節税目線の資本金の決め方-3-1億円以下

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

資本金の額はいくらになっていますか?通常は少ない資本金から会社をスタートして、会社の規模に応じて、自己資本比率などを考えながら増資をしていくことになると思います。しかし、単に体面が良い、金融機関のススメで、などの理由から、会社の規模に比べて資本金の額を高めに設定している場合も少なくありません。そのことで余分に税金を払っている可能性があります。

今回は、節税目線の資本金設定のステップ3として、資本金1億円以下の場合のメリットについて解説したいと思います。

 

資本金が1億円以下の会社には税金メリットがいっぱい

節税目線で考えると、資本金が1億円以下か、それとも1億円を超えるかは非常に大きな差があります。
資本金が1億円以下だと、税法上の中小企業者に該当して、いろいろな税金の優遇措置を受けることができて節税になるためです。そのいくつかを紹介します。

 

法人税の税率の軽減される

法人税率の特例として、中小企業者の所得のうち年800万円以下の部分については、法人税の税率が25.5%から19%(平成27年3月31日までに開始される事業年度については15%)に軽減されます。

資本金1億円以下の法人の所得のうち800万円の部分にかかる法人税
800万円×19%=152万円

資本金1億円超の法人の所得のうち800万円の部分にかかる法人税
800万円×25.5%=204万円

最大で52万円の節税になります。
800万円×(25.5%-19%)=52万円

 

一定額まで交際費を経費にできる

法人の交際費は基本的に経費(損金)にできませんが、資本金が1億円以下の法人の場合は、交際費の定額控除限度額まで経費にすることができます。

資本金1億円以下の法人
交際費のうち年間800万円まで経費にできます。

資本金1億円超の法人
交際費は経費にできません。

 

機械や設備など30万円までの資産を経費にできる

通常は、機械や設備などの減価償却資産を買った場合は、減価償却費として数年かけて経費(損金)になりますが、資本金1億円以下の法人が30万円未満の減価償却資産を買って事業に使った場合、一定の要件のもと、その取得価額の全額を1年で経費(損金)にすることができます。

 

資本金が1億円以下の法人が受けることができるその他の税金の優遇処置

資本金が1億円以下の法人が受けることができる税金の優遇処置は上記以外にも、例えば下記のようなものがあります。

  • 法人事業税の外形標準課税の対象から外れる
  • 法人住民税の均等割額が安くなる
  • 欠損金の繰戻還付の制度を利用できる
  • 資本金1億円未満の場合は、国税局の管轄から外れて税務署の管轄になる
  • さまざまな税額控除を受けることができる

 

資本金が5億円以上になると(補足)

資本金が5億円以上になると、会社法の第2条6号にある大会社になります。大会社になると社会的影響も大きくなることが想定されるので、様々な規制を受けることになります。
例えば、公認会計士の監査を受けなければなりません。

 

おわりに

資本金が1億円なんて、まだまだ先の話だと思っている方も多いと思います。自己資金だけでは確かに時間がかかるかもしれません。しかし、あなたの事業の将来性が認められ、ファンドやベンチャーキャピタルなど外部から出資を受けることになれば、あっという間に資本金は膨れてしまうものです。なお、外部からの出資については、資本政策上の問題が多くあります。大半の税理士が苦手とするファイナンスの問題です。節税よりも非常に重要な問題なので、あらためて解説させて頂きます。

資本金に関しては、下記も合わせて参照ください。
節税目線の資本金の決め方-1-1,000万円未満
節税目線の資本金の決め方-2-3,000万円以下

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。