はじめに
こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。
株式会社など会社設立したら、色んな書類を税務署や役所に提出する必要があります。これらの書類を作成することはそれほど難しくありません。しかし、初めて書く場合は戸惑ってしまう部分がけっこうあります。
公認会計士・税理士として、港区、渋谷区、新宿区など東京23区の起業家様をサポートしてきた経験をもとに、会社設立したら提出しなければいけない書類について、具体的な書き方をお伝えしたいと思います。
今回は、税務署に提出する「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」(法人の場合)の書き方について説明します。
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」以外の提出書類につきましては、「会社設立後に提出する書類一覧(税金関係)」を参照ください。
源泉所得税の納期の特例については、
「源泉所得税と復興特別所得税の納期の特例とは」
を参照ください。
フリーランス・個人事業主の方が「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する場合の記載例については、
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」(税務署)書き方記載例-フリーランス・個人事業主
を参照ください。
法人が税務署に提出する「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」とは
源泉所得税は、徴収した日(給与などを支払った日)の翌月10日が納付の期限になっています。
しかし、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出すれば、源泉所得税を年2回にまとめて納付できるようになります。
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出できる法人
源泉徴収義務者になっている株式会社などの法人のうち、給与を支払う人員が常時9人以下の場合で、源泉所得税の納期の特例の適用を受けようとする方が、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することになります。
この常時9人以下には、会社の代表である自分に給料(役員報酬)を支払う場合は、その人数に含めます。
自分以外の会社役員や従業員、パート、アルバイトなどがいない法人の場合でも、会社の代表である自分に給料を支払っている場合は、源泉徴収義務者に該当するので、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することができます。
自分以外の会社役員や従業員、パート、アルバイトなどがいない法人で、会社の代表である自分にも給料を支払っていない場合は、そもそも源泉徴収義務者に該当しないので、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する必要はありません。
自分を含めて、会社役員や従業員、パート、アルバイトなど常時10人以上に給料を支払っている法人は納期の特例を受けることができません。
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の提出期限
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出期限は決まっていません。
源泉徴収の納期の特例を受けたいと思ったときに提出することになります。
提出するときは、いつから納期の特例が適用されるかには注意してください。
原則として、提出した日の翌月に支払う給与などから納期の特例が適用されます。提出した月に支払う給与などにはまだ適用されません。
例えば8月1日に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出した場合は、8月に源泉徴収して9月10日までに納付する分にはまだ適用されません。9月に源泉徴収して10月10日に納付する分から納期の特例が適用されて翌年1月20日の納付になります。間違えやすいポイントなので注意してくださいね。
受付印を押してもらって控えに
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出するときは、同じ記載内容のものを2部用意してください。
そして、1部を税務署に提出して、もう1部には税務署の受付印をもらって持ち帰りましょう。郵送の場合も2部提出して、受付印を下さいとのメモ書きと返信用封筒と切手を入れておけば受付印済みのものが返送されてきます。
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」に限らず、税務署に書類を提出するときは、2部用意して、1部に受付印をもらって控えにして保管しておくといいですよ。
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の用紙
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の用紙は、国税庁HPにPDFファイルがあるので印刷して使って下さい。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/pdf2/205.pdf
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の具体的な書き方、記載例
株式会社など法人の方が税務署に提出する「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の具体的な書き方、記載例は下記のようになります。
https://www.integrity.or.jp/wp-content/uploads/2014/06/afefb756d2b1bdaf145ebfbd35452496.pdf
① 提出年月日
税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する日を、和暦で書きます。
② ○○税務署長殿
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する税務署名を記載します。
提出先の税務署は、給与支払事務所の所在地を管轄する税務署になります。基本的には会社の所在地を管轄する税務署と同じ税務署になると思います。
東京都区内には複数の税務署がある場合があるがあるので注意してください。
ちなみに、
- 港区には、麻布税務署と芝税務署があります。
- 渋谷区には、渋谷税務署だけです。
- 新宿区には、新宿税務署と四谷税務署があります。
所轄の税務署が分からない場合は、「住所 税務署 所轄」で検索してみてください。
③ ※整理番号
記載不要です。
④ 氏名又は名称
法人名を書きます。フリガナも忘れずに書いてください。
法人名は略称などではなく、登記してある法人の正式名称で書いてくださいね。
⑤ 住所又は本店所在地
法人の本店の所在地を書きます。登記してあるとおりの住所を書いてください。
電話番号も忘れずに書きます。固定電話がない場合は携帯電話番号でも構いません。
⑥ 代表者氏名
会社の代表者の氏名を書きます。フリガナも忘れずに書いてください。
法人実印(会社代表者の印、株式会社なら「代表取締役印」と書かれているもの)を押印します。
⑦ 給与支払事務所等の所在地
⑤に書いた会社の住所と、給与支払事務所の住所が同じ場合は空欄になります。
⑤に書いた会社の住所と、給与支払事務所の住所が異なる場合は、給与支払事務所の住所と電話番号を書きます。
⑧ 申請の日前6か月間の各月末の給与の支払を受ける者の人員及び各月の支給金額
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する日の前6ヶ月の各月の月末の人員数と各月の給与の支給金額を書きます。
会社の代表である自分に給料(役員報酬)を支払っている場合、「支給人員」と「支給金額」に含めてください。
アルバイトなど臨時の人員がいる場合は「支給人員」欄の外の右に、臨時の人員への支給金額を「支給額」欄の外の右に外書きで書いてください。外書きなので臨時ではない通常の人員の人数と支給額には含めません。
なお、株式会社など法人の設立に合わせて「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する場合は、支給実績がないので、空欄になります。
支給実績が6ヶ月ない場合は、あるだけの月数でかまいません。
⑨⑩ 現に国税の滞納が~
基本的に空欄になると思います。
現に国税の滞納があり又は最近において著しい納付遅延の事実がある場合で、それがやむを得ない理由によるものであるときは、その理由の詳細を書きます。
もしこの事実に該当する場合は、税理士に相談して記載内容を検討してください。
⑪ 税理士署名押印
税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する段階で、関与税理士、顧問税理士が決まっているなどで、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税理士に作成してもらった場合は、その税理士に署名と押印をしてもらいます。
「署名」とあるので、税理士本人の自筆になります。
⑫ ※税務署処理欄
税務署が処理のために使う欄であるため、空欄のままにしてください。
会社設立後の提出書類一覧
会社設立後に提出する書類の一覧を表でまとめました。
書類名 | 提出先 | 詳しい内容や記載例のリンク先 |
法人設立届出書 | 税務署 | 「法人設立届出書」(税務署)書き方記載例-会社設立-法人 |
法人設立届出書 | 都道府県税事務所市町村役場 | 「法人設立届出書」(都道府県税事務所)書き方記載例(東京都)-会社設立-法人 |
減価償却資産の償却方法の届出書 | 税務署 | 「減価償却資産の償却方法の届出書」(税務署)書き方記載例-会社設立-法人 |
棚卸資産の評価方法の届出書 | 税務署 | 「棚卸資産の評価方法の届出書」(税務署)書き方記載例-会社設立-法人 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 「給与支払事務所等の開設届出書」(税務署)書き方記載例-会社設立-法人 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 税務署 | 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」(税務署)書き方記載例-会社設立-法人 |
青色申告の承認申請書 | 税務署 | 法人税の「青色申告の承認申請書」(税務署)書き方記載例-会社設立-法人 |
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ |
おわりに
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を自分で書いて税務署に提出するのも良いですが、株式会社など法人の方が、自分を含む誰かに給料や報酬を支払うようになったら、ぜひ税理士に相談してみてください。
源泉所得税は、代表である自分に支払う給料、自分のところの従業員などに支払う給与以外にも、外の個人に報酬を支払ったときなどにも徴収しなければいけません。他にも源泉所得税には細かいポイントがたくさんあります。
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最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。