償却資産税の基礎と償却資産について

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として、港区や渋谷区、新宿区といった東京23区の起業家様、経営者様を支援してきた経験から、株式会社などの法人の方、フリーランス・個人事業主などの個人の方が納める税金について解説します。

 

今回は、償却資産税の基礎と、償却資産税の対象になる償却資産について説明したいと思います。

償却資産税の申告については下記ページを参照ください。

 

 

償却資産税の基礎

固定資産税は、
1月1日時点に固定資産 ( 土地・家屋・償却資産 ) を持っている法人や個人が、
その固定資産の価格をもとに計算された税金の額を、
その固定資産がある市区町村 ( 東京都23区は特例で東京都が課税 ) に納める税金です。

 

償却資産税は、固定資産税のうち特に償却資産にかかる税金のことをいいます。

 

固定資産税は土地や家屋を持っていることによって課せられる税金ですが、土地や家屋の所有については法務局の登記の情報などから市区町村が把握することができるため、固定資産税の税金計算は市区町村が行って、土地・家屋の所有者にその税額を通知してくれます。そのため、土地・家屋の所有者が自分で固定資産税を計算して申告する必要はありません。

 

一方、償却資産税は償却資産を持っていることによって課せられる税金ですが、土地・家屋の所有者とは異なり償却資産の所有者については市区町村が把握することはできません。そのため、償却資産の所有者は自分が持っている償却資産を自分で申告しなければならないのです。

償却資産を持っている法人や個人は、毎年1月1日時点で所有している償却資産の内容を、償却資産が置いてある市区町村ごとに1月31日までに申告します。

 

固定資産 税金 固定資産の申告
土地・家屋 固定資産税 市区町村が税金を計算して通知してくれる
償却資産 償却資産税 自分で償却資産を申告しなければならない
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

 

 

償却資産とは

償却資産とは、
土地・家屋以外で事業のために使うことができる資産のうち
その資産の減価償却費が法人税法における損金 ( 法人の場合 ) 、所得税における必要経費 ( 個人事業主の場合 ) になるもの
をいいます。

市区町村に申告する必要がある償却資産の具体例です。

償却資産 償却資産の具体例
構築物 内装・内部造作、その他建築設備、舗装路面、庭園、門・塀・緑化施設等の外構工事、看板、広告塔、ゴルフ練習場設備、受変電設備、予備電源設備
建物附属設備 受変電・自家発電設備、蓄電池電源設備、屋外給排水・ガス引込み設備、そで看板、可動間仕切り、中央監視装置、独立した浄化槽・貯水槽等など
機械、装置 各種製造設備等の機械及び装置、クレーン等建設機械、機械式駐車設備など
船舶、航空機 ボート、釣船、漁船、遊覧船、飛行機、ヘリコプター、グライダーなど
車両、運搬具 自動車税、軽自動車税のかからないもの(フォークリフト、構内運搬車など)
工具器具備品 自動販売機、事務机・ロッカー・キャビネット、電子計算機、コピー機、応接セット、テレビ、レジスター、冷蔵庫・洗濯機、立看板、金庫、冷暖房機器、理美容機器、衣装、楽器、書籍、消火器、切削工具、ロール、測定工具、パソコン、陳列ケース、看板(ネオンサイン)、医療機器、測定工具、金型、理容及び美容機器、衝立など
業種別 償却資産の具体例
業種共通 パソコン、コピー機、エアコン、応接セット、キャビネット、ロッカー、金庫、内装・内部造作等、看板(広告塔、袖看板、ネオンサイン)、LAN設備など
製造業 金属製品製造設備、食料品製造設備、旋盤、ボール盤、梱包機など
印刷業 各種製版機、印刷機、断裁機など
建設業 ブルドーザー、パワーショベル、フォークリフト(軽自動車税の対象となるものを除く)、大型特殊自動車、測量機器、掘削機など
料理飲食店業 テーブル、椅子、厨房用具、冷凍冷蔵庫、カラオケ機器など
小売業 陳列棚(冷凍機や冷蔵機付き含む)など
理容・美容業 理容・美容椅子、洗面設備、消毒殺菌機、サインポールなど
医業、歯科医業 ベッド、手術台、薬品戸棚、医療機器(レントゲン装置、手術機器、歯科診療ユニット、ファイバースコープ)など
クリーニング業 洗濯機、脱水機、乾燥機、プレス機、ボイラー、ビニール包装設備など
不動産貸付業 受変電設備、発電機設備、蓄電池設備、中央監視設備、門・塀・緑化施設等の外構工事、駐車場等の舗装など
駐車場業 受変電設備、発電機設備、蓄電池設備、機械式駐車設備、舗装路面など
ガソリンスタンド業 洗車機、ガソリン計量器、独立キャノピー、防壁、地下タンクなど
諸芸師匠業、貸衣装業 楽器、花器、茶器、衣装など

 

 

償却資産になるもの

下記のものは償却資産になります。つまり、償却資産税の対象になるので申告する必要があります。

  • テナントが行った内装工事
  • 大型特殊自動車や建設機械など移動できる償却資産
  • 事業のために使っていなくても福利厚生のために使っているもの
  • 次の資産であっても1月1日時点で事業のために使うことができるもの
    • 建設仮勘定として計上されている資産
    • 簿外資産 ( 会計帳簿に載っていない資産 )
    • 償却済の資産
    • 遊休・未稼働の資産
    • もらった資産
  • 資本的支出になる改良費
  • 使用可能期間が1年未満または取得価額が20万円未満の償却資産であっても個別に減価償却しているもの
  • 租税特別措置法により即時償却などをしているもの(中小企業者等の少額減価償却資産など)

 

 

償却資産にならないもの

下記のものは償却資産にはなりません。つまり、償却資産税の対象にはならないので申告する必要はありません。

  • 棚卸資産 ( 商品、製品、仕掛品、貯蔵品など )
  • 固定資産税がかかるもの ( 土地や家屋 )
  • 自動車税、軽自動車税がかかるもの ( 普通自動車や軽自動車など )
  • 無形固定資産 ( ソフトウェア、電話加入権、特許権、実用新案権など )
  • 非減価償却資産 ( 書画骨董など )
  • 繰延資産 ( 創立費、開業費など )
  • 耐用年数1年未満または取得価額10万円未満の償却資産で、税務上固定資産として計上しないで、一括で法人税上の損金又は所得税上の必要経費にしているもの
  • 税務上の一括償却資産 ( 取得価額20万円未満の償却資産で、税務上3年で一括償却しているもの )

 

 

取得価額が少額な償却資産

取得価額が少額な償却資産については、税務会計上の経理の方法によって、償却資産として申告が必要になるかどうかが決まってきます。

償却資産として申告が必要かどうか
取得価額 経理の方法
一般の減価償却 中小企業者特例 3年一括償却 一時損金算入
10万円未満 必要 不要 不要
10万円以上20万円未満 必要 必要 不要
20万円以上30万円未満 必要 必要
30万円以上 必要
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

中小企業者等の特例で30万円未満の資産について取得時に一括償却した資産であっても、償却資産として申告する必要があるので注意してください。

 

 

おわりに

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最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。