国際課税の基礎-3-国内源泉所得とは

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

 

大企業だけでなく、 中小企業やベンチャー企業が海外進出することはめずらしくない時代になりました。海外進出、つまり国境を超えて経済取引を行うときの税金は、日本と相手国のどちらに払うことになるのでしょうか。国際課税とは、国際取引という2国間以上にかかわる課税のことをいいます。

 

国際課税の基礎として、今回は国内源泉所得について説明したいと思います。

 

なお、国際課税についての大枠をザックリと理解してもらうことを目的にしているので、用語の使い方や正確性などよりも分かりやすさを重視していることをご了承ください。
実際の適用にあたっては国際課税に詳しい税理士にご確認ください。

 

 

国内源泉所得とは

国内源泉所得とは、簡単に言うとその所得が生じた場所や原因が日本国内にある所得のことをいいます。

国際課税において、その所得が日本国内の所得(国内源泉所得)なのか、それとも国外の所得なのかを分けることは重要です。

なぜかというと、
居住者や内国法人については、日本国内だけでなく国外で稼いだ所得についても全て課税されるのが原則になっているのに対して、
非居住者や外国法人については、国内源泉所得のみに課税されるからです。

 

 

国内源泉所得の種類

国内源泉所得には下記のような種類があります。

国内源泉所得の種類
1 事業または資産からの所得 国内で行う事業からの所得。国内にある資産の保有、運用、譲渡による所得
2 組合契約などによる分配金 国内において組合契約等にもとづいて行う事業からの利益で、その組合契約にもとづいて配分を受けるもののうち一定のもの
3 不動産の譲渡 国内にある土地や建物などの譲渡による対価
4 人的役務の提供事業 国内で行う人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供の対価。例えば、芸能人や運動家、弁護士や公認会計士など自由職業者、科学技術や経営管理等の専門的知識や技能を持つ人などの役務を提供が該当します。
5 不動産の貸付け 国内にある不動産などの貸付けの対価
6 預金利子 日本国債、地方債、内国法人の社債利子、国内の営業所に預けられた預貯金の利子など
7 配当 内国法人から受ける剰余金の配当など
8 貸付金の利子 国内で業務を行う者に対する貸付金の利子で国内業務に係るもの
9 使用料 国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料、工場所有権等の譲渡の対価、著作権の使用料、著作権の譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るものなど
10 給与 給与、賞与、人的役務の提供に対する報酬のうち、国内勤務や国内での人的役務の提供によるもの、公的年金、退職手当等のうち居住者期間に行った勤務等によるもの
11 広告宣伝の賞金 国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品
12 年金 国内にある営業所等を通じて締結した保険契約等にもとづく年金等
13 給付補てん金 国内にある営業所などが受け入れた定期積金の給付補てん金等
14 匿名組合などによる分配金 国内で事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約などにもとづいて受け取る利益の分配

(1)は源泉徴収の対象外です。
(2)~(14)については源泉徴収の対象となります。
上記の国内源泉所得の課税方法は、その種類や恒久的施設(PE)の有無によって異なります。また、租税条約によってこれらの国内源泉所得について異なる定めがある場合は、租税条約に従います。

 

 

おわりに

国際課税につきましては、下のトピックも参照ください。

 

国際課税は、大半の税理士が苦手としている分野です。「国際課税」という名称だけは聞いたことがあるけど中身については全然分からない、という税理士も珍しくありません。当税理士法人においても、基本的な国際課税には対応しておりますが、複雑な問題については大手会計事務所を紹介させていただいております。

 

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。