アーカイブ: 2014年11月

変動費とは 固定費とは

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

港区・渋谷区・新宿区など東京都23区のベンチャー企業やスタートアップ起業を支援する公認会計士・税理士が、経営に役立つ管理会計について解説します。

今回は、変動費固定費について説明したいと思います。

 

 

変動費と固定費

事業活動を行う上ではさまざまな費用が生じます。それらの費用は、発生するかたちによって変動費と固定費の2つに分けることができます。

費用を変動費と固定費に分けることで、限界利益や損益分岐点など経営管理において非常に役に立つ分析を行うことができるようになります。そのため、費用を変動費と固定費に分ける考え方をぜひマスターしてください。

 

 

変動費とは

変動費とは、売上 ( 事業活動や生産量、操業度合い ) に比例して発生する費用をいいます。

材料や商品などの仕入れ、外注費、販売手数料などは変動費に該当します。

 

 

固定費とは

固定費とは、売上 ( 事業活動や生産量、操業度合い ) に関係なく発生する費用をいいます。

人件費、家賃、減価償却費などは固定費に該当します。

 

 

売上・変動費・固定費・利益の関係

売上と変動費・固定費、そして利益の関係を算式で表すと下式のようになります。

売上 - 変動費 - 固定費 = 利益

 

算式を動かしてこのように表すこともできます。

売上 = 変動費 + 固定費 + 利益

 

ボックス図で見てみましょう。

東京都港区の税理士法人インテグリティ作成の変動費と固定費の図

 

売上の増減に応じて変動費も増減しますが、固定費は一定額で動きません。
売上高が減っていくと、ある時点で利益がゼロになり、さらに売上高が減ると赤字になってしまいます。

費用が変動費のみで固定費がないのであれば、売上が減少することで利益も減少しますが赤字にはなりません。しかし、固定費の存在によって赤字が生じてしまうのです。

どれくらい売上があれば赤字にならないのか、現在の売上は赤字になるまでどのくらいの余裕があるのか、といったことを分析するために、損益分岐点分析 ( CVP分析 ) という手法を使います。この分析手法の前段階として費用を変動費と固定費に分解する必要があるのです。

損益分岐点分析 ( CVP分析 ) のページに続きます。

 

 

おわりに

変動費と固定費の理解は、管理会計の一番の基本であり、もっとも重要なポイントであるとも言えます。自分の会社の費用を変動費と固定費に分けてみようとお考えの場合は、管理会計に詳しい公認会計士や税理士に相談してみてくださいね。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京都23区で公認会計士や税理士をお探しの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、事業の持続可能な成長をご支援します。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

財務会計と税務会計の違い | 利益は収益-費用 所得は益金-損金

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として港区や渋谷区、新宿区など東京23区のベンチャー企業やスタートアップ起業を支援しておりますが、業務を通じてよく質問を受ける項目について解説します。

 

今回は、財務会計における利益、税務会計における所得について、その違いを説明したいと思います。

財務会計や税務会計そのものについては下記ページを参照ください。
財務会計と税務会計の違い | 考え方

 

 

財務会計における儲けは利益

財務会計では儲けのことを利益といいます。

利益は、売上などの収益から、経費などの費用を差引いて計算します。
このように計算された利益は、株主や債権者、投資家といった利害関係者に報告されます。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した利益=収益-費用

 

 

税務会計における儲けは所得

税務会計では儲けのことを所得といいます。

所得は、売上などの益金から、経費などの損金を差引いて計算します。
このように計算された所得をもとにして税金の金額を計算します。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した所得=益金-損金

(Tさんのご指摘により一部修正しました。)

 

 

財務会計の利益と税務会計の所得との違い

財務会計の利益の計算方法と税務会計の所得の計算方法はとても似ていますね。

収益と益金、費用と損金はほぼ同じなので、その結果としての利益と所得もほぼ同じ金額になります。

ほぼ同じというところが悩ましいところで、この僅かな違いが財務会計と税務会計の違いを生み出しているのです。

なぜこのような違いが出てくるのかについては、下記ページを参照ください。
財務会計と税務会計の違い | 考え方

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した利益≒所得、収益≒益金、費用≒損金

 

 

財務会計の収益と税務会計の益金との違い

収益、益金ともに売上などの収入金額のことをいいます。多くの項目は収益になるものは益金にもなり、益金になるものは収益にもなりますが、そうはならないものもあります。

 

財務会計上は収益になるけど、税務会計上は益金にならないものを 「 益金不算入項目 」 といいます。具体例としては受取配当金、資産評価益、税金の還付金といったものの一部が該当します。

その逆に、財務会計上は収益にならないけど、税務会計上は益金になるものを 「 益金算入項目 」 といいます。具体例としては資本剰余金として処理された国庫補助金などが該当します。

 

収益に益金算入項目をプラスして益金不算入項目をマイナスすると益金になります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した益金=収益+益金算入-益金不算入

 

 

財務会計の費用と税務会計の損金との違い

費用 ( 損失 ) 、損金ともに収益をあげるためにかかった経費や突発的に発生した損失のことをいいます。多くの項目は費用 ( 損失 ) になるものは損金にもなり、損金になるものは費用 ( 損失 ) にもなりますが、そうはならないものもあります。

 

財務会計上は費用になるけど、税務会計上は損金にならないものを 「 損金不算入項目 」 といいます。具体例としては交際費や減価償却費、役員賞与などで税務上の限度額を超えたものや、財務会計上は費用として処理した税金の一部、罰金などが該当します。

その逆に、財務会計上は費用にならないけど、税務会計上は損金になるものを 「 損金算入項目 」 といいます。具体例としては繰越欠損金などが該当します。

 

費用 ( 損失 ) に損金算入項目をプラスして、損益不算入項目をマイナスすることで損金になります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した損金=費用損失+損金算入-損金不算入

 

 

税務会計の所得の計算方法

税務会計における所得は、益金から損金を差引いて計算しますが、イチから益金と損金を集計するのは手間がかかります。そこで、財務会計における利益に、「 益金算入項目 」 と 「 損金不算入項目 」 をプラスして、「 益金不算入項目 」 と 「 損金算入項目 」 をマイナスすることで所得を計算します。

この利益から所得を求める計算を、法人税申告書の別表四 「 所得の金額に関する明細書 」 で行うことになります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した所得=利益+益金算入+損金不算入-益金不算入-損金算入

 

日頃の会計帳簿の作成 ( 記帳 ) を税務会計にもとづいて行えば、利益から所得を求める計算に用いる項目は少なくて済みます。そのため、中小企業においては財務会計ではなく税務会計が主流になっています。しかし、税務会計の目的はあくまで税金の計算にあって適正な財務報告には向いていません。ファンドからの出資や、株式上場、M&Aなど外部からの投資を呼びこむことをお考えの場合は、なるべく早い段階から財務会計による記帳をする必要があります。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で起業された方、または起業をお考えの方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

黒字倒産とは?利益あるけどキャッシュがない

はじめに

こんにちは、東京港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として、港区や渋谷区、新宿区といった東京23区において、起業やベンチャー企業の支援してきた経験から、会社を発展させるための心強い武器になるファイナンスについて解説します。

今回は、黒字倒産について説明したいと思います。

 

 

黒字倒産とは

黒字倒産とは、文字通り黒字であるにもかかわらず倒産してしまうことをいいます。

 

黒字とは、収入が支出を上回っている状態のことをいいます。
赤字とは、黒字とは逆に、支出が収入を上回っている状態のことをいいます。
黒字・赤字という言葉は色んな場面で使われますが、黒字倒産という場合の黒字とは、会計上は利益が出ている状態を指します。

 

倒産とは、会社が借入金や仕入代金といった債務の支払ができなくなり、会社としての活動を続けていけなくなった状態になることをいいます。

 

「黒字なのに倒産?」

黒字と倒産、利益が出ているのに債務を返せない、一見すると矛盾したことを言っているように感じますよね。

 

 

なぜ黒字倒産が起こるのか

それでは、黒字倒産はなぜ起こってしまうのでしょうか。

それは、実際の現金の出入りのタイミングと、会計上の利益を計上するタイミングがズレていることが原因で、利益が出ているけれどもキャッシュ ( 現金 ) がない状態になってしまうことで起こってしまうのです。

黒字倒産の具体的な数値例を見てみましょう。

 

 

黒字倒産の数値例(商品在庫)

商品在庫を原因とする黒字倒産の数値例です。

20X1年のA社の時系列による経済活動は下記のとおりです。

  1. 1個1万円の商品を100個仕入れました。
  2. 仕入れた商品のうち40個を2万円で売りました。
  3. 仕入れ代金100万円を支払いました。
  4. 売上代金80万円を受け取りました。

 

20X1年のA社の損益計算書 ( P/L ) はこうなります。
売上高 = 2万円 × 40個 = 80万円
売上原価 = 1万円 × 40個 = 40万円
利益 = 売上高80万円 - 売上原価40万円 = 40万円

利益が40万円、立派な黒字企業ですね。

 

次に、20X1年のA社のキャッシュ・フロー計算書 ( C/F ) を見てみましょう。
営業収入 = 2万円 × 40個 = 80万円
商品仕入支出 = 1万円 × 10個 = 100万円
現金の増減額 = 営業収入80万円 - 商品仕入れ支出100万円 = ▲20万円

利益が40万円出ているのに、現金は20万円もマイナスになっています。

 

利益を計算する損益計算書では、仕入れた商品は売れない限り売上原価になりません。
しかし、現金の増減を計算するキャッシュ・フロー計算書では、仕入れた商品は売れなくても代金を支払っているのであれば商品仕入支出になります。
商品在庫の取り扱いが、利益の計算と現金収支では異なってくるのです。

このような状態が続いて、会社の現金が底をついてしまうと黒字倒産になってしまいます。

 

 

黒字倒産の数値例(資金繰り)

資金繰りを原因とする黒字倒産の数値例です。

 

20X2年のB社の時系列による経済活動は下記のとおりです。

現金は70万円あります

  1. 1個1万円の商品を50個仕入れました。→現金残高70万円、20X2年利益累計▲50万円
  2. 仕入れた商品50個を2万円で売りました。→現金残高70万円、20X2年利益累計50万円
  3. 仕入れ代金50万円を支払いました。→現金残高20万円、20X2年利益累計50万円
  4. 売上代金100万円を受け取りました。→現金残高120万円、20X2年利益累計50万円
  5. 1個1万円の商品を150個仕入れました。→現金残高120万円、20X2年利益累計▲100万円
  6. 仕入れた商品100個を2万円で売りました。→現金残高120万円、20X2年利益累計100万円
  7. 仕入れ代金150万円を支払いました。現金残高→▲30万円、20X2年利益累計100万円

 

20X3年のB社の時系列による経済活動は下記のとおりです。

  1. 売上代金200万円を受け取りました。現金残高→170万円、20X3年利益累計0万円

 

7.において仕入れ代金150万円を支払うのには手もとの現金が30万円足りません。
売上代金200万円を受け取るのはまだ先です。借入などによって30万円を用意できないと黒字倒産になります。

 

一般的なビジネスおいては、仕入れ代金の支払いの方が、売上代金の入金よりも先にきます。そのため資金繰りが必要になってきます。

その逆に、飲食業など現金商売といわれるビジネスの場合は、売上代金の入金の方が、仕入れ代金の支払いよりも先にくるので、資金繰りは楽といわれています。

 

 

黒字倒産を防ぐには

黒字倒産を防ぐためには、利益だけでなくキャッシュ ( 現金 ) にも注意を払うことです。

決算ではキャッシュ・フロー計算書を作成して、過去1年間の現金の動きを把握します。そして期中においては、資金繰り表などを作成して将来の現金の出入りを予測、資金需要に対して十分時間をもって対応できるようにしてください。

利益に比べるとキャッシュの管理はおろそかになりがちですが、キャッシュは利益よりも大切です。そのことをいつも頭において、利益の損得勘定だけでなく、キャッシュの時系列勘定できるようにしてくださいね。

 

 

おわりに

「勘定あっても銭足らず」、まさに黒字倒産を表す言葉ですね。キャッシュフロー経営というものが流行ったのは昔の話ですが、廃れたワケではありません。なくてはならないものに昇華したといえると思います。しつこいですが、利益よりも現金を大切にしてくださいね。

 

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で、ベンチャー企業や起業をお考えのお客様がおりましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。会計や税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の企業価値を高めるお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

法人事業税とは | 会社の税金

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として、港区や渋谷区、新宿区といった東京23区のベンチャー企業や起業家様を支援してきた経験から、株式会社などの法人が納める税金について解説します。

 

今回は、会社が納める一般的な税金のひとつである法人事業税について説明します。

法人事業税以外の会社が納める税金については下記を参照ください。
会社(法人)が納める税金の種類

法人ではなくフリーランス・個人事業主の方が納める個人事業税については下記を参照ください。
個人事業税とは | フリーランス・個人事業主の税金

 

 

法人事業税とは

法人事業税とは、株式会社をはじめとした法人などが行う事業に対して課される税金で、その税金の金額は、所得 ( 税金を計算する上での利益金額 ) などに税率をかけて計算します。

法人税は国 ( 税務署 ) に納める税金 ( 国税 ) ですが、法人事業税は都道府県 ( 都道府県の税事務所 ) に納める税金 ( 地方税 ) です。
例えば、東京都で事業を行っている会社は、東京都 ( 都税事務所 ) に事業税を納めることになります。

 

都道府県に納める税金としては、法人住民税 ( 都道府県民税 ) もあります。法人住民税は、法人がその都道府県の住民として様々な公共サービスを受けるための対価という性格を持っています。一方の法人事業税は、その都道府県の地域内で事業を行うための場所代のようなものと考えてください。

ちなみに法人住民税は都道府県だけでなく市町村にも納めます ( 東京都23区の場合は東京都にまとめて納めます ) が、法人事業税は都道府県だけに納めます。

 

 

法人事業税は損金になります

法人税や法人住民税と異なり、法人事業税は損金 ( 法人税などを計算するうえで経費として認められるもの ) にすることができます。そのため、法人事業税を支払うことによって、法人税や法人住民税が節税になります。

詳細は下記ページを参照ください。
損金になる税金と損金にならない税金 | 法人税

 

 

法人事業税を納める法人

法人事業税は、法人税や法人住民税と同様に全ての法人が納める必要があります。

 

 

法人事業税の申告と納付

法人事業税は、決算日から2ヶ月以内に、法人住民税 ( 都道府県民税 ) とあわせて都道府県税事務所に申告して納付します。

また、法人税や法人住民税と同様に、事業年度開始日以後6か月を経過した日から2か月 ( 3月決算の会社ならば11月30日 ) 以内に中間申告を行います。

 

本社の他に支店がある会社など2つ以上の都道府県に会社がある場合は、法人事業税の計算のもとになる所得などを従業員の数や事務所の数といった決まった基準で分割して、それぞれの都道府県に納める法人事業税を計算して、それぞれの都道府県の県税事務所に申告して納付します。

例えば、東京都に本社があって、新潟県に支店がある場合は、東京都税事務所と新潟県税事務所の2ヶ所に申告納付することになります。

 

 

法人事業税の計算

法人事業税の計算は、法人の形態、都道府県、資本金や所得の大きさ、各都道府県にまたがる本支店の数などで変わってきますので詳細は、税理士や各都道府県税事務所にお問合せください。

 

例として、東京都にある株式会社で下記の全てに当てはまる会社について

  • 資本金が1億円以下
  • 年間所得金額が2,500万円以下
  • 本店と支店がある都道府県が3つ未満

 

この会社の法人事業税の税率はこうなります。
年400万円以下の所得は 2.7%
年400万円を超え年800万円以下の所得は 4%
年800万円を超える所得は 5.3%

 

平成26年10月1日以後に開始する事業年度については
年400万円以下の所得は 3.4%
年400万円を超え年800万円以下の所得は 5.1%
年800万円を超える所得は 6.7%

 

標準税率が適用される株式会社で年間所得金額が 1,000万円 の場合の法人事業税は、所得 1,000万円 を下記のように分割して、それぞれ計算して最後に合計して計算します。
400万円 × 2.7% = 10.8万円
400万円 × 4% = 16万円
200万円 × 5.3% = 10.6万円
10.8万円 + 16万円 + 10.6万円 = 37.4万円

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で、会社設立をお考えの方や会社設立して日が浅い方がおりましたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の持続的な発展のお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

執行役員就任に際して支払われる退職金 | 執行役員と税金

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

公認会計士・税理士として、港区や渋谷区、新宿区といった東京23区のベンチャー企業や若い企業を支援してきた経験から、株式会社などの法人が納める税金や節税について解説します。

 

今回は、新たに執行役員に就任することになった際に支払う退職金の税務上の取り扱いについて説明したいと思います。

執行役員とは何か、執行役員と取締役の違いなどについてはこちら
執行役員とは? 取締役との違い | 執行役員と税金

執行役員に支払う報酬や賞与についての税務上の取り扱いについてはこちら
執行役員の税務上の取り扱い| 執行役員と税金

 

 

退職金を支払う側である会社の税務上の取り扱い

退職金を支払う側である会社の税務上の取り扱いは、下記のようになります。

従業員に支払う退職金は、会社の損金 ( 法人税を計算するうえで費用として認められるもの ) になります。

法人税法上の役員に支払う役員退職金についても、不当に高額でない限り原則として会社の損金になります。

 

執行役員に支払う退職金は、

  • その執行役員が法人税法上の役員に当たらないのであれば、従業員に支払う退職金として取り扱います。
  • その執行役員が法人税法上の役員に当たるのであれば、役員に支払う役員退職金として取り扱います。

 

このように会社にとっては、誰に支払う退職金であっても原則として会社の損金にすることができます。

 

 

退職金を受け取る側の税務上の取り扱い

退職金を受け取る側にとって、その退職金が所得税における退職所得になるか給与所得になるかで税金の金額が大きく変わってきます。給与所得に比べて退職所得は税金が優遇されているので、同じ退職金の金額でも退職所得になった方が節税になり手元に残るお金は多くなります。

退職金を受け取る側の税務上の取り扱いは、下記のようになります。

  • 従業員が退職の事実にもとづいて受け取る退職金は退職所得になります。
  • 役員が退任の事実にもとづいて受け取る役員退職金は退職所得になります。

それでは、新たに執行役員に就任した際に受け取る退職金はどうなるのでしょうか。

 

 

従業員から執行役員に就任した際に受け取る退職金

従業員から執行役員に就任した際に受け取る、従業員としての勤務した分にかかる退職金は、下記すべてに当てはまる場合は退職所得になります。(なお、下記すべてに当てはまる場合であっても、その執行役員が直ちに法人税法上のみなし役員に該当するわけではありません。)

  • 執行役員との契約が、委任契約であり雇用契約ではない。
  • 執行役員を退任した後に従業員としての再雇用が保障されていない
  • 執行役員に対する報酬、福利厚生、服務規律などは役員に準じたものである
  • 執行役員は、その任務や規程に反する行為によって会社に生じた損害について賠償する責任を負う

ひとつでも当てはまらない場合は原則として給与所得とみなされて税金が高くなるので注意してください。

例えば、従業員から執行役員に就任するに際して、雇用契約をいったん解除して、新しく雇用契約を締結した場合、執行役員に対する報酬、福利厚生、服務規律等が役員に準じたものであっても、受け取る退職金は賞与とみなされて給与所得になります。

 

 

執行役員から取締役に就任した際に受け取る退職金

執行役員を退職して、新たに取締役に就任した際に受け取る退職金は、原則として退職所得になります。

 

 

取締役から執行役員に就任した際に受け取る退職金

取締役を退任して、新たに執行役員に就任した際に受け取る役員退職金は、原則として退職所得になります。

 

 

おわりに

港区、渋谷区、新宿区など東京23区で、法人の設立をお考えの方や会社設立して日が浅い方がいらしたら、東京都港区にある当税理士法人にお声がけください。税金だけでなく、ビジネスやファイナンスに強い若手の公認会計士・税理士が、あなたの会社の持続的な成長のお手伝いをさせて頂きます。

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