アーカイブ: 2014年12月

5,000万円超の海外資産がある人は申告が必要 | 国外財産調書制度-1

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金や節税について解説します。

 

今回は、5,000万円を超える海外資産がある人が税務署に申告する必要がある国外財産調書制度について説明します。

 

国外財産調書を提出しない場合の罰則などについては下記ページを参照ください。
5,000万円超の海外資産の申告にかかる罰則 | 国外財産調書制度-2

どのような有価証券や預貯金が国外財産に該当するのかについては下記ページを参照ください。
どのような有価証券や預貯金が国外財産になるのか | 国外財産調書制度-3

国外財産調書に記載する国外財産の金額については下記ページを参照ください。
国外財産調書に記載する財産の価格 | 国外財産調書制度-4

 

 

なぜ国外財産を申告しなければならなのか

なぜ国外財産を申告しなければならないのかというと、所得税や相続税などを適正に課して、その税金をしっかりと徴収するためです。

昔に比べて国外財産の保有が年々増加しており、それら国外財産についての課税の適正化をすすめるために、一定の国外財産を持つ人にその内容を申告してもらうという国外財産調書制度が平成24年の税制改正で導入されました。

 

 

国外財産調書を提出する必要がある人

税務署に国外財産調書を提出する必要がある人は、
非永住者以外の居住者で、
その年の12月31日時点で5,000万円を超える国外財産を持っている人です。

 

なお、所得税の確定申告をしているかどうかは関係ありません。所得税の確定申告をしている人でも、していない人でも、上記に該当する人は国外財産調書を提出することになります。

 

居住者とは、その年の12月31日時点において、日本国内に住所がある人(または現在まで引き続き1年以上居所がある人)をいいます。

 

非永住者とは、上記の居住者のうち、日本国籍を持っていない人で、かつ過去10年以内に日本国内に住所(または居所)があった期間の合計が5年以下の人をいいます。

 

国外財産とは、国外にある財産のことをいいます。「国外にある」かどうかの判定は財産の種類ごとに行います。

  • 不動産なら、その不動産が所在する場所で判定します。
  • 預金なら、その預金の受け入れをした営業所などが所在する場所で判定します。
  • 株式なら、その株式の管理口座が開設された金融機関の営業所などが所在する場所で判定します。

 

 

国外財産調書の提出

国外財産調書を提出する税務署は、

  • 所得税の確定申告をする必要がある人は、その納税地を所轄する税務署
  • 所得税の確定申告をする必要がない人は、住所地を所轄する税務署

になります。

 

国外財産調書の提出期限は、その年の翌年の3月15日です。

 

 

国外財産の価格

国外財産調書を提出する必要がある人は、5,000万円を超える国外財産を持っている人になりますが、その国外財産の価格は次のように判定します。

  • その年の12月31日における時価または時価に準ずるものとして見積価格によります。
  • 国外資産の日本円への換算は、その年の12月31日の外国為替の売買相場になります。

 

 

国外財産調書に記載する事項

国外財産調書に記載する主な事項は

  • 国外財産調書を提出する人の氏名と住所、
  • 国外財産の種類、数量、価格、所在(国外財産は種類別、用途別、所在別に記載します)

などになります。

 

 

おわりに

5,000万円を超える海外資産をお持ちの方は、忘れずに国外財産調書を提出してくださいね。金額の記載などややこしいところも多いので、国外財産調書を提出する必要がある方は税理士に相談することをおすすめします。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
税金や節税、起業などについて、皆様のお役に立てる情報があるかもしれませんので、よろしかったら情報の一覧もご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

住民税の特別徴収とは? 給料支払時に住民税を差し引き事業主が納める制度

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として港区や渋谷区、新宿区など東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援してきた経験から、株式会社などの法人の方、フリーランス・個人事業主などの個人の方の税金や節税について解説します。

 

従業員に給料を支払うときは所得税や住民税、社会保険料など様々なものを差し引く(天引きする)必要があります。

給料をもらう側からすると、「給料の額面はこんなにあったのに、よく分からないものがたくさん差し引かれて手取りになると結局これだけしか残らなくて嫌になっちゃう。」、こんな風に感じている人も多いのではないのでしょうか。

給料を支払う事業主の側からすると、「せっかく給料を支払っても、色々差し引かなきゃならないから従業員から文句を言われる。給料から差し引くものが多すぎて面倒」、こう思っているかもしれません。

今回は、そんな給料から差し引くもののひとつ、個人住民税の特別徴収という制度について説明したいと思います。

 

 

住民税

住民税とは、地方公共団体が行う様々な行政サービスについて、その費用をまかなうために、その地域に住んで行政サービスを受けることになる住人(個人と法人)に広く負担してもらうための税金です。都道府県民税と市町村民税を合わせて住民税と呼ばれています。

個人の住民税の概要については下記ページを参照ください。
個人住民税の基本

 

 

個人住民税の特別徴収とは

個人住民税の特別徴収とは、
給与を支払う事業主(株式会社などの法人や個人事業主など)が、
(所得税の源泉徴収と同じように)
給与を受け取る従業員に代わって、
毎月の給与支払い時に給料から個人住民税を差し引いて(給料天引きして)、
区市町村に納める制度です。

所得税にも事業主が従業員に代わって給与から所得税を差し引いて税務署に納めるという源泉徴収制度があります。詳細は下記ページを参照ください。
源泉徴収制度とは | 源泉所得税・源泉徴収

 

 

個人住民税の特別徴収を行う場合

前年に従業員が給与を受け取っていて、かつ当年の4月1日時点においても給与を受け取っている場合、事業主は原則として特別徴収する必要があります。
原則として、アルバイトやパート、役員などを含む全ての従業員から特別徴収します。

 

 

特別徴収した個人住民税の納付

事業主が特別徴収した個人住民税は、
徴収した月の翌月10日までに(年12回)
従業員の住む区市町村ごとにそれぞれ納めます。

ただし、従業員の数が常時10人未満の場合は、従業員が住む区市町村に「特別徴収税額の納期の特例に関する申請書」を提出して承認を受けると、年2回(6月~11月分を12月10日までに、12月~5月分を6月10日までに)にまとめて納めることができる納期の特例という制度があります。

 

 

個人住民税の特別徴収の流れ

個人住民税の特別徴収の流れは下記のようになります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した個人住民税の特別徴収の流れ

 

① 給与支払報告書の提出

毎年1月1日時点で給与を支払っている事業主のうち、所得税の源泉徴収をする義務のある事業主は、
1月1日時点において従業員が住んでいる区市町村に、
1月31日までに給与支払報告書を提出します。

 

②③ 特別徴収税額の通知

毎年5月31日までに、従業員が住んでいる区市町村から特別徴収税額決定通知書が事業者に送られてきます。

 

④ 毎月の給与から特別徴収

②の特別徴収税額決定通知書には、従業員の毎月(6月から翌年5月まで)の個人住民税の金額が記載されているので、この金額に従って毎月の給与から個人住民税を差し引きます。

 

⑤ 個人住民税の納入

④で特別徴収した個人住民税は翌月10日までに区市町村に納入します。納入は区市町村から送られてくる納入書を使います。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で起業された方、または起業をお考えの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や節税だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

ガソリン軽油灯油の仕訳・経理会計処理 軽油引取税に注意

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区のベンチャー企業や起業家様を支援している公認会計士・税理士が税金について解説します。

 

今回は、ガソリンスタンドでガソリン軽油を給油したり灯油を購入した時の仕訳・経理会計処理について説明します。

ガソリンや軽油の価格には税金がたくさん含まれていますが、その価格の内訳については下記ページを参照してください。
ガソリンと軽油の価格の内訳 こんなに税金が含まれています

 

 

ガソリンの仕訳・経理会計処理

ガソリンが1リットル150円の時に40リットル給油して、ガソリンスタンドに6,000円を支払った場合、仕訳・経理会計処理は次のようになります。

 

借方 貸方
車両費(課税取引) 5,556円 現金 6,000円
仮払消費税 444円
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

 

会計ソフトに入力する際の車両費の消費税区分は課税取引になります。

 

ガソリンの勘定科目は上記の車両費を使う以外にも、燃料費や旅費交通費、ガソリン代などが考えられます。継続して同じ勘定科目を使っていれば、どれを使っても構いません。

 

 

軽油の仕訳・経理会計処理

軽油が1リットル130円の時に30リットル給油して、ガソリンスタンドに3,900円を支払った場合、仕訳・経理会計処理は次のようになります。

 

借方 貸方
車両費(軽油代 課税取引) 2,719円 現金 3,900円
車両費(軽油引取税 不課税取引) 963円
仮払消費税 218円
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

 

軽油を給油した時のレシートを見ると、代金の内訳が給油代と軽油引取税と消費税の3つに分かれていると思います。そして、もう少しよく見てみると軽油引取税には消費税がかかっていないことが分かります。

 

会計ソフトに入力する際はレシートを見ながら次のように消費税区分を入力してください。

  • 軽油代は車両費を使い、その消費税区分は課税取引にします
  • 軽油引取税についても車両費を使い、その消費税区分は不課税取引にします

 

ガソリンと同様に軽油の勘定科目は上記の車両費を使う以外にも、燃料費や旅費交通費、軽油代などが考えられます。継続して同じ勘定科目を使っていれば、どれを使っても構いません。

 

 

軽油引取税の勘定科目は軽油代と同じものを使いますが、消費税区分だけ不課税仕入に変更してください。軽油引取税について租税公課という勘定科目を使う場合もありますが、租税公課は使わずに軽油代と同じ勘定科目を使った方がいいと思います。

なお、ガソリンにもガソリン税が含まれていますが、仕訳・経理会計処理を行う際はとくに気にしなくて大丈夫です。軽油を給油したときの軽油引取税にだけ注意します。

軽油引取税は消費税区分が不課税仕入と覚えておいてくださいね。

なぜガソリンと軽油で消費税の処理が異なるかについては下記ページを参照ください。
ガソリンと軽油の価格の内訳 こんなに税金が含まれています。

 

 

灯油の仕訳・経理会計処理

灯油が1リットル95円の時にポリタンク1つ18リットル分購入して、ガソリンスタンドに1,710円を支払った場合、仕訳・経理会計処理は次のようになります。

 

借方 貸方
水道光熱費(課税取引) 1,583円 現金 1,710円
仮払消費税 127円
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

 

会計ソフトに入力する際の水道光熱費の消費税区分は課税取引になります。

 

灯油の勘定科目は上記の水道光熱費を使う以外にも、燃料費などが考えられます。継続して同じ勘定科目を使っていれば、どれを使っても構いません。

 

 

おわりに

軽油引取税の消費税区分は間違いやすいポイントです。軽油を給油した際の軽油引取税の消費税区分は不課税仕入になる、と覚えておいてくださいね。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で、起業をお考えの方や起業して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い公認会計士・税理士が、あなた事業が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

値引 割戻 割引の違い

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区や渋谷区、新宿区など東京23区のベンチャー企業やスタートアップ起業を支援している公認会計士・税理士が会計について解説します。

 

まちなかを歩いていると値引割引といった言葉をよく目にしますね。(割戻(わりもどし)という言葉はあまり見覚えがないかもしれません。)どれも同じような内容をイメージされるかもしれませんが、面倒なことに会計の世界では、値引、割戻、割引を区別して仕訳・経理処理する必要があります。

今回は、そんな値引、割戻、割引の違いについて説明したいと思います。

 

 

値引、割戻、割引

値引、割戻、割引は、どれもモノ・サービスの代金を安くするという共通点があります。
値引、割戻、割引の何が違うのかというと、モノ・サービスの代金を安くする理由が違うのです。

 

 

値引とは

会計上の値引とは、モノ・サービスの「質」を理由にしてモノ・サービスの代金を安くすることをいいます。「質」とは、例えば季節外れ商品、不良品、破損品などが該当します。

値引の例としては下記のようなものがあります。

  • スーパーにて賞味期限が近い生鮮食品の価格を下げる
  • 商品の中身は問題ないけどパッケージの箱が破けてしまったため価格を下げる

 

値引の経理処理

値引の仕訳・経理処理は、売上・仕入の際の仕訳の逆仕訳を行います。

 

A社はB社に掛で商品を販売したが、その商品について品質不良が見つかり30,000円の値引を行った。

 

借方 貸方
売上 30,000円 売掛金 30,000円

 

B社はA社から掛で商品を仕入れたが、その商品について品質不良が見つかり30,000円の値引を受けた。

 

借方 貸方
買掛金 30,000円 仕入 30,000円

 

 

割戻とは

会計上の割戻とは、モノ・サービスの「量」を理由にしてモノ・サービスの代金を安くすることをいいます。「量」とは、いわゆるボリュームディスカウントのことで、たくさん買う、まとめて買うことで、価格を安くすることが該当します。

値引の例としては下記のようなものがあります。

  • 洋服屋さんのセールで、1着だけ買う場合は4,000円のカットソーが3着まとめて買うと10,000円に値下げされる。
  • 学習塾で、週1回授業の場合の月謝は5,000円のところ、週2回授業にすると月謝が9,000円になる。

 

割戻の経理処理

割戻の仕訳・経理処理は、値引と同様に売上・仕入の際の仕訳の逆仕訳を行います。

 

A社はB社に掛で商品を販売しているが、B社への販売数量がA社規定の数量を超えたので100,000円の割戻を行った。

 

借方 貸方
売上 100,000円 売掛金 100,000円

 

B社はA社から掛で商品を仕入れているが、A社からの購入数量がA社規定の数量を超えたので100,000円の割戻を受けた。

 

借方 貸方
買掛金 100,000円 仕入 100,000円

 

 

割引とは

会計上の割引とは、モノ・サービスの代金の支払いについて、支払期限よりも早く支払うことを理由にして、モノ・サービスの代金を安くすることをいいます。早く支払ってくれたのだから、早く支払ってくれた期間に応じてその利息相当分を割り引くのです。

割引の例としては下記のようなものがあります。

  • 通常の支払いは月末締めの翌月末払いになっているが、納入時即現金払いの場合は、商品代金から1%割り引く。

 

割引の経理処理

割引の仕訳・経理処理は、割引が利息としての性格を持つため、売上割引(営業外費用)・仕入割引(営業外収益)といった勘定科目を使います。値引・割戻とは経理処理が異なるので注意して下さい。

 

A社がB社に販売した商品500,000円について、月末締め翌々末払いのところB社が1ヶ月早く決済してくれたので、5,000円の割引を行った。

 

借方 貸方
現金 495,000円 売掛金 500,000円
売上割引(営業外費用) 5,000円

 

B社がA社から仕入れた商品500,000円について、資金繰りに余裕があったため、月末締め翌々末払いのところ1ヶ月早く決済して、5,000円の割引を受けた。

 

借方 貸方
買掛金 500,000円 現金 495,000円
仕入割引(営業外収益) 5,000円

 

 

補足 値引、割戻、割引の消費税

売上値引、売上割戻、売上割引は、「売上に係る対価の返還等」として、課税標準額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等に係る消費税額を控除します。
売上値引、売上割戻、売上割引があった場合は、当初の売上を計上した期間でなく、売上値引、売上割戻、売上割引を行った期間において上記の調整を行います。

 

仕入値引、仕入割戻、仕入割引は、「仕入に係る対価の返還等」として、課税期間において控除される課税仕入れ等の消費税額の合計額から課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を控除します。
仕入値引、仕入割戻、仕入割引があった場合は、当初の仕入を計上した期間ではなく、仕入値引、仕入割戻、仕入割引を受けた期間において上記の調整を行います。

 

割引は利息としての性格を持つと申しましたが、消費税法上は非課税取引にはなりません。割引は課税取引になるので、割引にかかる消費税は、値引と割戻にかかる消費税と同様に処理するので注意してください。

消費税については処理が複雑なので税理士に相談することをおすすめします。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で起業された方、または起業をお考えの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や節税だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

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源泉所得税の税務調査-2 | 源泉所得税・源泉徴収

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として、港区や渋谷区、新宿区といった東京23区の起業家様、経営者様を支援してきた経験から、株式会社などの法人の方、フリーランス・個人事業主などの個人の方の税金や節税について解説します。

 

今回は、前回に引き続き源泉徴収する源泉所得税税務調査ついて説明したいと思います。

前回はこちらです。
源泉所得税の税務調査-1 | 源泉所得税・源泉徴収

源泉所得税の税務調査の概要
毎月の源泉徴収についての税務調査
年1回の年末調整についての税務調査
などについて説明しています。

 

 

報酬の源泉徴収についての税務調査

従業員やパート、アルバイトなどの社内の人に支払う給料だけでなく、フリーランスや個人事業主など社外の個人に支払う報酬や料金についても、支払う報酬や料金から所得税を天引きして税務署に納めなければなりません。

報酬の源泉徴収についての税務調査では、勘定科目から社外の個人に支払った報酬や料金をピックアップして、契約書、注文書控え、請求書、領収書などから、源泉徴収の対象になる報酬料金に該当するかどうか調査されます。そして、源泉徴収の対象になる報酬料金について、源泉徴収した金額は正しいか、源泉徴収の漏れがないかなどが調査されます。

社内従業員の給料についての源泉徴収は毎月のことなので忘れることはない思います。
しかし、たまにしかない外部の個人に支払う報酬料金の源泉徴収だと、うっかり忘れてしまうことも少なくないので注意してくださいね。

 

 

源泉所得税の税務調査における勘定科目別ポイント

源泉所得税の税務調査においては、下記のような勘定科目を調べて、給与や報酬料金として源泉徴収するべきであるのに、源泉徴収していないものがないかチェックされます。

 

給料

  • 基本給だけでなく、各種手当て(一定の通勤手当など非課税になるものは除く)なども源泉徴収の対象になっているかどうか。

 

退職金

  • 退職する人から「退職所得の受給に関する申告書」を提出してもらっているかどうか。
  • 退職者の退職所得の計算は、勤続年数にしたがって正しく計算されているかどうか。

 

福利厚生費

  • 特定の役員や従業員のための支出はないか。
  • 従業員食事代や社宅家賃などで課税対象になるものはないか。
  • 表彰金や社員旅行などで課税対象になるものはないか。

 

交際費

  • 取引先ではなく事業に関係ない個人的な飲食費がないか。

 

支払手数料

  • 個人の弁護士や司法書士、税理士、公認会計士などに支払った報酬料金(法人形態の士業に支払ったものは源泉徴収不要)について源泉徴収漏れはないか。
  • 個人に支払った原稿料や講演料などについて源泉徴収漏れがないか。

 

広告宣伝費

  • 個人に支払ったデザイン料などについて源泉徴収漏れはないか。

 

 

源泉所得税の税務調査で誤りが発見されたら

源泉所得税の税務調査で誤りが発見されたら、税務署から源泉所得税の更生処分を受けることになります。更正処分に従って、事業主が源泉所得税を納めます。そして、この事業主が収めた源泉所得税は、後から本人から徴収します。本人から徴収できない場合は結果として事業主が負担することになります。

なお、源泉所得税は法人税や所得税と異なり申告書というものがないため、修正申告はありません。

 

 

おわりに

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