カテゴリー: 会計

スイカSuicaやパスモPASMOなどの会計処理

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

スイカSuicaやパスモPASMOといったICカードについて、交通費だけでなく、ちょっとした買物にも使っている方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんなスイカSuicaやパスモPASMOなどの会計処理ついて説明したいと思います。

 

スイカSuicaやパスモPASMOなどに「チャージした時」の会計処理-原則-オススメ

スイカSuicaやパスモPASMOなどに11,000円をチャージした時の会計処理はこのようになります。

前払金勘定を使います。

資金を移動させているだけなので、消費税は関係ありません。

借方 貸方
前払金 11,000 現金 11,000
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

 

スイカSuicaやパスモPASMOなどに「チャージした時」の会計処理-例外

チャージした時に費用として計上することも、継続適用を条件に認められています。

この場合は、チャージしたときに消費税の課税取引として処理します(消費税10%と仮定、以下同様です)。

借方 貸方
旅費交通費 10,000 現金 11,000
仮払消費税 1,000
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

 

毎回のチャージ金額が少額で、かつ、交通費にしか使わない場合は、この方法でもいいと思います。

しかし、交通費以外にも使う場合があることと、いつ使ったかを明確に管理するためにも、チャージ時には前払金で会計処理する原則的な方法をオススメします。

ちなみに、チャージ時に費用処理できるからといって、決算日近くに、節税のためにたくさんチャージして必要経費や損金を増やすようなことをすると、税務調査において必ず突っ込まれることになるので止めておいた方がいいですよ。

 

スイカSuicaやパスモPASMOなどを「使った時」の会計処理

スイカSuicaやパスモPASMOなどを使った時は、前払金から各種費用項目に振り替えます。

チャージした時ではなく使った時に消費税の課税取引として処理します。

 

交通費で550円使った時は、

借方 貸方
旅費交通費 500 前払金 550
仮払消費税 50
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

 

コンビニで110円の文具を買った場合は、

借方 貸方
事務用消耗品 100 前払金 110
仮払消費税 10
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

 

おわりに

スイカSuicaやパスモPASMOは券売機で履歴を印字できるので、それを保管しておくといいですよ。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

受取利息の会計処理-フリーランス・個人事業主の場合

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、フリーランス・個人事業主の場合の受取利息の会計処理について説明したいと思います。

 

フリーランス・個人事業主の受取利息

銀行など金融機関からの受取利息は、

  • 国税である源泉所得税15%
  • 国税である復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)
  • 地方税である都道
  • 府県民税利子割5%

合計20.315%が差し引かれて、残りの79.685%が手取りとして口座に入金されます。

 

記帳するときの仕訳

受取利息を受け取ったときの会計処理、記帳するときの仕訳はこのようになります。

借方 貸方
普通預金 1,000 事業主借 1,000
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

フリーランス・個人事業主の場合と、株式会社などの法人の場合とで、受取利息の会計処理が異なってきます。

法人の場合の会計処理については「復興特別所得税で面倒になった受取利息の会計処理-法人の場合」を参照ください。

フリーランス・個人事業主の場合は、個人的な受取利息はもちろん、事業用の口座に入金される受取利息についても、所得税法上は事業所得ではなく利子所得になるので、事業の収入には含めません。

そのため、個人事業にかかる会計処理、記帳するときの仕訳には、法人のように「受取利息」勘定を使うのではなく、「事業主借」勘定を使うことになります。

なお、受取利息は口座に入金される段階で、所得税、復興特別所得税、都道府県民税利子割が天引き(源泉徴収)されて、納税が済んでいます(源泉分離課税といいます)。そのため、受取利息については、確定申告を行う必要はありません。

利子所得については「利子所得でも確定申告が必要な場合があります」を参照ください。

 

受取利息の消費税について

法人の受取利息は消費税の非課税売上になります。

対して、フリーランス・個人事業主の方の受取利息の消費税については、少しやっかいです。

事業用の預金などについた利息については非課税売上になりますが、
事業にはまったく関係ない個人的な預金などについた利息については不課税売上になります。

間違えやすいポイントなので、詳しくは「事業用預金の受取利息は非課税取引です-フリーランス・個人事業主」を参照ください。

 

おわりに

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

復興特別所得税で面倒になった受取利息の会計処理-法人の場合

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、復興特別所得税で面倒になった法人の場合の受取利息の会計処理について説明したいと思います。

 

法人の受取利息

銀行など金融機関からの受取利息は、

  • 国税である源泉所得税15%
  • 国税である復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)
  • 地方税である都道府県民税利子割5%

合計20.315%が差し引かれて、残りの79.685%が手取りとして口座に入金されます。

復興特別所得税があるため、手取りの受取利息から、記帳するのに必要となる受取利息の総額と税金の額を逆算するのが少し面倒になってしまいましたね。

手取りの受取利息として銀行口座に1,000円の入金があった場合を例にして、少しくどいですが、仕訳をするまで計算の手順を書きますね。

 

①予想される受取利息の総額の計算

銀行口座に入金された受取利息は、利息総額から税金20.315%が差し引かれた、残りの79.685%分になっています。そのため手取り金額から利息総額を逆算します。

1,000円 ÷ 79.685% = 1,254円 ( 1円未満切捨 )

銀行口座に入金された手取りの受取利息 ÷ ( 1 - 源泉所得税15% - 復興特別所得税0.315% - 都道府県民税利子割5% ) = 予想される受取利息の総額 ( 1円未満切捨 )

実際に銀行がどういう計算をしているかは分かりません。あくまで試算ですが、国税庁の手引きに記載されている方法なので、税務署的には問題ないと思います。

 

②所得税と復興特別所得税の合計額の計算

利息総額の15%が所得税、0.315%が復興特別所得税なので、所得税と復興特別所得税の合計は15.135%になります。

1,254円 × 15.315% = 192円 ( 1円未満切捨 )

予想される受取利息の総額 × ( 所得税の税率15% + 復興特別所得税の税率0.315% ) = 所得税と復興特別所得税の合計額 ( 1円未満切捨 )

 

③復興特別所得税の計算

192円 × 2.1/102.1 = 4円 ( 50銭以下は切捨、50銭超は切上 )

所得税と復興特別所得税の合計額 × 2.1/102.1 = 復興特別所得税 ( 50銭以下切捨、50銭超を切上 )

 

④所得税の計算

192円 - 4円 = 188円

所得税と復興特別所得税の合計額 - 復興特別所得税 = 所得税

 

⑤都道府県民税利子割の計算

1,254円 × 5% = 62円 ( 1円未満切捨 )

予想される受取利息の総額 × 都道府県民税利子割の税率5% = 都道府県民税利子割

 

⑥あらためて利息の総額の計算

1,000円 + 188円 + 4円 + 62円 = 1,254円

銀行口座に入金された手取りの受取利息+所得税 + 復興特別所得税 + 都道府県民税利子割 = 受取利息の総額

ここで計算した「受取利息の総額」が、はじめに計算した「予想される受取利息の総額」と少しズレてしまうことがあります。
はじめに計算した「予想される受取利息の総額」は、その後に各種計算をするための暫定値にすぎないため、「受取利息の総額」とズレていても問題ありません。

ここで計算した「受取利息の総額」で会計帳簿に記録することになります。

 

記帳するときの仕訳

借方 貸方
普通預金 1,000 受取利息 1,254
法人税等(源泉所得税) 188
法人税等(復興特別所得税) 4
法人税等(都道府県民税利子割) 62
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

同じ銀行に複数の口座を持っている場合でも、口座ごとに仕訳をしてくださいね。

なお、株式会社などの法人の場合と、フリーランス・個人事業主の場合とで、受取利息の会計処理が異なってきます。

フリーランス・個人事業主の場合の会計処理については「受取利息の会計処理-フリーランス・個人事業主の場合」を参照ください。

 

受取利息の消費税について

株式会社など法人の方の受取利息は非課税売上になります。一般的な会計ソフトだと受取利息は非課税売上に設定されていると思いますが、自社でカスタマイズしている場合などはご確認ください。

 

おわりに

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

キャッシュ・フロー計算書-現預金の増減理由が分かります

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

経営者にとって貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書といった財務諸表の3表の知識は必須といっていいでしょう。もちろん勘定科目など細かいところまで覚える必要はありません。ポイントだけ押さえれば十分です。

今回は、経営者が理解すべきキャッシュ・フロー計算書の概要について説明したいと思います。

 

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フロー計算書(C/F Cash Flow Statement)は、1会計期間(通常は1年)の現預金の動きを表した計算書です。

このキャッシュ・フロー計算書を見ることで、期首の現預金の残高が、どういった理由で増減して期末の現預金残高になったのかを理解することができます。

「前期よりも当期の方が利益が出ているのに、なんで手もとの現預金は減っているのだろう・・・」

こんな疑問を持たれる経営者さんは非常に多いです。損益計算書を見ても利益は分かりますが、現預金の流れについては分かりません。こんな時こそキャッシュ・フロー計算書が役に立つのです。

 

キャッシュ・フロー計算書の様式

キャッシュ・フロー計算書は、現預金の動きを、その性質に応じて、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローの3つに分けて表しています。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成したキャッシュ・フロー計算書の図1

営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、本来の営業活動によって稼いだ現預金がどれくらいあるかを表しています。

通常はプラスの数値になるはずですが、もしマイナスになっていたら要注意です。本業で現預金を稼げていないことを表しているため、事業そのものの見直しが必要になってきます。ただ、起業間もない場合などはマイナスからスタートすることが普通なので、まずはこの数値がプラスにすることを目標にしましょう。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資など将来の現預金を稼ぐための投資をどれくらい行っているのか、過去に行った投資を処分して現金化しているのかを表しています。

この数値がマイナスの場合は、将来に向けて投資をしており積極的な姿勢が見て取れます。
逆にこの数値がプラスの場合は、お金が必要なのか持っていた資産を売却して資金化していることを意味します。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

営業活動や投資活動を行うための借入金などの資金調達や、その借入金の返済状況などを表しています。

この数値がプラスの場合は、借入金などで資金調達を行っていることを意味しています。
この数値がマイナスの場合は、借入金の返済などが進んでいるといえます。

 

キャッシュ・フロー計算書のまとめ

キャッシュ・フロー計算書は、1年間の現預金の流れを営業活動、投資活動、財務活動の3つに分けて表している計算書です。

損益計算書では分からない、期首から期末までの1年間の現預金の動きを把握することが出来ます。

 

貸借対照表については、「貸借対照表-決算日における資金の調達先と資金の運用状況を表します」を参照ください。
損益計算書については、「損益計算書-1年間の経営成績を表します」を参照ください。

 

 

おわりに

利益よりも現預金に目を向けようというキャッシュ・フロー経営というものが流行したことがあります。このキャッシュ・フロー経営は流行で終わるものではなく、現在、もちろん将来においても、とても大切な考え方です。

フリーランス・個人事業主、株式会社などの法人の目的は利益をあげることではなく、現金預金というキャッシュを増やすことです。利益をあげることはその一手段に過ぎません。

税理士の目的も、顧客の節税ではなく、顧客のキャッシュを増やすことです。節税はその一手段に過ぎません。その事をちゃんと理解している税理士が良い税理士と言えると思います。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

損益計算書-1年間の経営成績を表します

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

経営者にとって貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書といった財務諸表の3表の知識は必須といっていいでしょう。もちろん勘定科目など細かいところまで覚える必要はありません。ポイントだけ押さえれば十分です。

今回は、経営者が理解すべき損益計算書の概要について説明したいと思います。

 

損益計算書

損益計算書は、1会計期間(通常は1年)の経営成績である利益の金額を、収益から費用を差し引いたかたちで示す決算書の1つです。

損益計算書を見れば、1年間でどれだけ売上が上がったのか、どれだけ費用や経費がかかったのか、その結果、どれだけ儲かったのか損をしたのかが分かるようになっています。

P/L(ピーエル)とも言われていますが、省略前の用語であるProfit and Loss statementと言う人はあまりいませんね。ちなみに海外ではProfit and Loss statementではなく、Income Statementと言うことが多いです。

 

損益計算書における様々な利益

全ての収益から全ての費用を差し引けば、最終的な利益を計算することができます。

しかし、損益計算書はそのようにはなっていません。損益計算書の特徴は、最終的な利益を計算するだけでなく、収益と費用の関係における利益の性質から、利益を5つに分類していることにあります。これによって、より深く経営成績を把握できるようになっているのです。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した損益計算書の図1

5つの利益を簡単に説明すると、

  • 売上総利益は、基本となる収益力を表す利益です。粗利益とも言います。
  • 営業利益は、本来の営業活動による収益力を表す利益です。
  • 経常利益は、財務活動なども含めた会社の経常的な活動による収益力を表す利益です。通常、利益と言えば、この経常利益を指すことが多いです。
  • 税引前当期純利益は、非経常的な活動も含めた税金を引く前の利益です。
  • 当期純利益は、全ての収益から全ての費用を引いた最終的な利益です。

 

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した損益計算書の図2

損益計算書と貸借対照表の関係

貸借対照表が決算日という一時点の資産状況を表しているストック(一時点において貯まっている量)の情報であるのに対して、損益計算書は会計期間における経営成績を表しているフロー(一定期間に流れた量)の情報です。

フローの積み上げの結果がストック、つまり損益計算書の積み上げの結果が貸借対照表という関係になっているのです。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した損益計算書の図3

 

損益計算書のまとめ

損益計算書は、1年間の経営成績である利益を収益から費用を差し引いて示しています。その利益は5段階に分かれています。

はじまりから毎年の損益計算書を積み上げた結果が貸借対照表となって現れています。

 

貸借対照表については、「貸借対照表-決算日における資金の調達先と資金の運用状況を表します」を参照ください。
キャッシュ・フロー計算書については、「キャッシュ・フロー計算書-現預金の増減理由が分かります」を参照ください。

 

おわりに

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。