アーカイブ: 2014年5月

事業用預金の受取利息は非課税取引です-フリーランス・個人事業主

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、フリーランス・個人事業主の方の受取利息の消費税区分ついて説明したいと思います。

 

受取利息の会計処理

フリーランス・個人事業主の方の場合、受取利息は事業所得ではなく利子所得になります。そのため事業用の会計帳簿に記帳する場合は、このようになります。

借方 貸方
普通預金 1,000 事業主借 1,000
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

 

利子所得は、所得税法上は源泉分離課税になるので確定申告をする必要はありません。
詳しくは「受取利息の会計処理-フリーランス・個人事業主の場合」を参照ください。

 

受取利息の消費税

受取利息は、お金という資産を貸し付けて、その対価として受け取るものです。そのため本来であれば消費税がかかる課税取引になります。

しかし、消費税は、財貨やサービスの流れを通して、消費に負担を求める税金という性格をもっています。そのため、消費税の課税の対象になじまない資金の流れに関する取引などは非課税取引として消費税はかからないことになっています。

具体的には、次のものを対価とする金融取引などが、消費税がかからない非課税取引になります。

  1. 預貯金や貸付金の利子
  2. 国債、地方債、社債、新株予約権付社債、投資法人債券の利子
  3. 国際通貨基金協定に規定する特別引出権の利子
  4. 信用の保証料
  5. 合同運用信託又は公社債投資信託の信託報酬(株式や出資に対する投資で運用しないものに限られます)
  6. 保険料(厚生年金基金契約等における事務費用部分を除きます)
  7. 保険料に類似する共済の掛金
  8. 集団投資信託、法人課税信託、特定公益信託などの収益の分配金
  9. 相互掛金、定期積金の給付補てん金
  10. 無尽契約の掛金差益
  11. 抵当証券の利息
  12. 割引債の償還差益(割引債には利付債も含まれます)
  13. 手形の割引料
  14. 金銭債権の買取や立替払による差益
  15. 有価証券の賃貸料(登録国債は含まれますが、ゴルフ会員権などは含まれません)
  16. 物上保証料
  17. 割賦販売法に基づく割賦販売、ローン提携販売、包括信用購入あっせん、個別信用購入あっせんの手数料で契約において明らかに区分されている部分の金額
  18. 割賦販売などに準ずる方法により資産の譲渡等を行う場合の利子や保証料相当額で契約において明らかに区分されている部分の金額
  19. 動産や不動産の貸付けを行う信託の利子や保険料相当額で契約において明らかに区分されている部分の金額(信託は、貸付期間の終了時に未償却残額で譲渡する旨の特約が付されたものに限られます)
  20. ファイナンス・リースにおけるリース料で、利子や保険料に当たるものが契約で区分されている部分の金額

 

事業用の預金口座にかかる受取利息

事業用の銀行口座の預金につく受取利息は、上記のとおり非課税売上になります。

会計帳簿においては、受取利息は事業主借になるので収益には含まれません。しかし消費税の区分では非課税売上として収入に含めることになります。
会計ソフトに受取利息の仕訳を入力する際は注意してください。そのまま事業主借として仕訳入力すると、消費税の計算における非課税売上の集計から外れてしまいます。

 

事業には関係ない個人的な預金口座にかかる受取利息

事業には関係ない個人的な預金口座につく受取利息は、事業として行ったものではないため、消費税がかからない不課税売上になります。

非課税売上は、本来であれば消費税がかかる取引について、政策的に消費税がかからないようにしているものです。

不課税売上は、そもそも消費税がかららない取引です。

 

税務調査

受取利息の消費税区分について、非課税売上、不課税売上どちらにするか間違えたとしても、納める税金の額に大きな影響がでる場合は少ないと思います。

しかし、しっかりと区分することで、税務調査における調査官の心証は良くなるはずです。消費税について細かいところもちゃんと処理しているのだから、他もちゃんとしているだろうと思われるかもしれません。

 

おわりに

消費税は税金のプロである税理士でも間違えることがある厄介な税金です。フリーランス・個人事業主として新規に開業したら、起業や法人成りで株式会社などの法人を設立したら、税理士に相談して消費税で損をしないようにしましょう。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

受取利息の会計処理-フリーランス・個人事業主の場合

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、フリーランス・個人事業主の場合の受取利息の会計処理について説明したいと思います。

 

フリーランス・個人事業主の受取利息

銀行など金融機関からの受取利息は、

  • 国税である源泉所得税15%
  • 国税である復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)
  • 地方税である都道
  • 府県民税利子割5%

合計20.315%が差し引かれて、残りの79.685%が手取りとして口座に入金されます。

 

記帳するときの仕訳

受取利息を受け取ったときの会計処理、記帳するときの仕訳はこのようになります。

借方 貸方
普通預金 1,000 事業主借 1,000
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

フリーランス・個人事業主の場合と、株式会社などの法人の場合とで、受取利息の会計処理が異なってきます。

法人の場合の会計処理については「復興特別所得税で面倒になった受取利息の会計処理-法人の場合」を参照ください。

フリーランス・個人事業主の場合は、個人的な受取利息はもちろん、事業用の口座に入金される受取利息についても、所得税法上は事業所得ではなく利子所得になるので、事業の収入には含めません。

そのため、個人事業にかかる会計処理、記帳するときの仕訳には、法人のように「受取利息」勘定を使うのではなく、「事業主借」勘定を使うことになります。

なお、受取利息は口座に入金される段階で、所得税、復興特別所得税、都道府県民税利子割が天引き(源泉徴収)されて、納税が済んでいます(源泉分離課税といいます)。そのため、受取利息については、確定申告を行う必要はありません。

利子所得については「利子所得でも確定申告が必要な場合があります」を参照ください。

 

受取利息の消費税について

法人の受取利息は消費税の非課税売上になります。

対して、フリーランス・個人事業主の方の受取利息の消費税については、少しやっかいです。

事業用の預金などについた利息については非課税売上になりますが、
事業にはまったく関係ない個人的な預金などについた利息については不課税売上になります。

間違えやすいポイントなので、詳しくは「事業用預金の受取利息は非課税取引です-フリーランス・個人事業主」を参照ください。

 

おわりに

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

復興特別所得税で面倒になった受取利息の会計処理-法人の場合

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、復興特別所得税で面倒になった法人の場合の受取利息の会計処理について説明したいと思います。

 

法人の受取利息

銀行など金融機関からの受取利息は、

  • 国税である源泉所得税15%
  • 国税である復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)
  • 地方税である都道府県民税利子割5%

合計20.315%が差し引かれて、残りの79.685%が手取りとして口座に入金されます。

復興特別所得税があるため、手取りの受取利息から、記帳するのに必要となる受取利息の総額と税金の額を逆算するのが少し面倒になってしまいましたね。

手取りの受取利息として銀行口座に1,000円の入金があった場合を例にして、少しくどいですが、仕訳をするまで計算の手順を書きますね。

 

①予想される受取利息の総額の計算

銀行口座に入金された受取利息は、利息総額から税金20.315%が差し引かれた、残りの79.685%分になっています。そのため手取り金額から利息総額を逆算します。

1,000円 ÷ 79.685% = 1,254円 ( 1円未満切捨 )

銀行口座に入金された手取りの受取利息 ÷ ( 1 - 源泉所得税15% - 復興特別所得税0.315% - 都道府県民税利子割5% ) = 予想される受取利息の総額 ( 1円未満切捨 )

実際に銀行がどういう計算をしているかは分かりません。あくまで試算ですが、国税庁の手引きに記載されている方法なので、税務署的には問題ないと思います。

 

②所得税と復興特別所得税の合計額の計算

利息総額の15%が所得税、0.315%が復興特別所得税なので、所得税と復興特別所得税の合計は15.135%になります。

1,254円 × 15.315% = 192円 ( 1円未満切捨 )

予想される受取利息の総額 × ( 所得税の税率15% + 復興特別所得税の税率0.315% ) = 所得税と復興特別所得税の合計額 ( 1円未満切捨 )

 

③復興特別所得税の計算

192円 × 2.1/102.1 = 4円 ( 50銭以下は切捨、50銭超は切上 )

所得税と復興特別所得税の合計額 × 2.1/102.1 = 復興特別所得税 ( 50銭以下切捨、50銭超を切上 )

 

④所得税の計算

192円 - 4円 = 188円

所得税と復興特別所得税の合計額 - 復興特別所得税 = 所得税

 

⑤都道府県民税利子割の計算

1,254円 × 5% = 62円 ( 1円未満切捨 )

予想される受取利息の総額 × 都道府県民税利子割の税率5% = 都道府県民税利子割

 

⑥あらためて利息の総額の計算

1,000円 + 188円 + 4円 + 62円 = 1,254円

銀行口座に入金された手取りの受取利息+所得税 + 復興特別所得税 + 都道府県民税利子割 = 受取利息の総額

ここで計算した「受取利息の総額」が、はじめに計算した「予想される受取利息の総額」と少しズレてしまうことがあります。
はじめに計算した「予想される受取利息の総額」は、その後に各種計算をするための暫定値にすぎないため、「受取利息の総額」とズレていても問題ありません。

ここで計算した「受取利息の総額」で会計帳簿に記録することになります。

 

記帳するときの仕訳

借方 貸方
普通預金 1,000 受取利息 1,254
法人税等(源泉所得税) 188
法人税等(復興特別所得税) 4
法人税等(都道府県民税利子割) 62
作成 : 東京都港区の税理士法人インテグリティ

同じ銀行に複数の口座を持っている場合でも、口座ごとに仕訳をしてくださいね。

なお、株式会社などの法人の場合と、フリーランス・個人事業主の場合とで、受取利息の会計処理が異なってきます。

フリーランス・個人事業主の場合の会計処理については「受取利息の会計処理-フリーランス・個人事業主の場合」を参照ください。

 

受取利息の消費税について

株式会社など法人の方の受取利息は非課税売上になります。一般的な会計ソフトだと受取利息は非課税売上に設定されていると思いますが、自社でカスタマイズしている場合などはご確認ください。

 

おわりに

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

消費税がかかる課税取引-役務の提供

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、消費税がかかる課税取引のうち役務の提供について説明したいと思います。

 

消費税がかかる課税取引

下の4つの条件をすべて満たす取引が、消費税がかかる課税取引になります。

  1. 国内において
  2. 事業者が事業として
  3. 対価を得て行う
  4. 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供

このうち4の役務の提供について説明します。

 

役務の提供

日本国内において事業者が事業として対価を得て行う役務の提供は、消費税の課税対象になります。

有償で行われる取引であれば、資産の譲渡や資産の貸付けだけでなく、役務の提供、つまりサ-ビスの提供についても、課税取引として消費税がかかる取引になります。

この場合のサ-ビスの提供とは、土木工事、加工、修繕、清掃、クリ-ニング、運送、通信、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、技術援助、情報の提供、便益、出演、著述など、一般的にサ-ビスと考えられるものすべてについて対価を得て行うことをいいます。

弁護士、公認会計士、税理士、作家、スポ-ツ選手、映画監督、囲碁や将棋の棋士、芸術家などによる専門的知識、技能に基づくサ-ビスの提供もこれに含まれます。

 

非課税取引となるサービスの提供

しかし、対価を得て行うサービスの提供であっても下記のものは消費税がかからない非課税取引になります。

消費税の性格になじまないもの

  • 金銭の貸付け、信用の保証、保険、登記、検査、裁判などの公共の手数料など

社会政策的配慮から非課税になるもの

  • 社会保険医療、教育など

非課税取引については「消費税がかからない取引-非課税取引」を参照ください。

 

おわりに

消費税は税金のプロである税理士でも間違えることがある厄介な税金です。フリーランス・個人事業主として新規に開業したら、起業や法人成りで株式会社などの法人を設立したら、税理士に相談して消費税で損をしないようにしましょう。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

消費税がかかる課税取引-資産の貸付け

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、消費税がかかる課税取引のうち資産の貸付けについて説明したいと思います。

 

消費税がかかる課税取引

下の4つの条件をすべて満たす取引が、消費税がかかる課税取引になります。

  1. 国内において
  2. 事業者が事業として
  3. 対価を得て行う
  4. 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供

このうち4の資産の貸付けについて説明します。

 

資産の貸付け

日本国内において事業者が事業として対価を得て、つまり有償で行う資産の貸付けは、消費税の課税の対象になるので、消費税がかかる課税取引になります。

この資産の貸付けは、事務所やテナントの賃貸借やレンタカー(自動車の貸付け)など賃貸料を受け取るなどの一般的な資産の貸付けだけでなく、資産に係る権利の設定、他人に資産を使用させる一切の行為が含まれます。

事業として行われる資産の貸付けは、通常の貸付けだけでなく、使用させることや利用させることも含まれて、対価を得て行えば消費税がかかる課税取引になります。

対価を得て行われる資産の貸付けが消費税のかかる対象になるので、タダや無料など無償の貸付けで対価を受け取らない資産の貸付けについては消費税がかかりません。

資産の貸付けを行うとき、使用や利用をさせるときに、権利金や保証金などの名目でお金を受け取ることがあります。賃借料や利用料、使用料以外に受け取るこれらのお金のうち、契約終了時に返還する必要のないものについては、対価を得て行う資産の貸付けに含まれるので消費税の課税の対象になります。約終了時に返還されるものについては、対価を得て行う資産の貸付けに含まれないので消費税はかかりません。

自動車などの有形資産の貸付けのほか、特許権、実用新案権、ノウハウといった無形資産を利用させるものについても、消費税がかかる課税取引になります。

保養所などの福利厚生施設を割安な料金で社員に利用させる場合や音楽、デザインなどの著作物を使用させる場合も、消費税がかかる課税取引になります。

事務所の貸付けは消費税がかかりますが、住宅の貸付けは原則として消費税はかかりません。

 

おわりに

消費税は税金のプロである税理士でも間違えることがある厄介な税金です。フリーランス・個人事業主として新規に開業したら、起業や法人成りで株式会社などの法人を設立したら、税理士に相談して消費税で損をしないようにしましょう。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。