アーカイブ: 2014年4月

税理士の選び方-税理士試験に合格した税理士

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

税理士になるまでの道のりにはいくつかのルートがあります。主なものは、税理士試験に合格した人、税務署OBの人、大学院で試験免除された人、公認会計士の4つです。それぞれ得意分野が違うので税理士を選ぶときは、その税理士がどういう経緯で税理士になったのかも参考にすると良いと思います。

今回は、税理士試験に合格した税理士について解説したいと思います。

 

税理士全体のうち税理士試験に合格した税理士は半分

税理士は皆、税理士試験に合格して税理士になったと思われる方も多いと思います。しかし、全国の税理士7万人のうち、税理士試験に合格して税理士になった人は46%程度で約半分となっています。半分とはいえ、税理士試験に合格した税理士は税理士業界における本流、メインストリームであるといえます。

 

税理士試験

下記の税理士試験科目のうち5科目に合格して、その後2年以上の実務経験を積むと税理士になることができます。

税理士試験の科目 科目名 実務役立度
必須科目 2科目とも必ず合格する必要がある科目 簿記論
財務諸表論
選択必須科目 最低1科目に合格する必要がある科目 法人税法
所得税法
選択科目 2科目を選択して合格する必要がある科目※ 相続税法
消費税法
酒税法
住民税
事業税
固定資産税
※消費税法と酒税法はどちらか1科目、住民税と事業税もどちらか1科目しか選べません
東京都港区の税理士法人インテグリティ作成

税理士試験の最大の特徴は、全科目一括合格制ではなく、科目別合格になっていることです。司法試験や公認会計士試験のように、学生や無職として受験に専念できる環境になくても、社会人として働きながら1科目ずつ合格して税理士を目指すことができます。

税理士試験のもう一つの特徴は、好きな受験科目を選択できる選択科目制であることです。難易度が高くて勉強する量も多いが将来の実務に役立つ科目を選ぶこともできますし、その逆に受験テクニックとして実務には役立たなくても難易度が低く勉強する量が少ない科目を選ぶこともできます。

 

税理士試験に合格した税理士のメリット

税理士試験に合格した税理士のメリットは、試験に合格しているので知識的な裏付けがあるという安心感があるところです。簿記論と財務諸表論という会計科目は必須科目なので、会計の知識については問題ないでしょう。税金の知識についても、合格した試験科目については豊富な知識を持っていると言えます。

税理士選びに際して、特にこだわりがなく一般的な税務業務を依頼する場合は、税理士試験に合格した税理士を選べば、ハズレは少ないと思うのでオススメです。

 

税理士試験に合格した税理士の注意点

税理士試験は選択科目制であるため、合格した科目については知識も豊富で得意としていますが、合格しなかった科目については、税理士になってから独学や実務を通じて勉強することになります。税理士試験に合格した税理士だからといって、税金の全てに詳しく得意としているワケではないことに注意してください。

合格した試験科目を聞いてみると、その税理士の得意分野を客観的に知ることができると思います。最近はホームページのプロフィール欄に合格科目を載せている税理士もいるので参考にすると良いですよ。

フリーランス・個人事業主の方は所得税法と消費税法に合格している税理士が合っています。また株式会社などの法人や、将来法人成りを考えているフリーランス・個人事業主の方は法人税法と消費税法に合格している税理士を選ぶといいでしょう。相続なら相続税法です。

 

おわりに

税理士試験合格組ではなく、公認会計士・税理士である私が言うのもなんですが、一般的な税務顧問としての税理士をお探しなら、税理士試験に合格した税理士を選ぶと良いと思います。

下記の解説も参考にしてみてください。
税理士の種類別の人数-税理士試験合格者だけではありません
税理士の選び方-税務署出身の税理士
税理士の選び方-大学院修了で試験免除された税理士

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

税理士の種類別の人数-税理士試験合格者だけではありません

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

税理士と聞くと、税理士試験に合格した人たちのことだと思われる方が多いと思います。実は税理士試験に合格して税理士になった人は半分もいないのです。
今回は、そんな税理士の種類別の人数について解説したいと思います。

 

税理士の種類

税理士になる方法は、税理士試験に合格するだけではありません。税理士になるまでの道のりにはいくつかの種類があります。

税理士法の第3条には、税理士になるための資格として、下記のように定められています。

 

(税理士の資格)
第3条 次の各号の一に該当する者は、税理士となる資格を有する。ただし、第1号又は第2号に該当する者については、租税に関する事務又は会計に関する事務で政令で定めるものに従事した期間が通算して2年以上あることを必要とする。
一 税理士試験に合格した者
二 第6条に定める試験科目の全部について、第7条又は第8条の規定により税理士試験を免除された者
三 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)
四 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)

 

1号は、税理士試験の5科目に合格した人および税理士試験の一部を免除されて残りの科目について合格した人が該当します。

 

2号は、税理士試験の全部を免除された人のことです。

 

1号や2号における税理士試験の一部または全部を免除される人には、税務署に長く務めていた人や、大学院を卒業して税理士試験の一部を免除された人などが該当します。

 

また、3号、4号に定められているとおり、弁護士と公認会計士は税理士試験を受けなくても税理士になることができます。

 

このように、税理士になるためには、税理士試験に合格するだけでなく、税務署OB、大学院修了による試験科目免除、弁護士、公認会計士といくつかの方法があるのです。

 

(S様のご指摘により一部文章を修正しました。ありがとうございました。)

 

税理士の種類別の人数

税理士の種類別の人数は下表のようになります。

税理士の資格別の内訳(2013/3/31) 人数 割合
税理士試験に合格した者 33,814 45.9%
税務署OB,大学院修了による試験免除等 31,357 42.5%
公認会計士 8,063 10.9%
弁護士 491 0.7%
合計 73,725 100.0%
出展:日本税理士会連合会発行の「税理士界1304号」をもとに東京都港区の税理士法人インテグリティが作成

 

東京都港区の税理士法人インテグリティが作成した税理士種類別内訳

税理士試験に合格して税理士になった人は半分もいないことになります。
税務署OB,大学院修了による試験免除等42.5%の内訳の詳細は不明ですが、税務署OBが税理士全体の3割弱、大学院修了による試験免除が税理士全体の2割弱になっています。

 

おわりに

税理士の登録方法を知れば、その税理士の得意分野を客観的に知ることができます。税理士をお探しの際は、どうやって税理士になったのかを聞いてみるといいでしょう。

ちなみに私は公認会計士として税理士登録しているで、税理士業界の中では1割しかいない少数派にあたります。公認会計士・税理士・MBAとして、税金だけでなく、ビジネスやファイナンスにも強いという特徴を活かして、税理士7万人の中から差別化してお客様に選んでもらえるよう勇往邁進したいと思います。

下記の解説も参考にしてみてください。
税理士の選び方-税理士試験に合格した税理士
税理士の選び方-税務署出身の税理士
税理士の選び方-大学院修了で試験免除された税理士

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
その他の税金や節税、起業などについては情報の一覧をご覧ください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

税理士数と企業数を比べて-東京の税理士は競争が厳しい

はじめに

こんにちは、東京都港区税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、都道府県別の税理士の人数と企業数から分かる、東京の税理士の競争の厳しさについて解説したいと思います。

 

税理士の都道府県別の人数

税理士の都道府県別の人数は下表のとおりです。

税理士の都道府県別の人数(2013/3/31)
合計 73,725 山梨県 297 島根県 187
北海道 1,925 長野県 921 岡山県 714
青森県 289 富山県 445 広島県 1,461
岩手県 265 石川県 575 山口県 447
宮城県 982 福井県 335 徳島県 281
秋田県 245 岐阜県 1,070 香川県 532
山形県 302 静岡県 1,735 愛媛県 536
福島県 527 愛知県 5,007 高知県 203
茨城県 801 三重県 761 福岡県 2,477
栃木県 755 滋賀県 452 佐賀県 214
群馬県 840 京都府 1,841 長崎県 297
埼玉県 3,114 大阪府 8,114 熊本県 779
千葉県 2,416 兵庫県 2,659 大分県 443
東京都 21,076 奈良県 559 宮崎県 287
神奈川県 4,413 和歌山県 349 鹿児島県 478
新潟県 790 鳥取県 168 沖縄県 361
出展:税理士界1304号

 

2013年3月末時点で全国に税理士が7万人、そのうち東京都に2万人の税理士がいます。税理士のうち3割が東京都に集中していることになります。他の業界と同様に税理士業界も競争が激しくなっていますが、特に東京都は厳しい状況であるといえます。

 

都道府県別の税理士1人あたりの企業数

東京都の税理士が厳しい状況にあるといっても、フリーランス・個人事業主、株式会社など法人の数については東京都が他道府県に比べて多いのだから、東京都だけ特別に厳しいとは言えないのではと思われる方もいるでしょう。

そこで総務省の都道府県別の企業数(会社など法人の数+個人事業主の数)のデータを持ってきて、企業数を税理士の数で割ることで、税理士1人当たりの企業数を算出してみます。この数値が税理士1人あたりの想定顧問先数になります。この数値が小さい都道府県ほど税理士の競争が厳しい地域であると言えます。
その結果は下表のとおりです。

都道府県別の税理士1人あたりの企業数
税理士の人数(人) A 企業数(社) B (社) B ÷ A
2013/3/31 2008年
合計 73,725 4,202,630 57
北海道 1,925 166,739 87
青森県 289 47,831 166
岩手県 265 44,355 167
宮城県 982 71,914 73
秋田県 245 39,874 163
山形県 302 45,793 152
福島県 527 71,537 136
茨城県 801 92,694 116
栃木県 755 70,655 94
群馬県 840 77,192 92
埼玉県 3,114 186,582 60
千葉県 2,416 139,139 58
東京都 21,076 491,329 23
神奈川県 4,413 216,489 49
新潟県 790 89,723 114
山梨県 297 36,543 123
長野県 921 85,747 93
富山県 445 41,319 93
石川県 575 47,261 82
福井県 335 34,126 102
岐阜県 1,070 82,490 77
静岡県 1,735 140,043 81
愛知県 5,007 240,764 48
三重県 761 60,433 79
滋賀県 452 39,082 86
京都府 1,841 94,939 52
大阪府 8,114 327,320 40
兵庫県 2,659 168,782 63
奈良県 559 36,046 64
和歌山県 349 40,678 117
鳥取県 168 18,871 112
島根県 187 26,281 141
岡山県 714 60,105 84
広島県 1,461 96,599 66
山口県 447 46,270 104
徳島県 281 29,927 107
香川県 532 36,316 68
愛媛県 536 50,938 95
高知県 203 29,516 145
福岡県 2,477 154,621 62
佐賀県 214 27,892 130
長崎県 297 48,596 164
熊本県 779 57,308 74
大分県 443 40,336 91
宮崎県 287 39,970 139
鹿児島県 478 58,021 121
沖縄県 361 53,644 149
注:企業数=法人+個人事業者
出展:税理士界1304号、総務省の平成21年経済センサス-基礎調査
作成:東京都港区の税理士法人インテグリテイ

 

税理士1人あたりの想定顧問数の全国平均が57社に対して、東京都は23社です。他道府県に比べてダントツで低い数値になっています。これで東京都は税理士の競争が厳しい地域であることが裏付けられたと思います。

 

税理士は東京都で開業するより他都道府県の方が良いのか

厳しい競争を避けるため、税理士として開業する場合は東京都ではなく他都道府県の方が良いのでしょうか。それもひとつの方法だと思います。でも競争が厳しいとはいえ、企業数が圧倒的に多いというマーケットの規模の大きさは魅力的です。やっていく自信があるのであれば、東京で勝負するのも良いのではないでしょうか。

 

おわりに

当社は東京都港区に東京事務所があり、港区、渋谷区、新宿区を中心とした東京23区のお客様をターゲットに活動しております。東京のなかでも、さらに競争が厳しい地域であると言えるでしょう。私は新潟出身なので当社の新潟事務所で活動するという選択肢もありました。しかし、日本一のマーケットで挑戦してみたいという思いを捨てられず、東京事務所を立ち上げて今日に至ります。新潟事務所に比べて東京事務所の規模はまだまだ小さいですが、お客様とともに成長拡大していきたいと思っております。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

売上の計上基準を節税に使っていいのか

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

今回は、売上計上基準節税の関係について解説したいと思います。

 

売上計上のタイミングと節税

売上はどのタイミングで計上するのが良いのでしょうか。

節税の点から見ると売上は遅いタイミングで計上したほうが、税金の支払いを先に延ばすことができるので、メリットがあるとも言えます。資金繰りの基本は、支払いはなるべく遅く、入金はなるべく早くです。しかし、税法上は入金したときまで売上の計上を先延ばしすることは原則として認められません。

入金したときではなく、モノ、サービスを引き渡したときに売上を計上することになります。

 

売上の計上基準

税法上で認められている売上の計上基準はいくつかあるので、そのうち一般的なものを紹介します。

出荷基準

  • 商品などを出荷日に売上を計上する方法です。取引先から注文があって、商品を倉庫や工場から出したとき、商品をトラックに積み込んだときなどを出荷日として売上計上します。

検収基準

  • 商品などを受け取った取引先が、検収(数や品質などが注文通りかチェックすること)した日に売上計上する方法です。

使用収益基準

  • 商品などを受け取った取引先において、その受け取った商品の使用が可能となった日に売上計上する方法です。

出荷基準よりは、検収基準、使用収益基準の方が売上計上のタイミングが遅くなるので節税になるといえます。

 

売上計上基準はむやみに変更できません

利益が少ないときは出荷基準だけど、利益が多いときは検収基準にして売上を来年に繰り延べよう、といったように売上計上基準はむやみに変更できません。簡単に変更できると脱税に利用されてしまいます。

いったん売上計上基準を決めてしまったら、理由がないと変更できないことに注意してください。

 

売上計上基準の選び方

節税になるからといって、売上の計上を遅くした方がよいのでしょうか。今年の売上を減らせても、その減らした分の売上は来年の売上として計上されます。

売上計上基準の選び方で、一番重要なのは節税ではなく事業の実態に合致しているかどうかです。不特定多数に販売される商品なら出荷基準、特注品の販売などなら検収基準が合っているでしょう。不動産の販売なら使用収益基準になります。

事業の実態から乖離した売上計上基準は、財務数値を歪めてしまいます。その結果、事業計画の策定や意思決定において支障が生じる恐れがあります。

 

おわりに

単純に節税になるからといって、売上の計上基準の変更を促すのではなく、ビジネスに合った適切な売上計上基準を示して顧客の事業の発展に貢献できるのが良い税理士だと思います。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

消耗品を買って節税-消耗品費

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

「利益がたくさん出ているから節税したいな。でも決算日まであと一週間、時間がないけどどうしよう。そうだ、消耗品をたくさん買って消耗品費として経費にしてしまおう。」
このように考えるフリーランス・個人事業主、会社の社長さんはけっこういらっしゃいます。でも、消耗品費として経費にするには注意しなければいけないポイントがいくつかあります。

今回は、そんな決算近くで消耗品をたくさん買っても、消耗品費として経費にして節税する方法について解説したいと思います。

 

消耗品費

消耗品費とは、1年内に使ってしまう、事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品などの消耗品の購入費用のことをいいます。具体的には、文房具や日用雑貨などの購入費用が該当します。会社によっては、事務用消耗品費や雑費などと使い分けている場合もありますが、あまり細かく分類する必要はないと思います。

 

消耗品はいつ経費になるのか

原則として、消耗品は買ったときではなく使ったときに消耗品費として経費にすることができます。そのため、節税のために決算間際になって消耗品をたくさん買い込んでも、決算日までに使わなければ経費にできません。未使用分は経費ではなく貯蔵品として資産計上します。

 

消耗品を買ったときに経費にするには

消耗品を買ったときではなく使ったときに経費にしていては、事務手続きがとても面倒になります。例えば、決算になって、ボールペン1本まで使ったもの使ってないものに分けて、使ったものだけ経費にしていては、手間と時間がかかってしょうがありません。

そこで、税法では下記の条件を満たした場合は、消耗品を買った時点で経費にすることを認めています。

  • 毎年同じくらいの数量を買っている
  • 買った消耗品については毎年経常的に使っている
  • 毎年継続して消耗品を買ったときに経費として経理処理している

 

税務調査

税務調査においては、資産として計上しなければならないものが消耗品費にまぎれていないかチェックされます。消耗品費の金額が相対的に大きくなっている場合などは、その理由をしっかり説明できるように準備しておく必要があります。

 

おわりに

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。