カテゴリー: ビジネス

プロスペクト理論-得するよりも損を避けたい

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

経済学において、人は経済合理的な行動をとる経済人であるという前提があります。しかし、実際には人は不合理な行動をとってしまうことがよくあります。

今回は、そんな人の不合理な行動を説明するプロスペクト理論というものを紹介したいと思います。

 

どっちの宝くじを選びますか?

みなさんならどちらの宝くじを選びますか?

A : 必ず10万円が当たる
B : 70%の確率で15万円が当たるけど、30%の確率で0円になる

この場合、Aを選ぶ人が多いのではないでしょうか。
期待値で考えると、Aの10万円よりも、Bの10.5万円(15万円×70%+0円×30%)の方がもらえる金額が多いため、経済合理的にはBが正しいといえます。

宝くじの金額が増えて、下記のようになると

AA : 必ず100万円が当たる
BB : 70%の確率で150万円が当たるけど、30%の確率で0円になる

AAを選ぶ人はさらに増えるそうです。

 

どっちの罰金を払いますか?

みなさんならどちらの罰金を払いますか?

C : 必ず10万円を支払わなければならない
D : 70%の確率で15万円を支払わなければならないが、30%の確率で0円になる

この場合、Dを選ぶ人が多いのではないでしょうか。
期待値で考えると、Cの10万円の方が、Dの10.5万円(15万円×70%+0円×30%)よりも支払う金額が少ないため、経済合理的にはCが正しいといえます。

罰金の金額が増えて、下記のようになると

CC : 必ず100万円を支払わなければならない
DD : 70%の確率で150万円を支払わなければならないが、30%の確率で0円になる

DDを選ぶ人はさらに増えるそうです。

 

プロスペクト理論

上記の宝くじの例のとおり、利益を得ることができる場面では危険から回避するように行動する、つまり損をする確率を高く見積もってしまいます。そして、金額が大きくなるほどその傾向は強くなります。

上記の罰金の例のとおり、損を被ってしまう場面では危険を追求するように行動する、つまり得をする確率(損から免れる確率)を高く見積もってしまいます。そして、金額が大きくなるほどその傾向は強くなります。

人は、絶対値が同じ額の利益と損失であっても、損失の方を大きく感じてしまうようです。100万円を得たいという思いよりも、100万円の損をしたくないという思いの方が強いのです。勝ちたい思いよりも、負けたくない思いの方が強い人が多いとも言えます。

このような人の不合理な行動を説明した理論をプロスペクト理論と言います。

株式投資で損切りできない、不採算事業から撤退できないなどの行動は、このプロスペクト理論で説明できます。

 

おわりに

ビジネスにおける意思決定はもちろん、日常生活における意思決定においても、このプロスペクト理論を思い出して、不合理な行動をとっていないかどうか意識してみてください。
とは言え、この理論を知っていても、不合理な行動をとってしまうことがある自分はまだまだ経済人とは言えませんね。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

アビリーンのパラドックス

はじめに

アビリーンには行かない東京都港区の税理士です
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、ビジネスの教訓としてもつかえるアビリーンのパラドックスを紹介します。

 

アビリーンのパラドックスとは

夏のとある暑い日、アメリカのテキサス州にあるコールマンという田舎町、僕は妻の実家に夫婦で帰省していました。この猛暑のなか、どこにも出かけずにエアコンの効いた自宅でトランプでもしているのが最良の過ごし方であると、自分、妻、妻の両親の4人だれもが思っていました。

そんな昼下がりのひととき、皆が退屈そうにしていると思った義父は気を利かせて(本当は行きたくないけど)こう提案しました。
「娘夫婦が遊びにきてくれているのだから、これからアビリーンまでドライブして、そこでディナーでも食べないかい?」

ここからアビリーンまでは80kmの長丁場、車のエアコンも故障中です。誰も賛成しないだろうと義父は思ってました。

僕は思いました。
『お義父さん、勘弁して下さいよ。エアコンがない車で遠出なんて・・・しかもアビリーンでディナーと言ってもファミレスしかないのは皆知っているでしょう。まあ、お義母さんも妻も反対しますよ』

ところが妻は言いました。
「そうねえ、せっかくだし久しぶりに行くのも悪くないかもね。」

義母も言いました。
「あなたたちが行きたいのであれば、私もかまわないわよ。」

僕はこう言うしかありませんでした。
「僕も賛成ですよ。」

こうして4人は太陽が照りつけるなか、アビリーンへと出発したのでした。
車内では暑さのため会話も弾まず、ファミリーレストランで食事を終えて、帰宅したときには、皆ぐったりしていました。

ここで義母がポロリと言いました。
「本当は家でのんびりしていたかったけど、皆が行きたそうにしていたから重い腰を上げたのよ。」

妻も続いて
「せっかくパパが提案してくれたんだから、断ると悪いと思って。」

義父も負けじと
「皆が退屈そうにしていたから提案してみただけで、俺だって行きたくはなかった。」

僕も言いました。
「皆さんが賛成しているのに、僕だけ反対するなんてできません。」

4人とも家でのんびりと過ごしたかったのに、他の人のことを思って行きたくないアビリーンへ行って、せっかくの休日を台無しにしてしまったというお話でした。

 

アビリーンに向かっていませんか?

KY(空気が読めない)という用語が流行しましたが、空気しか読まないのも困りますね。会議の際やプロジェクト進行中には、ぜひこのお話を思い出してみて下さい。
「アビリーンに向かっていませんか?」

 

おわりに

こちらのパラドックスも合わせてお読みになってみてください。
イカロスのパラドックス

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

イカロスのパラドックス

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、ビジネスの教訓としてもつかえるイカロスのパラドックスを紹介します。

 

イカロスのパラドックスとは

ギリシャ神話のお話です。

クレタ島のミノス王の怒りをかってしまったダイタロスとその息子イカロスはラビリンスに閉じ込められてしまいました。(なぜ王の怒りをかってしまったのかは、アテネとクレタ島の戦争、テセウスによるミノタウロスの退治のお話など長くなってしまうので割愛します。)

ダイタロスはラビリンスから脱出するためのアイデアを思いつきました。木の枝に蜜ロウを使って鳥の羽根を貼り付け大きな翼を作ったのです。そして、この翼を息子のイカロスにさずけました。

ダイタロスは言いました。
「この翼を使って、ラビリンスを脱出するのだ。しかし、危険だから高く飛びすぎるなよ。」

はじめは恐る恐る翼を羽ばたかせていたイカロスですが、コツを掴んてどんどん上昇して、あっという間にラビリンスからの脱出に成功しました。
しかし、空を飛ぶ楽しさに心を奪われたのか、ますます高く飛んで、だんだんと太陽に近づいてしまい、蜜ロウが溶け始めました。しかしイカロスは空を舞うことに夢中でそれには気づかず、ついには羽根が溶け落ち、最期には大地に叩きつけられてこの世を去るのでした。

イカロスは自分の成功の源である翼に自惚れてしまい、太陽に近づいてしまうという危険に気づくことができずに、最期には成功の源であった翼によって命が絶たれたのです。これはイカロスのパラドックスと呼ばれており、欧米などで教訓として広く語られています。

 

ビジネスにおけるイカロスのパラドックス

これは個人や会社、もちろん大企業にも当てはまることがあります。特定の分野で成功した会社が、自信過剰になり過去の成功体験にとらわれてしまい、重大なリスクに気がつかないで転落してしまう事例に事欠きません。
このお話をぜひ記憶の片隅にでも置いて下さい。

余談ですが、このお話を聞いたとき、私は少し違和感を感じました。私の記憶ではイカロスは勇敢な人だったからです。皆さんの中にも小学生の頃にこの歌を聴いたり歌ったりした経験がもしかしたらあるのではないでしょうか。

勇気一つを友にして作詞 片岡輝
作曲 越部信義むかしギリシャのイカロスは
ろうで固めた鳥の羽根
両手に持って飛び立った
雲より高くまだ遠く
勇気一つを友にして丘はぐんぐん遠ざかり
下に広がる青い海
両手の羽根をはばたかせ
太陽目指し飛んでいく
勇気一つを友にして赤く燃えたつ太陽に
ろうで固めた鳥の羽根
みるみるとけてまい散った
つばさうばわれイカロスは
墜ちて生命を失っただけどぼくらはイカロスの
鉄の勇気を受けついで
明日へ向かい飛び立った
ぼくらは強く生きて行く
勇気一つを友にして

 

おわりに

こちらのパラドックスも合わせてお読みになってみてください。
アビリーンのパラドックス

 

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

選択バイアスの罠

はじめに

F16が好きな東京都港区の税理士
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリテイ、公認会計士・税理士の佐藤です。

統計学の用語で「選択バイアスの罠」というものがあります。今回はこの用語を紹介したいと思います。

 

選択バイアスの罠におちいった有名な事例

選択バイアスの罠におちいった有名な事例です。

ハンガリー生まれのユダヤ人でドイツからアメリカに亡命したエイブラハム・ワルドという統計学者がいました。ワルドは、世界大戦の最中、アメリカ軍の戦闘機の弱い部分について調査しており、戦闘機のどの部分を補強するべきであるか、軍部と検討していました。

そんな彼のもとに、戦地から帰ってきた戦闘機についてのデータが大量に届けられました。このデータは、戦闘機のいくつかの部分について、他よりも多く敵の弾丸を受けていることを示していました。

ここで質問です。戦闘機のどこを補強するべきでしょうか?

軍部の結論はこうでした。
「敵の弾丸を多く受けている部分を補強すべきだ。」

対して、ワルドは声高らかに叫びました。
「それは違う!敵の弾丸を受けていない部分こそ、補強しなければならない!」

ワルドはどのようにしてこのような結論に辿り着いたのでしょうか。

届けられたデータは、戦地から帰ってきた戦闘機に関するものばかりで、撃墜されて帰ってこれなかった戦闘機に関するものがありませんでした。致命傷となる部分に弾丸を受けた戦闘機は帰ってくることはできずに、大事には至らない部分に弾丸を受けた戦闘機は帰ってくることができたと言えます。

そのため、ワルドは「弾丸を多く受けた部分ではなく、弾丸を受けていない部分を補強すべし」と言ったのです。

軍部とワルドの意見の違いは、データの母集団についての正しい理解の違いだったのです。

 

選択バイアスの罠をビジネスに応用

これはビジネス書やビジネスセミナーにも当てはまります。これらの多くは成功事例をもとにしたものが大半であり、失敗事例が欠如しています。ちまたには選択バイアスの罠にハマっている情報があふれています。成功している経営者にはこんな共通点がある、業績が伸びている会社の特徴はこれだ、などなど。これらをそのまま自分に適用するのは危険です。

皆さんも重要な意思決定をする際は、今回ご紹介した選択バイアスの罠を思い出して下さい。母集団の中から偏ったサンプルを選んでいないか、そもそも母集団が間違っていないか、もう一度考えてみて下さい。

ビジネスの当事者が自ら失敗体験を語ってくれることは非常に少ないですが、そんな中、板倉雄一郎さんの「社長失格」という本はオススメです。

 

おわりに

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

奥様向け雑誌

はじめに

本が好きな東京都港区の税理士
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

下記の雑誌、ターゲットは同じ奥様ですが、読者層が見事に分かれています。両方とも読者ターゲットを絞り込むことによって成功しています。

 

VERY

VERY:発行部数33万部
読者モデルが多数登場し面白いことに居住地が一緒に記載されています。東京都港区、目黒区、世田谷区在住が大半を占めています。すてきな奥さんとケタ2つ違う掲載商品価格、高級ブランド目白押しの広告。読者ターゲット世帯年収800万円以上(及びそれを目指す層)

 

すてきな奥さん

すてきな奥さん:発行部数20万部
節約バンザイ、節約テクニックや節約レシピが満載です。手作り収納もお得意。読者ターゲットの世帯年収300万円未満

 

ターゲットを絞る

ターゲット市場を絞ることで両者とも奥様向け雑誌としてなかなかの部数を誇っています。

ちなみに、雑誌のビジネスモデルは販売収入と広告収入で成り立っており、その割合は半々が理想とされています。広告収入ではVERYが圧勝しているそうです。

ターゲットを絞ると売上が落ちるのではないかと危惧されますが、そんなことはありません。特に起業したばかりの創業期の会社においては、先行企業には真似できないほどにこれでもかってくらいターゲットを絞ることが重要です。そして徐々にターゲットを広げていけば良いのです。小さく生んで大きく育てることが成功する(というよりも失敗しない)コツです。

当社も、東京都港区、渋谷区、新宿区を中心とした、創業から間もないフリーランス、個人事業主、起業家、ベンチャー企業などの成長志向のお客様をターゲットとして絞り込んでおります。

 

おわりに

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。