アーカイブ: 2014年4月

節税目線の資本金の決め方-2-3,000万円以下

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

資本金の額はいくらになっていますか?通常は少ない資本金から会社をスタートして、会社の規模に応じて、自己資本比率などを考えながら増資をしていくことになると思います。しかし、単に体面が良い、金融機関のススメで、などの理由から、会社の規模に比べて資本金の額を高めに設定している場合も少なくありません。そのことで余分に税金を払っている可能性があります。

今回は、節税目線の資本金設定のステップ2として、資本金3,000万円以下の場合のメリットについて解説したいと思います。

資本金が3,000万円以下の場合の節税メリットは、中小企業者等が機械等を取得した場合の税額控除を受けることができることです。下記でもう少し詳しく説明します。

 

特定中小企業者

青色申告をしている会社で資本金が1億円以下の会社(大企業の子会社などは除きます)は中小企業者に該当して、そのうち資本金が3,000万円以下の会社のことを特定中小企業者といいます。

この特定中小企業者は、中小企業等投資促進税制における、中小企業者等が機械等を取得した場合の税額控除という税制優遇を利用することができるので、これにより節税することができます。

 

中小企業者等が機械等を取得した場合の税額控除

中小企業者等が機械等を取得した場合の税額控除とは、特定中小企業者が特定の新品の機械や設備などを買ったときに受けられる税制上の優遇措置で、購入額の7%に当たる金額だけ、納めるべき法人税の額から差し引くことができる制度をいいます。(法人税の金額の20%が上限です。)

300万円の機械を購入した場合は、
300万円×7%=21万円だけ法人税を節税することができます。

このように税額控除というものは、所得控除と異なり、直接的に税金を減らしてくれるので節税効果が高い節税方法といえます。

 

おわりに

中小企業者等が機械等を取得した場合の税額控除を受けるためには、適用される時期、対象となる業種や資産など細かい要件に合致するとともに、提出しなければならない書類もあります。また、この中小企業等投資促進税制は拡大も予定されているので、実際に利用する場合は税理士に相談することをオススメします。

資本金に関しては、下記も合わせて参照ください。
節税目線の資本金の決め方-1-1,000万円未満
節税目線の資本金の決め方-3-1億円以下

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

節税目線の資本金の決め方-1-1,000万円未満

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

資本金の額はいくらがいいのでしょうか?通常は少ない資本金から会社をスタートして、会社の規模に応じて、自己資本比率などを考えながら増資をしていくことになると思います。しかし、単に体面が良い、金融機関のススメで、などの理由から、会社の規模に比べて資本金の額を高めに設定している場合も少なくありません。そのことで余分に税金を払っている可能性があります。

今回は、節税目線の資本金設定のステップ1として、資本金1,000万円未満の場合のメリットについて解説したいと思います。

資本金1,000万円未満で節税になるポイントは2つです。

  1. 消費税が2事業年度免除される
  2. 法人住民税の均等割が安くなる

 

会社設立時は資本金を1,000万円未満にしよう

昔は株式会社の資本金は1,000万円以上なければなりませんでしたが、会社法が施行されて1円からでも株式会社を設立できるようになりました。
起業して会社を設立する場合や、フリーランス・個人事業主から法人成りして会社を設立する場合は、資本金をいくらに設定すればよいのでしょうか。
まずは1,000万円未満で考えてみてください。細かい話で恐縮ですが1,000万円”未満”なので1,000万円ではダメです。

 

資本金1,000万円未満で消費税が2事業年度免除

通常は受け取った消費税から支払った消費税を引いた額の消費税を納めなければなりません。しかし、資本金が1,000万円未満で一定の要件を満たす場合は、会社を設立してから2事業年度は消費税を納めなくてよくなるのです。

会社設立当初はなかなか売上が上がらず納めるべき消費税も少ないかもしれませんが、フリーランス・個人事業主から法人成りした場合など、すでに事業が軌道に乗っている場合は、納めなくてはいけない消費税も少なくありません。このため2事業年度の消費税が免除されることは、大きな節税メリットですね。2年ではなく2事業年度なので、会社設立初年度の事業年度の月数が12か月に近くなるように設定すれば、それだけ節税効果も高まりますよ。

資本金1,000万円未満以外の要件がけっこう細かく定められているのと、事業によっては消費税が還付される場合もあるので、税理士に相談することをオススメします。

 

資本金1,000万円以下で法人住民税の均等割が節税

資本金1,000万円を超えると、法人住民税の均等割が増税されます。そのため資本金を1,000万円以下にするだけで法人住民税の均等割を節税することがでるのです。またまた細かい話で恐縮ですが1,000万円”以下”なので1,000万円でもOKです。しかし、上記の消費税の節税に合わせて、資本金は1,000万円ではなく、1,000万円未満に設定しましょう。

東京23区に会社があって、従業員の数が50人以下の会社の法人住民税の均等割の額は、

  • 資本金1,000万円以下だと年間7万円
  • 資本金1,000万円を超えると年間18万円

その差は年間で11万円にもなります。資本金の額を変えるだけで年間11万円も節税になるとは簡単ですね。

 

おわりに

資本金1円から株式会社を設立できるようになったとはいえ、実際に資本金が1円では取引先や金融機関から信用を得られにくいと思います。会社設立時点で最低でも100万円、できれば300万円の資本金があると安心です。

資本金については、下記も合わせて参照ください。
節税目線の資本金の決め方-2-3,000万円以下
節税目線の資本金の決め方-3-1億円以下

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

領収書を簡単に整理保管する方法

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

皆さんは領収書をどうやって保管していますか?時間と手間をかけて日付順にノートに貼り付けたりしていませんか?
今回は、領収書を簡単に整理して保管する方法を解説したいと思います。

 

伝統的な領収書の整理保管方法

伝統的に昔からよくやられている領収書の整理保管方法がノート貼り付け方式です。領収書の保管方法について税理士に聞くと、教えてもらうことが多い方法でもあります。

具体的な手順は、

  1. のり、ノートを用意します
  2. 経理処理が終わった領収書を日付順にノートの上から順番に貼り付けていきます

以上です。

文章にするととても簡単ですね。
でも、実際にこの作業をやっている方は分かると思いますが、とても面倒なんです。

 

簡単手間いらずな領収書の整理保管方法

そこでオススメしたいのが、簡単手間いらずな領収書の整理保管方法であるファイル方式です。この方式は毎月の領収書の数が50枚を超えるなど、ある程度のボリュームがある場合に最適です。

具体的な手順は、

  1. ルーズリーフバインダーに綴ることができる穴あきクリアポケットファイルを用意します。1か月あたり3枚、1年あたり12か月×3=36枚使います。1月あたりファイルを3種類に分けているのは、現金払い、銀行振込払い、クレジットカード払いの別に保管するためです。
  2. 経理処理が終わった領収書を月ごとに支払い方法に応じて3種類のファイルに入れます。

以上です。

ノートに貼り付ける必要はありません。ファイルに入れるだけで終わりです。支払い別に3種類にファイルを分けているので、経理処理の間違いも防止できますし、税理士もチェックしやすくなっています。

 

なぜ領収書を保管するのか

伝票を書いたり、会計ソフトに入力するなどの経理処理が済んでしまえば、領収書をあらためて見ることは少ないと思います。

それではなぜ領収書を保管しないといけないのでしょうか。それは税務調査のためです。とは言っても税務調査において、調査官がいきなり領収書を調べるわけではありません。まずは会計帳簿を見て、そこに書いてある事項について、さらに細かく調べたいと思った時に領収書まで調べるのです。

領収書の保管状態が悪くて、お目当ての領収書がなかなか見つからないような場合は、調査官に悪い印象を持たれてしまいます。領収書の管理がちゃんとできていないのだから経理の間違いも多いはず、よし、細かく調査しよう、といった流れになるかもしれません。

領収書の保管は、日常業務の手間と、税務調査に耐えうるレベルのバランスを考えて行う必要があります。

1年分の領収書をダンボールに入れっぱなしで保管していては、日常業務は楽ですが、税務調査では痛い目にあうかもしれません。
逆に、領収書を1枚ごとに丁寧にノートに貼り付けておけば、税務調査において調査官は楽できますが、日常業務では手間が掛かり過ぎます。

その間をとった方法がファイル方式の保管方法なのです。

 

おわりに

顧問の税理士に言われたとおり、律儀に領収書を日付順にノートに貼り付けて保管している会社さんはけっこうあると思います。貼り付け作業を税理士本人が行うわけではありませんが、実際に作業を行う方にとっては、大変な手間がかかる作業ですよね。業務の正確さを求める税理士は多いですが、業務の効率を考える税理士は少数派かもしれません。
税理士を選ぶ際は、正確さはもちろんのこと、効率も考えてくれる税理士を見つけてください。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

手書き伝票は廃止しよう-経理効率化

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、手書きの伝票を廃止して、経理業務を効率化することを提案したいと思います。

 

手書き伝票を採用している会社は多い

フリーランス、個人事業主、中小企業、中堅企業、大企業と規模にかかわらず、手書きの会計伝票はいまだに多くのところで採用されています。統計を取ったわけではありませんが、私の実感としては8割近くの会社さんで手書き伝票が日々作成されているように感じます。

 

手書き伝票の業務

手書き伝票を採用している場合の経理業務の流れは、こうなります。

  1. 領収書や請求書などをもとに、伝票を手書きで作成する
  2. 作成された手書き伝票をもとに、会計ソフトに入力する

1つの情報について、伝票の作成、会計ソフトに入力と手間を2回かけていることになりますね。

 

手書き伝票を廃止する方法

手書き伝票を廃止する方法は難しくありません。領収書や請求書などから、手書き伝票を経由しないで、会計ソフトに直接入力すればいいのです。

手書き伝票を廃止した場合の経理業務の流れは、こうなります。

  1. 領収書や請求書などをもとに、会計ソフトに入力する

1つの情報について、手間をかける回数は、会計ソフトに入力する1回だけで済みます。たったこれだけのことですが、これだけでかなりの経理業務効率化につながります。

 

なぜ手書き伝票を廃止できないのか

多額の費用や追加の人員などが必要となるわけではないのに、なぜ手書きの伝票を廃止できないのでしょうか。理由は2つ考えられます。

1つは、会計ソフトに入力した根拠となる資料を残しておきたいためです。

根拠となる資料は手書き伝票でないといけないのでしょうか。いまの会計ソフトは優秀なので、クリック1つで、入力したデータについて伝票形式という手書き伝票と変わらない形でプリントすることができます。心配であれば、伝票形式でプリントしたものを保管しておけば済みます。
そもそも、会計ソフトに入力した後に、手書き伝票を見る機会はいままでどれくらいありましたか。もし手書き伝票がなかったら困ったケースはどれくらいありましたか。加工途中の情報である手書き伝票は、なかったとしてもさほど困らないと思います。会計ソフトに入力されたデータをチェックしたい場合は、伝票を確認するよりも請求書や領収書などを確認した方が正確ですね。

もう1つは、単にその業務が習慣になっているためです。

1度決められた業務というのはなかなか廃止できないものです。その業務を行っている本人にとっては自分の存在意義にも関わってくるので、業務を廃止されては困ると考える人も少なくありません。その逆に、現場ではムダな業務を廃止したいと考えているのに、上がイヤな顔をする、認めてくれないというパターンも多くあります。
業務改善、業務効率化を行う場合は、下の意見も聞きつつトップダウンで実行していくのが良いと思います。

 

おわりに

税理士とのやりとりが毎月のルーチン作業になっていませんか。良い税理士とは、今回の手書き伝票の廃止による経理業務の効率化など、いろいろな提案をしてくれる税理士です。格安顧問料の税理士だとなかなかそこまではやってくれませんが、税理士に世間相場程度の顧問料を支払っているならば、顧問税理士にこのように聞いてみてください。「うちの会社の経理をもっと効率化したいのだけど何か良い案ある?」

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

不良在庫は切り捨てる-棚卸資産評価損で節税

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

事業を続けていくと、不良在庫という名の、売れない、使わない、動かない材料、仕掛品、商品、製品が溜まっていくものです。
今回は、そんな不良在庫は早々に切り捨て、棚卸資産評価損節税する方法を解説したいと思います。

 

棚卸資産評価損

在庫になっている材料や商品などの棚卸資産について、買った値段や仕入れ値など帳簿上の価額に比べて、実際の価額である時価が明らかに下落している場合、棚卸資産評価損を計上して、帳簿上の価額を時価まで下げることができます。税法上の条件を満たす棚卸資産評価損は経費として認められるので、棚卸資産評価損を計上すると節税になります。

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した棚卸資産評価損の図

 

税法上の棚卸資産評価損が認められる条件

税法上、棚卸資産評価損が認められる条件の例は下記のとおりです。

  • 季節商品など売れ残った場合で、通常の価額では今後販売することができないことが明らかな場合
  • 同じシリーズの新製品が発売されたことによって、従来の商品が今後通常の方法で販売することができないようになった場合
  • 破損、型崩れ、たなざらし、品質変化などによって今後通常の方法で販売することができないようになった場合

実際に棚卸資産評価損を計上する際にはもっと細かい条件があり、判断も難しいので税理士に相談した方がいいと思います。

 

棚卸資産評価損を計上するときに注意するポイント

棚卸資産の時価が、物価の変動による、過剰に生産してしまった、建値の変更などの事情によって低下しただけでは棚卸資産評価損の計上は認められません。

棚卸資産評価損は帳簿上の価額と時価の差ですが、時価として何を使うかという問題があります。基本的には売れる値段が時価になりますが、時価の決め方も難しいです。何を時価に使うかという点も税理士に相談したほうが良いでしょう。

棚卸資産評価損は税務調査で調べられる可能性が高いです。税務調査になって慌てるのではなく、棚卸資産評価損を計上する時点で、税理士に相談しながら税法に条件に合致することを証明する資料を準備しておく必要があります。

 

おわりに

不良在庫、滞留在庫をそのまま眠らせていてもお金は生まれません。早々に見切りを付けて棚卸資産評価損を計上して節税することで、少しでも資金を回収して次につなげてください。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。