アーカイブ: 2014年4月

株式公開のメリット・デメリット

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

起業を計画している方も、すでに起業なさっている方も、事業を大きくしていずれは株式公開したいとお考えの方もいると思います。

そこで今回は、公認会計士として株式上場のサポートや数多くの上場会社の監査、M&Aの実務の経験も踏まえて、株式公開メリットデメリットについて簡単にご説明したいと思います。

 

 

株式公開とは

株式公開とは、証券取引所で株式の売買ができるようにすることで、株式上場、IPO(initial public offering)とも言われます。2013年末時点で東京証券取引所に上場している会社の数は3,417社あります。

日本国内の市場において新規に上場した会社数の推移は下表のようになります。

新規に上場した会社数の推移

 

 

株式公開のメリット

株式公開の主なメリットには下記のようなものがあります。

 

資金調達

多額の資金を調達をすることができます。これが株式公開の一番の目的といえるでしょう。株式を新規に公開したときの資金調達だけでなく、株式公開した後においても、時価発行公募増資により市場から資金調達ができるようになり資金調達の選択肢が増えることになります。

 

知名度と信用力のアップ

知名度と信用力がアップすることで、販路の拡大、顧客の増加などにより売上の上昇が見込まれます。また既存の取引先や金融機関に対する信用力が増すことで有利な条件で取引できるようになります。

 

人材の充実

知名度と信用力が増すことで、優秀な人材を集めやすくなります。組織が小さいうちは創業メンバーの力量である程度まで拡大できますが、一定の規模を超えるとどうしても他人に権限を移譲していかなければなりません。更なる事業拡大のためには優秀な人材の確保が欠かせません。しかしこれがなかなか難しいのです。「うんうん、そうだよね」とうなずいてくださる経営者の方が非常に多いと思います。優秀な人材が集めやすくなることは、株式公開の大きなメリットでしょう。

 

創業者利益の確保

多くの株式を保有している創業者は、株式公開して保有している株の一部を放出することで多額の現金を確保することができます。おおっぴらには言えない株式公開におけるウラの最大の目的であるともいえます。ウラの目的とは言っていますが、創業者はリスクをとって起業して、苦労しながら事業を拡大して、やっとの思いで株式公開して、その見返りとして多額の利益を得たのです。株式公開による創業者利益の確保がなんら後ろめたいものでなく胸を張ってアピールできるようになれば、もっと日本でのベンチャー起業も盛んになるのではないでしょうか。

 

そのほかのメリット

株式上場によるメリットは他にもいろいろあります。一例をあげると

  • 上場の準備で管理体制の改善が必須になるので、リスクに強い組織になる
  • 監査法人、公認会計士の関与により、内部統制や経理・財務が強化される
  • 従業員のやる気がアップする
  • 社会の目にさらされることで、法令遵守、コンプライアンスに対する意識が向上する

 

 

株式公開のデメリット

株式公開の主なデメリットには下記のようなものがあります。

 

買収される可能性

株式公開の一番のデメリットは、買収される可能性が生まれることです。株式を公開するということは、だれでも自由に株式を入手できるようになるということです。安定株主の確保や株主対策を行わなければなりません。

株式の譲渡制限については、下記ページを参照ください。
会社設立の手続き-定款-6-株式の譲渡は制限するのがおすすめ

 

市場からの圧力

株式を公開すると、株価を上げるように市場からつねに圧力をかけられることになります。業績アップ、株主価値の向上のために、いつもいつまでも走り続けなくてはならなくなります。市場の期待に答えられなければ株価は下がって、経営陣の交代を要求されたり、買収のリスクが高まってしまいます。

 

コストの増加

上場企業になると、証券取引所、監査法人、印刷会社、株式事務コストなど上場を維持するための様々なコストが生じます。また、投資家へのディスクローズのための社内コストもバカになりません。

 

 

おわりに

株式公開のメリット・デメリットはいろいろありますね。上場なんて夢のまた夢、とお考えの方もいるかもしれません。しかし上場会社の大半は、はじめは小さな小さな会社でした。いまは小さくても、いつか株式公開したい!と思っている皆さんのお手伝いができたらいいなと思っています。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

インターネットバンキングで支払業務を効率化しよう

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

皆さんはインターネットバンキングを利用していますか?毎月の支払業務のために銀行を往復する時間は、積み上げてみるとバカになりません。今回は、そんな支払業務について、インターネットバンキングを利用して効率化する方法について解説したいと思います。

 

インターネットバンキング

インターネットバンキングとは、オフィスにいながらインターネット経由で残高照会や振込、振替、税金や各種料金の支払い、入出金の確認などができるサービスです。

銀行のATMや窓口で行っていた支払業務が、インターネットバンキングを使えば手もとのパソコンで行うことができるのです。

入出金のデータをCSVファイルで落として、そのデータを少し加工して会計ソフトに入れることもできます。そうすれば、銀行に行く時間だけでなく、会計ソフトに入力する時間まで効率化することがでます。いままでは通帳を見ながら預金出納帳を作成して、それをもとに会計ソフトに入力するなど、手間のかかっていた作業が、何回かパソコンでクリックするだけで済んでしまうようになります。
具体的やり方などは税理士に相談してみてください。でもITに強い税理士でないとちょっと難しいかもしれません。

 

インターネットバンキングの利用料金

インターネットバンキングの利用料金、ネット振込料は銀行によって大きく差があります。そのため、すでに口座を持っている銀行でインターネットバンキングを申し込むのではなく、インターネットバンキング用に新しい口座を作った方がいいかもしれません。
一般的にネット系の銀行の方が安い傾向にあるのでオススメですが、利用できるATMやセキュリティの質、補償内容など総合的に勘案して選んでください。

 

インターネットバンキングの注意点

このようにインターネットバンキングは大変便利ですが、注意しなければいけない点もあります。

それは不正送金によるリスクです。

警視庁の発表によると、2013年にインターネットバンキングでの不正送金の被害に遭った口座は1315件あり、そのうち96%が個人名義とのことです。その手口の大半は、コンピューターをウイルスに感染させ、取引に使うIDやパスワードを盗んで行うものでした。

インターネットバンキングの不正送金の被害にあった場合、全国銀行協会の取り決めで個人口座の被害は過失がない場合全額が保護されますが、法人口座の被害については、補償の対象外となっていています。法人口座の場合は、個人口座以上にセキュリティを強化したり電子証明書方式をご導入したりするなどの対策が必要です。

インターネットバンキングを使う口座は支払専用口座にして、必要以上に残高を残さないようにするのも良いと思います。

少し古いデータですが、総務省の「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」によると、2010年の日本のインターネットバンキングの普及率は1割程度しかありません。この不正送金のリスクを考えてなかなか普及しないのかもしれませんね。

 

おわりに

支払業務の効率化については、「支払日の統一で支払業務を効率化しよう」も合わせてチェックしてみてください。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

イカロスのパラドックス

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、ビジネスの教訓としてもつかえるイカロスのパラドックスを紹介します。

 

イカロスのパラドックスとは

ギリシャ神話のお話です。

クレタ島のミノス王の怒りをかってしまったダイタロスとその息子イカロスはラビリンスに閉じ込められてしまいました。(なぜ王の怒りをかってしまったのかは、アテネとクレタ島の戦争、テセウスによるミノタウロスの退治のお話など長くなってしまうので割愛します。)

ダイタロスはラビリンスから脱出するためのアイデアを思いつきました。木の枝に蜜ロウを使って鳥の羽根を貼り付け大きな翼を作ったのです。そして、この翼を息子のイカロスにさずけました。

ダイタロスは言いました。
「この翼を使って、ラビリンスを脱出するのだ。しかし、危険だから高く飛びすぎるなよ。」

はじめは恐る恐る翼を羽ばたかせていたイカロスですが、コツを掴んてどんどん上昇して、あっという間にラビリンスからの脱出に成功しました。
しかし、空を飛ぶ楽しさに心を奪われたのか、ますます高く飛んで、だんだんと太陽に近づいてしまい、蜜ロウが溶け始めました。しかしイカロスは空を舞うことに夢中でそれには気づかず、ついには羽根が溶け落ち、最期には大地に叩きつけられてこの世を去るのでした。

イカロスは自分の成功の源である翼に自惚れてしまい、太陽に近づいてしまうという危険に気づくことができずに、最期には成功の源であった翼によって命が絶たれたのです。これはイカロスのパラドックスと呼ばれており、欧米などで教訓として広く語られています。

 

ビジネスにおけるイカロスのパラドックス

これは個人や会社、もちろん大企業にも当てはまることがあります。特定の分野で成功した会社が、自信過剰になり過去の成功体験にとらわれてしまい、重大なリスクに気がつかないで転落してしまう事例に事欠きません。
このお話をぜひ記憶の片隅にでも置いて下さい。

余談ですが、このお話を聞いたとき、私は少し違和感を感じました。私の記憶ではイカロスは勇敢な人だったからです。皆さんの中にも小学生の頃にこの歌を聴いたり歌ったりした経験がもしかしたらあるのではないでしょうか。

勇気一つを友にして作詞 片岡輝
作曲 越部信義むかしギリシャのイカロスは
ろうで固めた鳥の羽根
両手に持って飛び立った
雲より高くまだ遠く
勇気一つを友にして丘はぐんぐん遠ざかり
下に広がる青い海
両手の羽根をはばたかせ
太陽目指し飛んでいく
勇気一つを友にして赤く燃えたつ太陽に
ろうで固めた鳥の羽根
みるみるとけてまい散った
つばさうばわれイカロスは
墜ちて生命を失っただけどぼくらはイカロスの
鉄の勇気を受けついで
明日へ向かい飛び立った
ぼくらは強く生きて行く
勇気一つを友にして

 

おわりに

こちらのパラドックスも合わせてお読みになってみてください。
アビリーンのパラドックス

 

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

支払日の統一で支払業務を効率化しよう

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

皆さんは取引先への支払いのために毎月何回くらい銀行に足を運んでいますか?銀行への往復、窓口やATMでの待ち時間で、どのくらいの時間を費やしているでしょうか?その時間を積み上げてみると、けっこうな時間になることにビックリするでしょう。
今回は、そんな支払業務について、支払日を統一して効率化する方法について解説したいと思います。

 

5、10日(ごとおび)

「ごとおび」とは、毎月の5日、10日、15日、20日、25日、30日のことをいいます。ここに月末日を加える場合もあります。日本ではこの「ごとうび」が様々な支払日となっている場合が多く、この日の金融機関は支払業務でとても混雑します。

 

支払業務は事務負担が大きい

支払業務は、毎回の支払日ごとに請求書をピックアップして支払先と支払金額をまとめて、銀行の残高を確認して、上長のチェックを受けて、銀行に行って振込、帰ってきたら伝票に書いて書類をまとめるなど、多くの事務作業を要します。

毎月の5、10日(ごとおび)ごとに支払業務を行っていては、その事務負担はとても大きなものになります。それが支払日を統一して毎月1回で済めばとても楽になりますよね。

経理担当の従業員がいないフリーランス・個人事業主の方は、支払業務の時間を自分の本業に充てることができます。
経理担当の従業員がいる法人などの場合なら、残業時間を減らしたり、別の仕事をしてもらうことがでます。

 

支払日の統一は自分だけではできません

それじゃあ、今日にでも支払日を統一しよう、と思ってもそうはいきません。あたりまえのことで恐縮ですが、支払日の統一は自分だけでは決定できず、取引相手の同意があってはじめて実行できます。

社内的なことよりも、ここが一番難しいところです。取引先が大企業だとなかなかうまく行きませんが、中小企業なら案外あっさりとOKしてくれるところも少なくありません。

 

人件費を考える

支払日を統一すると業務が効率化されることはなんとなく分かったけど、いまいちピンとこない方もいらっしゃると思います。具体的な数字で見てみましょう。

人件費は単価×時間です。支払業務にかかる人件費を考えてみます。

毎月6回ある5、10日(ごとおび)ごと支払業務で銀行に行くとして、その準備と往復で1回あたり2時間かかるとします。会社勤めの方の平均時給が2,500円くらいです。

2,500円×2時間×6回=30,000円

それが月1回で済むとなると

2,500円×2時間×1回=5,000円

その差額は毎月25,000円になります。
年間では、

25,000円×12ヶ月=300,000円

になります。

年間で300,000円も経費を削減できるのです。

これだけの利益を出そうとすると、どれだけの売上が必要になるのでしょうか。中小企業の売上高経常利益率は5%あれば優秀な部類に入ります。仮に5%だとすると

300,000円÷5%=6,000,000円

つまり、支払日を統一して支払業務を効率化することで年間6百万円の売上を上げることと同じ効果が生まれるのです。

 

おわりに

チリも積もれば山となります。細かい経費の削減を積み重ねることによって、利益の出る強い財務体質になることができるのです。

支払業務の効率化については、「インターネットバンキングで支払業務を効率化しよう」も合わせてチェックしてみてください。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

ネットで税金や節税について調べるときの注意点

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

皆さんは税金や節税についての調べものをするときにどうしていますか?税務署に問合せますか?それとも書籍を読みますか?今はインターネットで検索して探す方が多いと思います。

今回は、そんなネットで税金や節税について調べるとの注意点について説明したいと思います。

 

インターネット検索で節税や税金について調べる

節税や税金について調べるために、インターネットでGoogleやYahoo!などで検索すると、Yahoo!知恵袋やOKWaveなどの質問回答サービス、税理士などの専門家や、それ以外のホームページやブログ、NEVERまとめ、国税庁のホームページなど色々出てきます。これらの情報をどう使えばよいのでしょうか。たくさんありすぎて迷ってしまいますよね。

こんなときは、その記事の発信者は誰かで記事を読む姿勢を変えると良いと思います。

 

記事の発信者が匿名の場合

Yahoo!知恵袋やOKWaveなどの質問回答サービス、NEVERまとめ、身元が分からない人や組織のホームページやブログなど記事の発信者が匿名の場合については、基本的に参考にしない方がいいと思います。

細かく調べるのではなく、ざっくりと概要を知りたいだけだからいいじゃないか、とお考えの方も多いと思います。しかし残念ながら、その概要ですら間違っていることが少ないくないのです。特にYahoo!知恵袋やOKWaveなどのベストアンサーが間違っていて、それ以外のアンサーに正しいことが書いてあることが目につきます。その記事が正しいかどうかを調べるのに余計な時間を費やすならば、はじめから見ない方が得策です。

 

記事の発信者が実名の税理士の場合

税理士のホームページやブログ、税理士が寄稿した記事など発信者が実名の税理士の場合は、参考に値すると思います。しかし、その1つの記事だけ読んで終わるのではなく、別の実名の税理士の記事も3つほど合わせて読んで、情報の補完をしてください。

注意して欲しいのは、税理士の記事でも、読み手の大まかな理解を前提にしており、詳細は省いて分かりやすく書かれているものがほとんどである、ということです。間違ったことが書かれている可能性は低いと思いますが、網羅的に書かれているとは限りません。
税金や節税のもとになる税法や通達には、適用するための要件などが非常に細かく定められています。だからといって、これらをブログやホームページに書いてしまうと、概要の理解どころか読んでもらえなくなってしまいます。

実名税理士のホームページやブログの記事については、概要の大まかな理解のために活用しましょう。

 

実際に節税の手法やテクニックを使いたい場合

実際に節税の手法やテクニックを使いたい場合は、やはり税理士に相談するのが一番です。自分の独断でやってみた節税策について、要件が足りないことを税務調査で指摘されて、追加で多額の税金を払うハメになってしまっては元も子もありません。

ちゃんとした税理士ならば、節税策を使おうと思ったときは、その根拠となる税法や通達などの条文をじっくり読み込んで使えるかどうか検討してくれると思います。

 

おわりに

私も仕事関係でインターネットで調べものをすることはよくあります。その際は情報の発信者を確認するのはもちろん、なるべくその情報の源(ソース)までさかのぼって調べるようにしています。インターネットは便利ですが、情報の取捨選択がますます大切になってきますね。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。