アーカイブ: 2015年1月

税務調査されやすい会社 法人税の不正発見割合の高い業種

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士がビジネスや税金・節税などについて解説します。

今回は、税務調査されやすい会社として、国税庁が発表する法人税の不正発見割合の高い業種について説明したいと思います。

 

 

不正発見割合の高い業種

国税庁は、法人税・法人消費税の税務調査の実績の概要として、毎年「不正発見割合の高い10業種」というものを発表しています。この発表によると、下の業種において不正が発見される割合が高いという結果になっています。

 

不正発見割合の高い10業種(法人税)
順位 平成23事務年度 平成24事務年度 平成25事務年度
1 バー・クラブ バー・クラブ バー・クラブ
2 廃棄物処理 パチンコ 自動車修理
3 パチンコ 土木工事 パチンコ
4 自動車修理 自動車修理 廃棄物処理
5 土木工事 廃棄物処理 土木工事
6 再生資源卸売 構築用金属製品製造 一般土木建築工事
7 一般土木建築工事 一般土木建築工事 職別土木建築工事
8 電気・通信工事 管工事 貨物自動車運送
9 管工事 電気・通信工事 再生資源卸売
10 書籍・雑誌販売 再生資源卸売 電気・通信工事
出展:国税庁「平成23,24,25事務年度 法人税等の調査事績の概要」

 

平成25事務年度
順位 業種 不正発見割合 不正1件あたりの不正所得金額
1 バー・クラブ 47.3% 1,473万円
2 自動車修理 29.8% 482万円
3 パチンコ 29.0% 5,373万円
4 廃棄物処理 28.4% 1,407万円
5 土木工事 28.2% 777万円
6 一般土木建築工事 27.4% 1,012万円
7 職別土木建築工事 24.7% 952万円
8 貨物自動車運送 24.3% 1,127万円
9 再生資源卸売 24.3% 1,647万円
10 電気・通信工事 23.3% 639万円
出展:国税庁「平成25事務年度 法人税等の調査事績の概要」

 

上のランキングを見てみると、いわゆる現金商売の業種が多く挙がってきています。日々の業務で現金を多く取り扱う業種では、契約書や領収書といった会計帳簿の金額を裏付ける証拠書類の整備が不十分な場合が少なくありません。そのため、間違いや不正が発生しやすい環境にあるといえます。

 

税務調査の効率を考える税務署としては、不正発見割合の高い業種に対する税務調査の優先度を上げることは想像に難くありません。

 

もちろん、不正発見割合の高い業種に所属していても、キチンと会計帳簿をつけて税金の申告をしている会社はたくさんあります。あらぬ疑いをかけられるのは不愉快であると思いますが、不正発見割合の高い業種の会社さんこそ、しっかりと顧問税理士を雇って適正な税金の申告を心がけるとともに、節税してくださいね。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

財産及び債務の明細書の書き方・記載例 | 財産及び債務の明細書-3

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金や節税、確定申告などについて解説します。

 

平成27年度の税制改正において、所得税や相続税の申告の適正性を確保する観点から、「財産及び債務の明細書」を見直し、一定の基準を満たす方に対して、その方が保有する財産と債務についての調書の提出を求める「財産債務調書」の提出制度が創設されました。

平成26年分までは「財産及び債務の明細書」でしたが、
平成27年分からは「財産債務調書」になります。
財産債務調書についてはこちら
財産債務調書とは | 財産債務調書-1

 

下記内容は平成26年分までにかかる「財産及び債務の明細書」についての記載になりますのでご注意ください。

 

今回は、平成26年分の所得が2,000万円を超える方が平成26年分の確定申告に合わせて提出しなければならない「財産及び債務の明細書」の具体的な書き方・記載例について説明します。

「財産及び債務の明細書」の概要については下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書の概要 | 財産及び債務の明細書-1

どんな財産や債務を「財産及び債務の明細書」に記載しなければならないのかについては下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書に記載する財産と債務の種類 | 財産及び債務の明細書-2

「財産及び債務の明細書」を提出しないとどうなるかについては下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書を提出しない場合の罰則 | 財産及び債務の明細書-4

 

 

財産及び債務の明細書の書き方・記載例

「財産及び債務の明細書」の具体的な書き方・記載例は下記のようになります。

https://www.integrity.or.jp/wp-content/uploads/2014/12/2ec7b12d108a2fe4007bdd0941e6ef9b.pdf

 

 

財産は、財産の種類・細目ごとに記載して、同一の種類で複数の細目がある場合は小計も記載します。そして財産の合計金額を「計(A)」に記載します。
債務も、債務の種類・細目ごとに記載して、同一の種類で複数の細目がある場合は小計も記載します。そして債務の合計金額を「計(B)」に記載します。

「差引計(A) – (B)」に上記の「計(A)」から「計(B)」を差し引いた金額を記載します。

 

備考欄には、税務署に説明しておきたい事項などを記載しますが基本的に空欄で構いません。

税務署に「財産及び債務の明細書」を提出するときは、控えをとっておいてください。

前年も「財産及び債務の明細書」を提出した方について、前年の「財産及び債務の明細書」に記載した財産や債務のうち、本年も異動がない財産や債務については、前年の「財産及び債務の明細書」に記載した金額をそのまま書いて下さい。

 

 

土地

「財産又は債務の種類」の欄には、土地を「宅地」「田畑地」「林地」「その他」に区分して記載します。

「財産又は債務の細目」の欄には、上記のように区分した土地について、さらに「自家用」と「貸地」に区分して記載します。そしてそれぞれの土地について、所在地、筆数、面積を記載します。

「財産の価額又は債務の金額」の欄には、それぞれの土地について、その年の12月31日現在の見積価額を記載します。見積価額が分からない土地については次の金額を記載しても構いません。

  1. 最近有償で取得した土地については、その購入したときの取得価額
  2. 1以外の土地については、その年分の固定資産税の課税標準額

 

 

建物

「財産又は債務の種類」の欄には、建物を「住宅」「店舗」「工場」「その他」に区分して記載します。

「財産又は債務の細目」の欄には、上記のように区分した建物について、さらに「自家用」と「貸家」に区分して記載します。そしてそれぞれの建物について、所在地、戸数、床面積を記載します。

「財産の価額又は債務の金額」の欄には、それぞれの建物について、その年の12月31日現在の見積価額を記載します。見積価額が分からない建物については次の金額を記載しても構いません。

  1. 最近有償で取得した建物については、その購入したときの取得価額
  2. 1以外の建物については、その年分の固定資産税の課税標準額

 

 

現金

現金については、
「財産又は債務の種類」の欄に「現金」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は空欄、
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の現金残高を記載します。

 

 

預貯金

預貯金については、
「財産又は債務の種類」の欄に「預貯金」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は空欄、
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の預貯金残高を記載します。

口座ごと細かく記載する必要はありませんので、預貯金の合計金額を記載してください。

 

 

有価証券

「財産又は債務の種類」の欄には、有価証券を次のように区分して記載します。

  • 株式(投資口、私募公社債等運用投資信託の受益権、社債的受益権を含む)
  • 投資信託
  • 公社債
  • 貸付信託
  • 特定受益証券発行信託

「財産又は債務の細目」の欄には、上記のように区分した有価証券ごとに、その株数や口数を記載します。

「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の価額を記載します。
市場価格がない場合は、取得価額(購入した時の金額)を記載してください。

なお、銘柄別に細かく記載する必要はありません。

 

 

貸付金

貸付金については、
「財産又は債務の種類」の欄に「貸付金」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は空欄、
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の貸付金の合計残高を記載します。

貸付先別に細かく記載する必要はありません。

 

 

未収入金

未収入金については、
「財産又は債務の種類」の欄に「未収入金」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は空欄、
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の未収入金の合計残高を記載します。

未収入金がある相手先別に細かく記載する必要はありません。

 

 

受取手形

受取手形については、
「財産又は債務の種類」の欄に「受取手形」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は空欄、
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の受取手形の合計残高を記載します。

受取手形の相手先別に細かく記載する必要はありません。

 

 

書画骨とう

書画骨とうについては、1点が10万円以上のものを記載します。

「財産又は債務の種類」の欄に「書画骨とう」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は、1点が10万円以上の書画骨とうの数
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の書画こっとうの見積価格の合計残高を記載します。最近有償で取得したものについては、取得価額(購入金額)を記載しても構いません。

書画骨とうを1点1点細かく記載する必要はありません。

 

 

美術工芸品

美術工芸品については、1点が10万円以上のものを記載します。

「財産又は債務の種類」の欄に「美術工芸品」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は、1点が10万円以上の美術工芸品の数
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の美術工芸品の見積価格の合計残高を記載します。最近有償で取得したものについては、取得価額(購入金額)を記載しても構いません。

美術工芸品を1点1点細かく記載する必要はありません。

 

 

貴金属類

貴金属類については、1点が10万円以上のものを記載します。

「財産又は債務の種類」の欄に「貴金属類」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は、1点が10万円以上の貴金属類の数
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の貴金属類の見積価格の合計残高を記載します。最近有償で取得したものについては、取得価額(購入金額)を記載しても構いません。

貴金属類を1点1点細かく記載する必要はありません。

 

 

家庭用動産

家庭用動産とは、書画骨とう・美術工芸品・貴金属類以外の、自動車や家具などの動産をいいます。
家庭用動産については、1個又は1組の価額が10万円以上のものを記載します。

「財産又は債務の種類」の欄に「家庭用動産」と記載して、
「財産又は債務の細目」の欄は空欄
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の家庭用動産の見積価格の合計残高を記載します。最近有償で取得したものについては、取得価額(購入金額)を記載しても構いません。

家庭用動産を1点1点細かく記載する必要はありません。

 

 

その他の財産

その他の財産については、1件10万円以上のものを記載します。

「財産又は債務の種類」の欄には、「その他の財産」と記載します。
「財産又は債務の細目」の欄には、例えば「ゴルフ会員権」「出資金」「賃借権」など、その他の財産を種類別に記載します
「財産の価額又は債務の金額」の欄には、その年の12月31日現在の見積価格を記載します。最近有償で取得したものについては、取得価額(購入金額)を記載しても構いません。

 

 

債務

債務については、

「財産又は債務の種類」の欄には、「借入金」「支払手形」「未払金」「未払税金」「その他の債務」に区分して記載します。

「財産又は債務の細目」の欄は、基本的に空欄で構いません。

「財産の価額又は債務の金額」の欄には、それぞれの債務について、その年の12月31日現在の債務残高を記載します。

 

 

国外にある財産と債務

国外にある財産と債務についても、国内にある財産・債務と同様に「財産及び債務の明細書」に記載します。

 

しかし、所得税の確定申告書に合わせて「国外財産調書」を提出する方については、「国外財産調書」に記載した国外財産については「財産及び債務の明細書」には記載しません。「財産及び債務の明細書」の一番下の備考欄に「国外財産については、国外財産調書に記載のとおり」と記載してください。

なお、「国外財産調書」には国外債務を記載しないので、「国外財産調書」を提出する方であっても、国外債務がある場合は「財産及び債務の明細書」に国外債務の記載をします。

「国外財産調書」については下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産がある人は申告が必要 | 国外財産調書制度-1

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

地価公示価格・路線価・固定資産税評価額の違い

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士がビジネスや税金・節税などについて解説します。

今回は、土地の値段について、地価公示価格路線価固定資産税評価額の違いを説明したいと思います。

 

 

土地の価格は「1物4価」

土地の価格を表す「1物4価」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
土地の「1物4価」とは、ある1つの土地に対して、次の4つの種類の価格が存在することをいいます。

  • 地価公示価格
  • 路線価(相続税路線価)
  • 固定資産税評価額
  • 取引価格

 

 

地価公示価格

地価公示価格とは、土地の取引の目安になるように、地価公示法に基いて国土交通省が発表する価格です。

地価公示価格は、毎年3月の半ば頃に、その年の1月1日時点の価格として、国土交通省から公示されます。

地価公示価格は、土地取引の指標になるよう市場動向などが反映された中立的な価格になっています。土地の売買取引や公共事業のための土地取得の参考にされるだけでなく、下で説明する相続税路線価や固定資産税評価額のもとになっています。

 

 

路線価(相続税路線価)

まずはじめに、単に路線価という場合は、相続税路線価を指すことが多いため、ここでは相続税路線価について説明します。

相続税路線価とは、税務署(国)が相続税や贈与税を課すときの、財産の価値を評価する場合に使われる価格です。

相続税路線価は、毎年7月1日に、その年の1月1日時点の評価額として、国税庁(国)から発表されます。

相続税路線価の価格は、地価公示価格の約8割の価格になっています。税金を課すための価格であるため低い価格が設定されています。

 

 

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、市町村といった地方公共団体が固定資産税などを課すときの、財産の価値を評価する場合に使われる価格です。

固定資産税評価額は、毎年ではなく3年に1回、各市町村が評価替えを行います。

固定資産税評価額の価格は、地価公示価格の約7割の価格になっています。税金を課すための価格であるため低い価格が設定されています。

 

 

取引価格

取引価格とは、土地の売買などを行う当事者の間で合意された価格です。

当事者間で決められる価格であるため、公平性というよりは、その土地特有の状況や当事者の個人的な事情などに価格が左右されます。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

財産及び債務の明細書に記載する財産と債務の種類 | 財産及び債務の明細書-2

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金や節税、確定申告などについて解説します。

 

平成27年度の税制改正において、所得税や相続税の申告の適正性を確保する観点から、「財産及び債務の明細書」を見直し、一定の基準を満たす方に対して、その方が保有する財産と債務についての調書の提出を求める「財産債務調書」の提出制度が創設されました。

平成26年分までは「財産及び債務の明細書」でしたが、
平成27年分からは「財産債務調書」になります。
財産債務調書についてはこちら
財産債務調書とは | 財産債務調書-1

 

下記内容は平成26年分までにかかる「財産及び債務の明細書」についての記載になりますのでご注意ください。

 

今回は、平成26年分までの所得が2,000万円を超える方が平成26年分の所得税の確定申告に合わせて提出しなければならない「財産及び債務の明細書」、そこに記載する財産と債務の種類について説明します。

 

「財産及び債務の明細書」の概要については下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書の概要 | 財産及び債務の明細書-1

「財産及び債務の明細書」の具体的な書き方・記載例については下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書の書き方・記載例 | 財産及び債務の明細書-3

「財産及び債務の明細書」を提出しないとどうなるかについては下記ページを参照ください。
財産及び債務の明細書を提出しない場合の罰則 | 財産及び債務の明細書-4

 

 

財産及び債務の明細書に記載する財産・債務

「財産及び債務の明細書」に記載する財産・債務は、大きく次の2つに分けることができます。

 

一般財産・債務
自ら事業を営んでいない方(給料をもらっている方など)の財産・債務
個人事業主など事業を営んでいる方の財産・債務のうち、事業には直接関係しない財産・債務

 

事業用財産・債務
個人事業主など事業を営んでいる方の財産・債務のうち、事業に直接関係する財産・債務

 

 

債権及び債務の明細書に記載する財産(一般財産)

「債権及び債務の明細書」に記載しなければならない財産(一般財産)を下記に列挙します。

  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券(株式、公社債、投資信託など)
  • 土地
  • 建物
  • 貸付金・未収入金・受取手形
  • 書画骨とう・美術品・工芸品(1点10万円以上のもの)
  • 貴金属類(1点10万円以上のもの)
  • 家庭用動産(1個または1組の価額が10万円以上のもの)
  • その他の財産(1件10万円以上のもの)

 

家庭用動産とは、書画骨とう・美術品・工芸品・貴金属類以外の家庭用の動産のことをいい、例えば、自動車や家具などが該当します。

その他の財産とは、上記のどれにも該当しない財産のことをいい、例えば、生命保険料の払込金額や証券化していない出資、信託財産などが該当します。

 

金銭的価値があるものは基本的に該当するものと考えてください。忘れやすいですが、家具や家電、貴金属など10万円以上のものは「債権及び債務の明細書」に記載しなければならないので注意してくださいね。

 

 

債権及び債務の明細書に記載する債務(一般債務)

「債権及び債務の明細書」に記載しなければならない債務(一般債務)を下記に列挙します。

  • 借入金
  • 支払手形・未払金
  • 未払となっている税金
  • その他の債務

住宅ローンや自動車ローンなども記載することになります。

 

 

債権及び債務の明細書に記載する財産(事業用財産・債務)

個人事業主・フリーランスなど事業をしている方については上記の一般財産・債務に加えて、事業用の財産・債務についても「債権及び債務の明細書」に記載する必要があります。

 

所得税の確定申告書に事業所得・不動産所得・山林所得についての貸借対照表を添付している場合は、

その貸借対照表に記載されている財産・債務については、
貸借対照表の「元入金 + 事業主借 + 所得金額 – 事業主借」で計算された金額を、「事業元入金」として、「債権及び債務の明細書」に財産として記載します。
(「事業元入金」がマイナスになった場合は債務として記載します。)

 

なお、確定申告書に添付した貸借対照表に記載されていない事業用資産・債務がある場合は、上記の一般財産・債務と同様に記載します。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

国外財産調書に記載する財産の価格 | 国外財産調書制度-4

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金や節税について解説します。

 

非永住者以外の居住者(日本にずっと住んでいる人など)で、その年の12月31日時点で5,000万円を超える国外財産を持っている人は、税務署に国外財産調書を提出して申告する必要があります。

国外財産調書制度の概要については下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産がある人は申告が必要 | 国外財産調書制度-1

国外財産調書を提出しない場合の罰則などについては下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産の申告にかかる罰則 | 国外財産調書制度-2

どのような有価証券や預貯金が国外財産に該当するのかについては下記ページを参照ください。
どのような有価証券や預貯金が国外財産になるのか | 国外財産調書制度-3

 

今回は、国外財産調書に記載する国外財産の価格について説明します。

 

 

国外財産調書に記載する国外財産の価格

国外財産調書に記載する国外財産の価額は、
その年の12月31日時点の「時価」または、
その年の12月31日時点の「見積価額」になります。

 

 

国外財産の時価とは

国外財産の「時価」とは、その年の12月31日時点の、不特定多数の当事者の間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額のことをいいます。

 

例えば、
上場している株式であれば、金融商品取引所が公表する、その年の12月31日における最終価格になります。
土地や建物などの不動産であれば、専門家による鑑定評価額になります。

 

 

国外財産の見積価格とは

国外財産の種類によっては、その年の12月31日時点の「時価」を算定することが難しい国外財産もあります。

例えば、海外にある土地について、毎年専門家の鑑定評価を入手するのは非常に手間と費用がかかります。

そこで、国外財産調書を提出する方の負担を減らすために、「時価」ではなく「見積価格」によって国外財産の価格を記載することも認められています。

 

「見積価格」とは、国外財産の種類によって、下記の方法で算定した価格になります。

  1. 事業所得の起因となる棚卸資産は、その年の12月31日の「棚卸資産の評価額」
  2. 事業所得・不動産所得・雑所得・山林所得にかかる減価償却資産は、その年の12月31日の「減価償却後の価格」
  3. 上記以外の国外財産は、その年の12月31日の「合理的な方法で算定した価格」

 

 

見積価格の合理的な算定方法とは

上記3の「合理的な方法で算定した価格」には、例えば下記のような算定方法があります。

種類 見積価額の合理的な算定方法の例
預貯金 その年の12月31日の預入額
土地 外国(外国の地方公共団体含む)で固定資産税に相当する税金が課される場合には、その年の12月31日が含まれる年中に課された当該税金の計算の基になった課税標準額
取得価額に合理的な価格変動率を乗じて、その年の12月31日における見積価額を算定。合理的な価格変動率とは、その国の統計機関が公表する不動産に関する統計指標等を参考にして求める。なお、統計機関は、様々な統計指標をインターネット上に公開しており、日本の総務省統計局のホームページ上に、外国政府の統計機関として、様々な国の統計機関のホームページへのリンクが掲載されているので参考にする。(http://www.stat.go.jp/info/link/5.htm
その年の翌年1月1日から国外財産調書の提出期限である3月15日までにその財産を譲渡した場合は、その譲渡価額
建物 外国(外国の地方公共団体含む)で固定資産税に相当する税金が課される場合には、その年の12月31日が含まれる年中に課された当該税金の計算の基になった課税標準額
取得価額に合理的な価格変動率を乗じて、その年の12月31日における見積価額を算定
その年の翌年1月1日から国外財産調書の提出期限である3月15日までにその財産を譲渡した場合は、その譲渡価額
業務用の資産以外の建物は、取得価額からその年の12月31日までの償却費を控除した金額

 

 

おわりに

上場有価証券など「時価」を容易に把握することができる国外財産はいいのですが、不動産など時価の算定が困難で「見積価格」によって価格を把握する国外財産の場合は手間がかかります。国外財産調書の期限直前になって慌てないように余裕を持って関係書類を準備してくださいね。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

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