アーカイブ: 2015年1月

オプション取引-1-オプション取引とは | デリバティブの基礎-4

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区・渋谷区・新宿区など東京都23区のベンチャー企業やスタートアップ起業を支援する公認会計士・税理士が、金融・ファイナンスについて解説します。

今回は、デリバティブの基礎として、デリバティブの代表的な取引のひとつであるオプション取引について説明したいと思います。

 

 

デリバティブとは

デリバティブとは、株式や債券、金利、為替、コモディティ(穀物や金属、非鉄金属といった商品)などから”派生”した取引のことで、日本語では金融派生商品ともいわれます。デリバティブを一言で言うと、将来に行う取引を現時点で予約する取引です。

デリバティブの概要については下記ページを参照ください。
デリバティブとは | デリバティブの基礎-1

デリバティブ取引の代表的な取引には、今回ご説明するオプション取引以外にも、先物取引とスワップ取引がございます。それらについては下記ページを参照ください。
先物取引とは | デリバティブの基礎-2
スワップ取引とは | デリバティブの基礎-3

 

このデリバティブの代表的な取引として、今回ご説明するオプション取引があります。

 

 

オプション取引とは

オプションという言葉には皆さんも馴染みがあるのではないでしょうか。

例えば、携帯電話の契約には様々なオプション契約を付けることができますし、パックツアーの旅行に追加でオプションツアーを申し込んだりするといったことがありますね。このようにオプションサービスは、付ける付けないを自由に選ぶことができます。

 

オプション(option)という英単語には、「選択、選択権」といった意味があります。

 

デリバティブのオプション取引とは、
ある金融商品(為替や株式など)を、
あらかじめ決めた将来の期日に(または、あらかじめ決めた将来の期日”まで”に)、
あらかじめ決めた価格で、
買う「権利」(または、売る「権利」)を
売買する取引をいいます。

 

予約申し込みには手数料がかかるけど、キャンセルすることができる予約取引をイメージしてください。

 

 

原資産

オプション取引の対象になる為替や株式などの金融商品のことを原資産といいます。

 

 

満期日

オプション取引で、あらかじめ決めた将来の期日のことを満期日といいます。

  • 満期日だけに限って権利を行使することができるオプション取引をヨーロピアンオプションといいます。
  • 満期日だけに限らず、満期日までならいつでも権利を行使することができるオプション取引をアメリカンオプションといいます。

 

 

権利行使価格

オプション取引において、あらかじめ決めた価格のことを権利行使価格といいます。

 

 

コールオプションとプットオプション

オプション取引には、買う権利と売る権利の2種類があります。

  • 買う権利のことをコールオプションといいます。
  • 売る権利のことをプットオプションといいます。

 

 

オプションの売買

オプション取引において、売買するものは「買う権利または売る権利」です。

売り買いという言葉が続いてややこしくなるので整理すると

  • コールオプションの買いとは、「買う権利」を買うことをいいます。
  • コールオプションの売りとは、「買う権利」を売ることをいいます。
  • プットオプションの買いとは、「売る権利」を買うことをいいます。
  • プットオプションの売りとは、「売る権利」を売ることをいいます。

 

この「権利」は無料ではありません。旅行のオプションツアーと同様に有料になります。この「権利」の価格をオプション料(プレミアム)といいます。「権利」を買った人は、「権利」を売った人にオプション料を支払います。

 

「権利」を買った人は、その「権利」を行使するか行使しないかを自由に選ぶことができます。
「権利」を売った人は、「権利」を買った人がその「権利」を行使した場合は、権利行使価格で売買に必ず応じなければなりません。

 

 

オプション取引とは-2 | デリバティブの基礎-5 に続きます。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で公認会計士や税理士をお探しの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、石橋を叩いて渡る役として本業の事業による持続可能な成長をご支援します。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

財産及び債務の明細書の概要 | 財産及び債務の明細書-1

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金や節税、確定申告などについて解説します。

 

平成27年度の税制改正において、所得税や相続税の申告の適正性を確保する観点から、「財産及び債務の明細書」を見直し、一定の基準を満たす方に対して、その方が保有する財産と債務についての調書の提出を求める「財産債務調書」の提出制度が創設されました。

平成26年分までは「財産及び債務の明細書」でしたが、
平成27年分からは「財産債務調書」になります。
財産債務調書についてはこちら
財産債務調書とは | 財産債務調書-1

 

下記内容は平成26年分までにかかる「財産及び債務の明細書」についての記載になりますのでご注意ください。

 

今回は、平成26年分までの所得が2,000万円を超える方が平成26年分の確定申告に合わせて提出しなければならない「財産及び債務の明細書」の概要について説明します。

どんな財産や債務を「財産及び債務の明細書」に記載しなければならないのかについては下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書に記載する財産と債務の種類 | 財産及び債務の明細書-2

「財産及び債務の明細書」の具体的な書き方・記載例については下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書の書き方・記載例 | 財産及び債務の明細書-3

「財産及び債務の明細書」を提出しないとどうなるかについては下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書を提出しない場合の罰則 | 財産及び債務の明細書-4

 

 

「財産及び債務の明細書」とは

「財産及び債務の明細書」とは、
その年の12月31日時点における財産や債務についてその種類や金額を記載して、確定申告書と合わせて税務署に提出する書類です。

 

 

「財産及び債務の明細書」を提出しなければならない方

その年の各種の所得金額の合計額が2,000万円を超える方は、確定申告書と合わせて「財産及び債務の明細書」を提出しなければなりません。

なお、上記の所得金額には次の所得は含まれません。

  • 源泉分離課税の所得(預貯金の利子など)
  • 退職所得(退職金など)
  • 源泉徴収を選択した特定口座内保管上場株式等の譲渡所得のうち確定申告をしないことを選択したもの
  • 内国法人から支払いを受ける一定の上場株式等の配当のうち確定申告をしないことを選択したもの
  • 少額な配当所得のうち確定申告をしないことを選択したもの

 

所得金額の合計額が2,000万円を超えると見込まれる方に対して、税務署から「財産及び債務の明細書」が送られてきます。所得金額の合計額が2,000万円を超えたならば、確定申告書と合わせて「財産及び債務の明細書」を提出します。所得金額の合計額が2,000万円以下であれば、税務署から「財産及び債務の明細書」が送られてきても、提出する必要はありません。

 

税務署から「財産及び債務の明細書」が送られてこなくても、所得金額の合計額が2,000万円を超えたならば、確定申告書と合わせて「財産及び債務の明細書」を提出しなければなりません。

 

会社からのお給料しか所得がない方であっても、給与所得が2,000万円(年収や給与額面ではなく、様々な控除を差し引いた後の所得になります)を超えていれば、確定申告とともに「財産及び債務の明細書」を提出しなければなりません。
なお、ひとつの会社から給料をもらっている方のうち、確定申告が必要な方は、給与の年間収入額(給与所得ではなく給与額面になります)が2,000万円を超える方になります。

 

 

国外財産調書との関係

確定申告書を提出する際に「財産及び債務の明細書」の提出が必要な方で、その年の12月31日時点で5,000万円を超える国外財産を持っている人は、「財産及び債務の明細書」だけでなく「国外財産調書」も提出して、国外財産の内容を申告する必要があります。

国外財産調書制度の概要については下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産がある人は申告が必要 | 国外財産調書制度-1

 

「財産及び債務の明細書」には国内財産と国外財産の両方を記載する必要がありますが、「国外財産調書」に記載した国外財産については、「財産及び債務の明細書」に記載しなくてもかまいません。「財産及び債務の明細書」の一番下にある備考欄に「国外財産については、国外財産調書に記載のとおり。」と記載してください。

なお、「国外財産調書」には国外財産を記載するだけで、国外債務は記載しません。
そのため、国外債務については「財産及び債務の明細書」に記載することになります。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

どのような有価証券や預貯金が国外財産になるのか | 国外財産調書制度-3

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金や節税について解説します。

 

非永住者以外の居住者で、その年の12月31日時点で5,000万円を超える国外財産を持っている人は、税務署に国外財産調書を提出して申告する必要があります。

国外財産調書制度の概要については下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産がある人は申告が必要 | 国外財産調書制度-1
国外財産調書を提出しない場合の罰則などについては下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産の申告にかかる罰則 | 国外財産調書制度-2

 

今回は、この国外財産調書についてどのような有価証券や預貯金が国外財産調書に記載する対象になるのかについて説明します。

 

国外財産調書の対象になる有価証券

有価証券等(社債や株式など)が国外財産調書の対象になるかどうかは、
金融商品取引業者等(銀行や証券会社、保険会社など)の口座にある有価証券等については、
その口座が開設された金融商品取引業者等の営業所等がある場所がどこかによって判定されます。

 

有価証券等の判定を整理すると下表のようになります。

国内有価証券等 外国有価証券等
国内金融機関の口座で管理 国外財産調書の対象外 国外財産調書の対象外
国外金融機関の口座で管理 国外財産調書の対象 国外財産調書の対象
上記以外で管理 国外財産調書の対象外 国外財産調書の対象

 

 

「国内有価証券等」とは、本社(本店又は主たる事務所)が日本国内にある法人が発行する有価証券をいいます。
「外国有価証券等」とは、本社(本店又は主たる事務所)が日本国外にある法人が発行する有価証券をいいます。
「国内金融機関の口座」とは、国内にある金融商品取引業者等の営業所等に開設した口座をいいます。
「国外金融機関の口座」とは、国外にある金融商品取引業者等の営業所等に開設した口座をいいます。
「上記以外で管理」とは、例えば金融機関でない者に預けたり、家のタンスの中で管理しているようなものが該当します。

 

国内有価証券等であっても、国外金融機関の口座で管理しているものは、国外財産調書の対象になる国外財産に該当するので注意してください。

逆に、外国有価証券等であっても、国内金融機関の口座で管理しているものは、国外財産調書の対象になる国外財産には該当しません。

 

金融機関の口座にある有価証券等が国外財産に該当するかどうかは、「何を持っているか」ではなく「どこで持っているか(管理しているか)」で判定することになります。

 

 

国外財産調書の対象になる預貯金

預貯金が国外財産調書の対象になるかどうかは、
その預貯金を預け入れている金融機関の営業所や事業所がある場所がどこかによって判定されます。
円建ての預貯金、外貨建ての預貯金かどうかでは判定されません。

 

例えば、
外国の銀行の日本国内にある支店に開設した口座に預け入れている外貨預金は、国外財産調書の対象にはなりません。
日本の銀行の海外にある支店に開設した口座に預け入れている円建て預金は、国外財産調書の対象になります。

 

金融機関の口座に預け入れている預貯金が国外財産に該当するかどうかは、「円建て、外貨建て」ではなく、「どこに預け入れいているか」で判定することになります。

 

 

おわりに

有価証券等や預貯金の国外財産の判定は少しややこしいですよね。繰り返しになりますが、「何を持っているか」ではなく、「どこで持っているか」で判定して下さい。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

5,000万円超の海外資産の申告にかかる罰則 | 国外財産調書制度-2

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金や節税について解説します。

 

非永住者以外の居住者で、その年の12月31日時点で5,000万円を超える国外財産を持っている人は、税務署に国外財産調書を提出して申告する必要があります。

国外財産調書制度の概要については下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産がある人は申告が必要 | 国外財産調書制度-1

 

今回は、この国外財産調書を提出しない場合などに受ける5,000万円超の海外資産の申告にかかる罰則について説明します。

 

 

国外財産調書を期限内に提出した場合のメリット

国外財産調書を期限内に提出した場合は、次のようなメリット・インセンティブがあります。

 

国外財産調書を期限内に提出した場合は、
国外財産調書に記載されている国外財産についての所得税・復興特別所得税・相続税の申告漏れがあったときであっても、
その国外財産についての申告漏れにかかる部分の過少申告加算税・無申告加算税が5%減額されます。

 

過少申告加算税や無申告加算税について下記ページを参照ください。
附帯税-過少申告、無申告、延滞などのペナルティ・罰金

 

 

国外財産調書を期限内に提出しなかった場合のデメリット

国外財産調書を期限内に提出しなかった場合は、次のようなデメリット・ペナルティがあります。

 

国外財産調書を期限内に提出しなかった場合は、
その国外財産についての所得税・復興特別所得税の申告漏れがあったときは、その国外財産についての申告漏れにかかる部分の過少申告加算税・無申告加算税が5%加重されます。
( 相続税及びお亡くなりになった方の所得税・復興特別所得税については、過少申告加算税・無申告加算税の5%加重はありません。)

 

 

過少申告加算税や無申告加算税について下記ページを参照ください。
附帯税-過少申告、無申告、延滞などのペナルティ・罰金

 

 

期限内に提出した国外財産調書の記載が不十分の場合のデメリット

国外財産調書を期限内に提出した場合であっても、
提出された国外財産調書に記載しなければならない国外財産の記載がない場合や、
重要な事項の記載が不十分と認められる場合については、
上記の国外財産調書を期限内に提出しなかった場合と同様のデメリット・ペナルティがあります。

 

 

期限後に提出した国外財産調書の取り扱い

提出期限を過ぎた後に国外財産調書を提出した場合であっても、
その国外財産についての所得税・復興特別所得税・相続税について、
税務調査が入ることによって更正や決定があることを予想して提出されたものでないときは、
その提出期限を過ぎた後に提出された国外財産調書は提出期限内に提出したものとみなされます。

 

したがって、提出期限を過ぎた後に国外財産調書を提出した場合であっても、国外財産についての所得税・復興特別所得税・相続税にかかる申告漏れがあったときにおける過少申告加算税・無申告加算税の5%減額の優遇措置の適用を受けることができる場合があります。

 

税務調査が入るという連絡を受けてから慌てて国外財産調書を提出してもダメですが、税務調査が入ることを予想していない状態であるならば、提出期限が過ぎていても国外財産調書を提出すれば税金ペナルティが軽減される優遇措置を受けられる可能性があります。
うっかり提出を忘れていた人は、たとえ提出期限を過ぎていたとしても国外財産調書を提出してくださいね。

 

 

国外財産調書にかかる罰則

国外財産調書を提出しなかったり、国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合は、税金のペナルティだけでなく下記のような罰則もあります。

 

国外財産調書を提出しなかった場合の罰則

正当な理由がなく3月15日の提出期限内に国外財産調書を提出しなかった場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされています。

この罰則については、平成27年1月1日以後に提出すべき国外財産調書にかかる違反行為について適用されます。

ただし、情状により処罰する必要がないと認められるときには、刑を免除することができるとされています。

 

国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合の罰則

国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされています。

この罰則については、平成27年1月1日以後に提出すべき国外財産調書にかかる違反行為について適用されます。

なお、国外財産調書に偽りの記載をして提出した場合は、国外財産調書を提出しなかった場合のような情状による刑の免除はありません。

 

 

おわりに

国外財産調書を提出しない場合のデメリットは大きいです。国外財産調書の提出は面倒ですがメリットもありますので、該当する方は忘れずに税務署に提出して申告してくださいね。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

定期同額給与の変更 | 役員給与(報酬給料賞与ボーナス等) | 法人税

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として、港区や渋谷区、新宿区といった東京23区のベンチャー企業や若い企業を支援してきた経験から、株式会社などの法人が納める税金や節税について解説します。

今回は、役員給与(会社が役員に支払う報酬給料賞与ボーナス等)のうち、定期同額給与の改定・変更について説明したいと思います。

 

 

定期同額給与とは

役員に支払う給料は原則として会社の損金(税金計算上の経費)になりません。しかし、例外として定期同額給与に該当する場合などは、会社の損金にすることができます。

定期同額給与とは、簡単に言うと、会社から役員に対して、毎月の給料日に、変動しない固定の給料・報酬を支払うことをいいます

定期同額給与の詳細については下記ページを参照下さい。
損金にできる場合 | 役員給与(報酬給料賞与ボーナス等) | 法人税

 

定期同額給与は当該事業年度の各支給時期における支給額が同額である必要があります。
3月決算の会社で、役員に毎月50万円の定期同額給与を支給している場合ですと、その事業年度の4月から3月まで12ヶ月間は同額の50万円で1円も増減のない金額を役員に支給することになります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した定期同額給与

 

 

定期同額給与の改定・変更

定期同額給与を改定・変更する場合は、
事業年度開始から原則として3ヶ月以内に改定・変更を行って、
改定・変更前(事業年度の始まりから改定・変更のときまで)の各支給額は同額である必要があり、
改定・変更後(改定・変更のときから事業年度の終わりまで)の各支給額も同額である必要があります。

 

3月決算の会社で、役員に支給する定期同額給与が毎月50万円であったのを、6月の株主総会で、7月から毎月70万円に改定・変更した場合は、
事業年度の始まりの4月から6月までの各支給額は50万円で同額である必要があり、
改定・変更後の7月から事業年度の終わりの3月までの各支給額は70万円で同額である必要があります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した定期同額給与の改定・変更

 

 

損金にならない定期同額給与の改定・変更

定期同額給与は事業年度開始から原則として3ヶ月以内に改定・変更しなければなりません。

定期同額給与の改定・変更が
事業年度開始から3ヶ月を超える改定・変更で特別の事情がない場合、
役員の地位の変更や職務内容の大きな変更など臨時改定事由に当たらない場合、
経営の状況が著しく悪化したなどの事由に当たらない場合、
損金不算入(税金計算上の経費として認めてもらえない)になります。

 

損金不算入になる金額

改定・変更が増額の場合は、改定・変更前の金額と改定・変更後の金額の差額が損金不算入になります。
例えば3月決算の会社で、改定・変更前の金額が50万円で12月から80万円に改定・変更した場合は、120万円が損金不算入になります。
(80万円-50万円)×4ヶ月(12月~3月 改定・変更後から事業年度おわりまで)=120万円

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した定期同額給与増額の損金不算入

 

改定・変更が減額の場合も、改定・変更前の金額と改定・変更後の金額の差額が損金不算入になります。
例えば3月決算の会社で、改定・変更前の金額が50万円で11月から30万円に改定・変更した場合は、100万円が損金不算入になります。
(50万円-30万円)×7ヶ月(4月~10月 事業年度はじめから改定・変更まで)=140万円

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した定期同額給与減額の損金不算入

減額の場合の損金不算入の計算方法は理論的に考えるとしっくりこないかもしれませんね(事業年度はじめから改定・変更までの4月から10月の7ヶ月をかけるのではなく、改定・変更後から事業年度おわりまでの11月から3月の5ヶ月をかけて計算した方がスッキリしませんか?)。
減額の場合は改定・変更後の金額が正しくて改定・変更前の金額が余分に上乗せされていると税務上は考えていると理解してください。

 

 

おわりに

役員給与は、税務調査においてもチェックされる可能性が高い項目です。役員給与が損金になるか損金にならないかでは税金の金額が大きく変わってきます。役員給与の設定や改定・変更については税理士に相談することをおすすめします。

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で、法人の設立をお考えの方や会社設立して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の持続的な成長のお手伝いをさせて頂きます。

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