アーカイブ: 2015年2月

財産及び債務の明細書を提出しない場合の罰則 | 財産及び債務の明細書-4

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金や節税、確定申告などについて解説します。

 

平成27年度の税制改正において、所得税や相続税の申告の適正性を確保する観点から、「財産及び債務の明細書」を見直し、一定の基準を満たす方に対して、その方が保有する財産と債務についての調書の提出を求める「財産債務調書」の提出制度が創設されました。

平成26年分までは「財産及び債務の明細書」でしたが、
平成27年分からは「財産債務調書」になります。
財産債務調書についてはこちら
財産債務調書とは | 財産債務調書-1

 

下記内容は平成26年分までにかかる「財産及び債務の明細書」についての記載になりますのでご注意ください。

 

今回は、平成26年分の所得が2,000万円を超える方が平成26年分の確定申告に合わせて提出しなければならない「財産及び債務の明細書」を提出しない場合の罰則について説明します。

 

「財産及び債務の明細書」の概要については下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書の概要 | 財産及び債務の明細書-1

どんな財産や債務を「財産及び債務の明細書」に記載しなければならないのかについては下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書に記載する財産と債務の種類 | 財産及び債務の明細書-2

「財産及び債務の明細書」の具体的な書き方・記載例については下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書の書き方・記載例 | 財産及び債務の明細書-3

 

 

「財産及び債務の明細書」を提出しない場合の罰則

「財産及び債務の明細書」を提出しなくても、実は直接的な罰則やペナルティはありません。

 

所得税法の第232条(財産債務明細書の提出)には、下記のように規定されています。
「・・・その年分の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2千万円をこえる場合には、・・・有する財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した明細書を、当該申告書の提出の際、税務署長に提出しなければならない。」

このように、「財産及び債務の明細書」を提出しなければならない、という規定はあるのですが、提出しない場合の罰則については規定されていないのです。

 

なお、「国外財産調書」については提出しないと罰則があるので注意してください。

 

 

「財産及び債務の明細書」を提出しないとどうなるのか

罰則やペナルティがないのであれば、わざわざ「財産及び債務の明細書」を提出して、税務署に資産内容を教えたくない、と考える方もいると思います。

 

「財産及び債務の明細書」を提出しないと、税務署から提出を促す手紙が送られてきたり、電話がかかってきて提出をお願いされます。

税務署から督促されても、なお「財産及び債務の明細書」を提出しなかったら、税務署はどう思うでしょうか。
こんなに督促したのに提出しないなんて怪しい、要注意リストに入れておこう、税務調査に入ってみよう、なんて考えるかもしれません。

 

このようなあらぬ疑いをかけられないよう、面倒ではありますが「財産及び債務の明細書」は提出した方がいいと思います。

 

 

税務署が「財産及び債務の明細書」を提出して欲しい理由

税務署が「財産及び債務の明細書」を提出して欲しい主な理由には次のようなものがあります。

  • 確定申告書に書いてある所得と資産内容を比較して整合性があるかチェックするため(所得に比べて資産が多すぎる場合は、贈与税を払っていないのではないか、所得をごまかしているのではないかと疑います)。
  • 富裕層の資産状況を把握して、将来の贈与税や相続税の税務調査の参考資料にするため(相続時にあるはずの資産がない場合は、相続税をごまかしているのではないかと疑います)。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

新聞・ニュース等で使われる「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」の違い

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士がビジネスや税金・節税などについて解説します。

 

今回は、新聞やニュースなどマスコミで使われる「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」の違いについて説明したいと思います。

 

 

「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」を使い分けるマスコミ

「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」、似ているようで異なるこの3つの用語を、新聞やニュースなどでたびたび見聞きすることがあると思います。

マスコミは、「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」をどのように使い分けているのでしょうか。

 

 

申告納税制度

サラリーマンや会社員など会社勤めの方の多くの場合は、会社が毎月の源泉徴収(給料からの天引き)と年末調整による精算をしてくれるので、自ら税金の金額を計算して納める必要はありません。

 

一方、自営業者やフリーランスなどの個人事業主や株式会社などの法人の場合は、所得(もうけ)などをもとに自分で税金の金額を計算して税務署に申告して税額を納める、という申告納税制度がとられています。

 

 

「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」の違い

所得税や法人税などの税金計算の基本は、「所得(もうけ) × 税率」です。
所得が多ければ税金も多くなり、所得が少なければ税金も少なくなります。

 

自分で申告して納めた税金が、税務署の税務調査によって、所得が正しく計上されておらず、本来納めるべきであった税金よりも少ないと指摘されることがあります。

 

申告漏れ

税務調査で税務署から指摘された事項が、
単なるうっかりミスや計算間違いなどが原因で、
所得と税金を少なく申告したのが”意図的ではない”
と税務署が判断した場合は、「申告漏れ」という用語が使われます。

 

「申告がうっかり漏れちゃった、わざとじゃないよ」というイメージです。

この場合に追加で納めることになる税金は、本来であれば納めるべきであった税金に加えて、ペナルティとして過少申告加算税(10~15%)や無申告加算税(15~20%)などを納めることになります。

 

 

所得隠し

税務調査で税務署から指摘された事項が、
架空の経費を計上したり売上を除外したりして、
所得と税金を少なく申告したのが”意図的である”
と税務署が判断した場合は、「所得隠し」という用語が使われます。

 

「故意に所得を隠していた」というイメージです。

この場合に追加で納めることになる税金は、本来であれば納めるべきであった税金に加えて、ペナルティとして重加算税(35~40%)などを納めることになります。

 

 

脱税

通常の税務調査は「任意調査」であり、たてまえとしては調査は任意となっています。
しかし、裁判所の令状を取って行われる「強制調査」(マルサ)というものがあります。

所得隠しのうち悪質で大規模なものと疑われる場合に、この「強制調査」が行われ、調査の結果、検察官に告発されると、新聞やニュースでは「脱税」という用語が使われることになります。

なお、脱税が確定するのは、裁判の判決が出てからになります。

 

 

おわりに

新聞やニュースで「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」という用語が出てきたら、その違いを意識してみてくださいね。

 

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

給料8.8万円未満でも源泉徴収の対象になる場合あるのでご注意

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士がビジネスや税金・節税などについて解説します。

 

今回は、お給料が月額88,000円未満であっても源泉徴収の対象になってしまう場合について説明したいと思います。

 

 

源泉徴収の対象

正社員、パート・アルバイトなどの雇用形態は問わず、扶養控除等申告書を提出してもらっている人に支払う毎月のお給料が88,000円未満の場合は、源泉徴収(所得税の給料天引き)をする必要がありません。

 

裏を返せば、扶養控除等申告書を提出してもらっていない場合は、たとえ毎月のお給料が88,000円未満であっても、お給料の3.063%(所得税+復興特別所得税)を源泉徴収しなければいけないのです。

 

 

扶養控除等申告書を提出してもらいましょう

労働時間の短い学生のアルバイトや、年収103万円の壁を超えないようにしている主婦パート、個人事業主が配偶者に支払う青色事業専従者給与を毎月8万円に設定している場合など、毎月のお給料が88,000円未満になる人は少なくありません。

年収103万円の壁については、下記ページを参照ください。
配偶者控除、配偶者特別控除とは?2-いろんな壁があります

 

正社員の方からは毎年扶養控除等申告書を提出してもらっていても、パートやアルバイトの方からは扶養控除等申告書を提出してもらっていない会社さん、青色事業専従者である配偶者から扶養控除等申告書を提出してもらっていない個人事業主の方がけっこういらっしゃいます。

扶養控除等申告書を事業主へ提出する期限は、毎年その年の最初のお給料の支払日までです。正社員だけでなく、パート・アルバイト、青色事業専従者の方からも毎年忘れずに扶養控除等申告書を提出してもらってください。

 

 

扶養控除等申告書の提出がないとどうなるのか

税務調査では、法人税や所得税の調査に合わせて、源泉所得税の調査も行われ、扶養控除等申告書の提出状況や年末調整の計算などがチェックされます。

そして、税務調査によって、扶養控除等申告書の提出がないのにもかかわらず、源泉徴収を行っていなかったことが発見されることがあります。

 

パートやアルバイトの方から扶養控除等申告書を提出してもらっていない場合は、最低でも給料の3.063%の所得税を源泉徴収して、源泉徴収した所得税をパート・アルバイトの方に代わって税務署に納めなければなりません。

その本来であれば納める必要があった源泉所得税を納めていなかったので、給料を支払う側が納めることになります。

 

所得税は給料を受け取るパート・アルバイトの方が負担する税金であって、お給料を支払う側は給料から天引きして税務署に納めるにすぎません。

よって、税務調査の結果、納めることになった源泉所得税も、パート・アルバイトの方が負担する税金です。給料を支払う側が納めた源泉所得税は、パート・アルバイトの方の代わりに立て替えたに過ぎません。

 

しかし、立て替え払いした源泉所得税をパート・アルバイトの方に請求できなければ、結局は給料を支払う側が負担することになってしまうので注意してください。

 

 

おわりに

正社員、パート・アルバイト、青色事業専従者などは問わず、給料を支払うことになったら、扶養控除等申告書を提出してもらってくださいね。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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