の期間(19年目から30年目までの12年間)

年間の支払保険料900,000円は、その全額が支払保険料(経費)になります。
保険期間の前半6割の期間で前払保険料(資産)として計上されていた10,800,000円(600,000円×18年間)を、年間900,000円(10,800,000円÷12年間)ずつ支払保険料(経費)に振り替えていきます。

 

 

逓増定期保険タイプC

保険期間満了の時における被保険者の年齢 > 45歳
ただし、上記のタイプAまたはタイプBに該当するものは除く

 

保険期間の前半の6割の期間(保険期間が10年であれば前半の6年)
支払った保険料の「1/2」を、前払保険料として資産に計上します。
支払った保険料の残りの「1/2」を、支払保険料として損金(経費)に計上します。

 

保険期間の後半の4割の期間(保険期間が10年であれば後半の4年)
支払った保険料の全額を損金(経費)に計上します。
保険期間の前半6割の期間に前払保険料として資産計上していたものを、保険期間の経過に応じて損金(経費)に振り替えます。

 

逓増定期保険タイプCの経理処理の例

保険契約者・・・法人
保険金受取人・・・法人
被保険者・・・代表取締役
被保険者の保険加入時の年齢・・・40歳
保険期間・・・10年(保険期間満了時の被保険者の年齢・・・50歳)
年間の支払い保険料・・・1,000,000円

保険期間満了の時における被保険者の年齢「50歳」 > 45歳
よって逓増定期保険タイプCに該当(タイプAとタイプBには該当しない)

 

保険期間の前半の6割の期間(加入時から6年目までの6年間)

年間の支払い保険料1,000,000円のうち
「1/2」の500,000円は前払保険料(資産)になります。
残りの「1/2」の500,000円は支払保険料(経費)になります。

 

保険期間の後半の4割の期間(7年目から10年目までの4年間)

年間の支払保険料1,000,000円は、その全額が支払保険料(経費)になります。
保険期間の前半6割の期間で前払保険料(資産)として計上されていた3,000,000円(500,000円×6年間)を、年間750,000円(3,000,000円÷4年間)ずつ支払保険料(経費)に振り替えていきます。

 

 

保険金の受取人が役員や従業員の遺族の場合

保険金の受取人が役員や従業員の遺族の場合は、損金になる金額を、支払保険料ではなく福利厚生費で処理します。(損金になる金額は変わりません)

特定の役員や従業員だけを被保険者にしている場合は、上記にかかわらず、支払った保険料の全額が、その役員や従業員に対する給与とされるのでご注意ください。

 

 

おわりに

逓増定期保険に似た機能を持つ長期平準定期保険というものもあります。法人で保険の加入をお考えの場合は、保険会社だけでなく税理士ともよく相談して下さいね。

港区や渋谷、新宿など東京23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や節税だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなたの事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

がん保険 | 法人が加入する保険の経理と税金

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷、新宿など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金・節税や会計・経理などについて解説します。

今回は、株式会社などの法人が加入する 「がん保険」 に関する経理処理と税金について説明したいと思います。

 

 

 

がん保険とは

がん保険とは、民間の医療保険の一種で、がん(癌)を保障の対象としており、がんと診断された場合、がん治療を受けた場合などに給付金が支払われる保険のことをいいます。

 

医療保険とは、病気やケガの治療、手術や入院のためにかかった医療費について、その金銭的負担を軽減するための保険のことで、公的な医療保険と民間の医療保険の2つがあります。

  • 公的な医療保険には、会社員の健康保険や公務員の共済組合、自営業者の国民健康保険などがあり、すべての国民が何かしらの公的な医療保険に加入しています(国民皆保険)。
  • 民間の医療保険は、上記の公的な医療保険ではまかなうことができない医療費の自己負担分などに備えるためのもので、各人が任意で民間の保険会社の医療保険に加入します。

 

 

法人が加入するがん保険とは

株式会社などの法人が加入するがん保険とは、
法人が保険の契約者になって、社長など会社役員や従業員を被保険者とするがん保険のことをいいます。

 

 

法人が加入するがん保険の税務上の取扱いと経理処理

法人が加入するがん保険の税務上の取扱いと経理処理は、

給付金(保険金)の受取人が、会社なのか被保険者(被保険者の遺族含む)なのか、
解約返戻金が、ない(少額の場合含む)かあるか、
保険期間が、定期なのか終身なのか、
保険料の払込期間が、有期払込みなのか終身払込みなのか、

によって区分されます。

がん保険は医療保険の一種ですが、税務処理においては、がん保険と医療保険では異なりますので注意してください。

 

 

給付金(保険金)の受取人が会社の場合

 

保険期間が定期の場合

保険期間が定期の場合は、
原則として支払った保険料は保険期間の経過に応じて会社の損金(支払保険料)になります。

 

保険期間が終身で、保険料の支払いも終身払込みの場合

保険期間が終身で、保険料の支払いも終身払込みの場合は、
がん保険加入時の年齢から105歳までの期間を計算上の保険期間として、

 

「前払期間」
この保険期間の開始の時からこの保険期間の半分の期間を経過するまでの期間(前払期間)は、各年の支払保険料の半分を前払保険料として資産に計上して、残りの半分は支払保険料として損金(税金計算上の経費)にします。

 

「前払期間経過後の期間」
この保険期間のうち、上記の前払期間を経過した後の期間は、各年の支払保険料の全額を支払保険料として損金にします。加えて、前払期間に資産計上した前払保険料を、前払期間経過後期間で均等に取り崩した額を損金にします。

 

保険期間が終身で、保険料の支払いが終身ではなく一定の期間だけの有期である場合

保険期間が終身で、保険料の支払いが終身ではなく一定の期間だけの有期である場合は、
がん保険加入時の年齢から105歳までの期間を計算上の保険期間として、

 

「前払期間のうち保険料払込期間が終了するまでの期間」
この保険期間の開始の時からこの保険期間の半分の期間を経過するまでの期間(前払期間)のうち、保険料払込期間が終了するまでの期間については、
支払保険料 ( 年額 ) × ( 保険料払込期間 / 保険期間 ) = 当期分保険料 ( 年額 )
として、その当期分保険料(年額)の半分を前払保険料として資産に計上して、残りの半分は支払保険料として損金(税金計算上の経費)にします。

 

「前払期間のうち保険料払込期間が終了した後の期間」
前払期間のうち保険料払込期間が終了した後の期間については、
当期分保険料(年額)の半分の金額について、前払保険料(資産)を取り崩して損金にします。

 

「前払期間経過後の期間のうち保険料払込期間が終了するまでの期間」
前払期間経過後の期間のうち、保険料払込期間が終了するまでの期間については、
各年の支払保険料の額のうち、
当期分保険料(年額)を超える金額を、前払保険料として資産に計上して、
残額を損金にします
また、次の算式により計算した取崩損金算入額を、「前払期間のうち保険料払込期間が終了するまでの期間」に資産計上した前払保険料から取り崩して損金にします。
取崩損金算入額 = [ ( 当期分保険料 / 2 ) × 前払期間 ] / ( 105 – 前払期間経過年数 )

 

「前払期間経過後の期間のうち保険料払込期間が終了した後の期間」
前払期間経過後の期間のうち保険料払込期間が終了した後の期間については、
当期分保険料の金額と取崩損金算入額を、「前払期間」と「前払期間経過後の期間のうち保険料払込期間が終了するまでの期間」の前払保険料(資産)から取り崩して損金にします。

 

 

給付金(保険金)の受取人が被保険者(被保険者の遺族含む)の場合

役員と従業員の大半が加入している場合は、給付金(保険金)の受取人が会社の場合と同様の処理になります。
なお、損金にするときの勘定科目は支払保険料ではなく福利厚生費になります。

特定の役員や従業員(これらの者の親族含む)だけを被保険者としている場合には、支払った保険料が、役員や従業員に対する給与になります。

 

 

おわりに

がん保険は、医療保険と同様に、税務上の取扱が難しく税務リスクも高いため、法人で加入をお考えの際は、加入する前に税理士とよく相談してくださいね。

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